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色しょく是食、食しょく是色

六韜・三略 (全訳「武経七書」)

[新装版]六韜・三略 (全訳「武経七書」)
六韜三略
六韜の概要】
文韜:戦争を始めるにあたってどんな準備が必要なのか、もっぱら政治の問題を取り上げている
 文師・盈虚・国務・大礼・明伝・六守・守土・守国・上賢・挙賢・賞罰
武韜:「戦わずに勝つ」ための政治戦略や政治の在り方について述べている
 発啓・文啓・文伐・順啓・兵道・三疑
龍韜:軍中における将軍についてその選抜条件・責任など、作戦指揮や兵力配置を中心に説いている
 王翼・論将・選将・立将・将威・励軍・陰符・陰書・軍勢・奇兵・五音・兵徴・農器
虎韜:平野で戦う際の戦略戦術や武器の使用法などをとりあげている
 軍用・三陣・疾戦・必出・軍略・臨境・動静・金鼓・絶道・略地・火戦・塁虚
豹韜:様々な情況・地形に応じた戦い方を説いている
 林戦・突戦・敵強・敵武・烏雲山兵・烏雲沢兵・少衆・分険
犬韜:部隊・兵士の教練や編成、各兵種の協同作戦などを説いている
 分合・武鋒・練士・教戦・均兵・武車士・武騎士・戦車・戦騎・戦歩

国家のとるべき基本戦略が六守、三宝という形でまとめられている。
『六守』とは国を守るべき人間に必要な資質で、『仁』『義』『忠』『信』『勇』『謀』によって構成される。
・『仁』とは高禄を得ても、礼を忘れることがないこと。
・『義』は高い地位を得ても、高慢にならないこと。
・『忠』とは重要な仕事を与えても、裏切らないこと。
・『信』とは隠し事をしないこと。
・『勇』とは死地に赴いたとしても臆さないこと。
・『謀』とは諦めずにやり遂げること。
三宝』とは国を富ますもので、『農業』『工業』『商業』を指す。
・『農業』が盛んであれば、国民は飢えることなく暮らせる。
・『工業』が盛んであれば、国民は技術の恩恵を受けられる。
・『商業』が盛んであれば、国民は富み、国家財政も潤う。

王者の六賊七害
『六賊』
1.臣下のうちに、広大な邸宅庭園をつくり、遊興に耽るようなものがあると、王の徳を傷つける。
2.人民のうちに、農業養蚕の常業に従事せず、意のままに馬鹿をつくして侠客を気取り、法律を犯し官吏に従わないものがあると、王の教化を傷つける。
3.臣下のうちに、徒党を組んで賢人智者を排斥し、君主の明知を塞ぐようなものがあると、王の権威を傷つける。
4.士のなかに、気位や節義ばかりを高ぶって気勢をはり、外国の諸侯と交際しては、その主君を軽んじるようなものがあると、王の尊厳は損なわれる。
5.臣下のうちに、爵位を軽んじ、官吏を賤しみ、主君のために危険を冒すことを恥とするようなものがいると、功臣のせっかくの労苦を傷つける。
6.強大な一族郎党の頭領となって威勢をふるい、貧弱な者を侵略・凌辱するようなことがあると、庶民の生業は損なわれる。
『七害』
1.智慮もなければ臨機応変の謀もない者に重賞を与え高い地位を与えるから、ただ蛮勇をたのんで無謀な戦いに万一の僥倖を得ようとする。このような者を将軍にしないこと。
2.評判は高いが実力はなく(有名無実)、内と外とで意見を変え、他人の善事は覆い隠し、他人の悪事ばかりをあげつらい、自分の進退ばかりを巧妙にしている(いわゆる巧言令色の)者。こういう者には決して相談しないこと。
3.その身を質朴そうに見せかけて、ことさらに粗末な衣服を着、無為無欲を語りはするが実は名誉や利益を求めているような者は食わせ者だから、こういう者は決して近づけないこと。
4.ことさらに奇異な冠や帯、衣服などを着て人目をひき、むやみに学問をひけらかし空論をたたかわしては外面を飾り、自らは何もせず閑静なところに引っ込んで、時流を非難してばかりいるような邪悪の者。こういう者は決して寵用しないこと。
5.人を讒訴したり巧言によって目先の調子を合わせては官位や爵位を求め、軽々しく命をかけては俸禄を貪り、遠大な計画を慮ることなく、ただ小利を貪って行動し、ちょっと聞くと高尚のようではあるが実は空虚な議論を人主にしかけるような者。こういう者は決して任用しないこと。
6.さまざまな模様を彫り金銀をちりばめて飾り、華麗な装飾に凝って本業の農業を損なう者。これは必ず禁止すること。
7.怪しげな方術、変わった技術、まじない、邪教、不吉な予言などによって良民を幻惑する者。これも必ず禁止すること。

