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はてなダイアリーの一冊百選

  • 新ネットワーク思考新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く
  • アルバート・ラズロ・バラバシ 著
  • 単行本: 368 p ; サイズ(cm): 19 x 13
  • 出版社: NHK出版 ; ISBN: 4140807431 ; (2002/12/26)

一冊を選ぶことはむずかしい。新潮文庫百冊の本になるような本では面白くない。かといって、エラゴン(isbn:4789722309)などのファンタジー系もつまらない。ということで、標記、書籍を選んでみました。
複雑系ものですが、数学の知識を必要とせず、読み物として読めます(数式が好きな方はもっと楽しめます)。ダイナミックコミュニティ、つまり、コミュニティにおける積極的な知識共創に関心があり、この視点で読んでみました。

ネットワークは、日本語として定着してしまいましたが、物理的にグラフ、人間社会的には縁、人脈でしょう。まさにはてなもネットワーク、この企画も積極的な知識共創。そして、本書では、インターネットはもちろん、脳、DNAから、経済、人間関係まで、あらゆるものがネットワークであり、複雑なネットワークであっても法則があるとしています。したがって、この法則を理解すれば、ネットワークを制御できるとしています。たとえば、ネットワークの要はハブ(単なるノードではない)なので、企業というネットワークは取締役会によって運営され、複数の企業で兼務している役員はハブであり影響力があるとみなされる。この役員に作用するのが効率的です。また、新薬を広めるには、多くの医師から相談を受ける医師(ハブ)に働きかけるとよいというような例が複数提示されています。

このような結論に至る論理展開がたくみで、どうやって伝導師パウロキリスト教を広めることができたのかから始まり、よく知られている、六次の隔たり(世界の誰とでも六人でつながる、Six Degrees of Separation)を持ち出し、さらにパレート則(80対20の法則)をとりあげ、これはべキ乗の法則の一部であり、ネットワークはべキ乗の法則に従うと関連する論文をリンクさせ、この本自体も自説のネットワーク理論に基づいて展開させています。

さらに、話の繋げ方もうまく、例えば、七章で、ネットワークが、成長と優先選択という組織原則の元で、ハブに支配されているスケールフリーモデルに従うならば、「金持ちはさらに金持ちになる」と述べたうえで、それでは、新参者はどうすれば成功できるのかという疑問を投げかけて、八章で「ボーズ・アインシュタイン凝縮」という一人勝ちの法則を持ち出してきて、マイクロソフトを例に説明しています。

例には身近で分かりやすいものを挙げているので、本書で展開されている視点でコミュニティをみてみるのも一興かと思います。

  • バトン渡し

次は、名前は露出していませんが、数々の翻訳を手がけている、縁の下の鉄人id:miwamiwa1972さんです。よろしくお願いいたします。