人間の衝動・動機・欲求は、それ自体は、けっして悪いものではなく、中性的あるいは良いものである。人間には、生得的・本能的で、基本的な欲求があり、階層的に存在している。基本的な諸欲求を適度に満たされれば、人間は、停滞することなくますます成長し、心理的にいっそう健康になっていく。
つまり欲望を満たすともうそれにはあまり執着しなくなり、次の質の異なった欲望が現れてくるということである。
これには以下の5段階がある。
(1)生理的欲求
最も基本的で強く、最初に求めるものは、生きていくために必要な、食物、水、空気、性といった生理的な欲求である。私たちはだいたいこれらは満たされているといっていい、しかしそれだけでは満足せず次の欲求が生まれる。(2)安全と安定の欲求
腹がいっぱいになった子供は、安心していられるように、危険から守ろうとする。安全ならそれで満足かというとそうではない。(3)所属と愛の欲求
生理的・安全的に満たされると、それらはあまり魅力的ではなくなり、親や仲間からの愛情を欲しがる。欲求が階層構造になっているというのは、生理的・安全的状況が整っていないと愛情の欲求は生まれてきにくいからである。(4)承認欲求
親にかわいがられていても子供は反抗するようになる。認めて欲しい、評価してほしい、自分に自身が持ちたいと思うようになったのだ。私たちの大半はこの動機・欲求に基づいて行動していることが多いので、自尊心を養うことはとても重要になってくる。なぜならそれが満たされると次に進めるからだ。(5)自己実現の欲求
社会的に認められ、仲間に恵まれていても、何かしっくりこないものがある。自己実現の欲求が芽生えたのだ。「人間には、自分にしかできない固有の生き方をしたい、自分の可能性を最大限に実現したいという欲求があり、欠乏欲求が満たされた場合それを基礎にして出現する。」このように欲望をかなえていくことにより、成長していき、成長することによって、より大きな満足、やりがいを見出していく。低次の段階にとどまっていたのではほんとに幸せにはなれないのだ。
だそうだ。