将には五材十過がある。
五材とは、勇・智・仁・信・忠である。
1.勇なればすなわち犯すべからず
2.智なればすなわち乱すべからず
3.仁なればすなわち人を愛す
4.信なればすなわち欺かず
5.忠なればすなわち二心なし
十過とは将の気をつけなければならないこと。
1.勇気過ぎて死を軽んずることなかれ
2.性急に前後をわきまえず速断してはならない
3.強欲で自分の利益のみ考え、部下のものまでとりあげてはならない
4.思いやりの心強く、決断ができなければならない
5.知略戦略を心得ているが、いざというときに臆して実行できないのはダメ
6.軽々しく誰でも信用してしまうことはダメ
7.潔癖ではあるけど、包容力がなくて人を許すことができず、侮辱されるとすぐに怒りだす者もダメ
8.智慧はあるが頼りがいも責任感も感じられない者もダメ
9.自信過剰でなんでも自分でやらないと気がすまないのはこれもダメ
10.なんでも人にまかせてしまうのもダメ

三略の概要>
上、中、下の三つの策略から成る。
老子の思想の過去記事:http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-07-24
・上略:政治を整えるには人材を招くことが先決であることを説き、あわせて政治の要諦についてとりあげている
・中略:策略の必要性、組織の統制術などを説く
・下略:治国の要諦や臣下の使い方などを説いている

<柔よく剛を制す>…三略(上略)
「柔よく剛を制し、弱よく強を制す」という言葉がある。たしかに柔であれば人から慕われるが、剛であれば人から憎まれる。弱であれば助けてもらえるが、強であれば眼の敵にされる。ただし柔、剛、弱、強の四つのあり方には、それぞれに使い道がある。だから時と場合に応じて使い分けなかればならない。

<相手国を自滅させる策(文伐)>…武韜
文王がたずねた。「武力を使わないで目的を達するにはどうすればいいか」
太公望が答えた。「それには次の12の方法が考えられます。

①相手の要求を聞き入れてやれば、やがて驕りの心が生じ、必ずや墓穴を掘るようなことをしでかす。そこにつけ込む。
②敵国の寵臣を手なずけて、君主と権力を二分させる
③側近の者に賄賂を贈って、かれらの心をとらえる
④相手国の君主に、珠玉を贈り美人を献じ、政治を忘れさせ、下手にでて調子をあわせる
⑤相手国の忠臣を厚遇し、君主への贈り物を減らす。さらに忠臣が使者としてきても引見しない。 相手が新しい使者を送り込んできたら、丁重に遇す。そうすれば君主は忠臣を疑い、後の使者を信任する。相手の結束にクサビを打ち込む
⑥相手国の内臣を懐柔し、外臣を離間する
⑦寵臣に賄賂を贈って買収し、利益で釣って職責を怠るようしむける
⑧君主に重宝を贈って協力を求め、相手の利益になるようにとりはかる。こうして親交を重ねて我がほうに協力させる
⑨君主を誉めあげていい気持ちにさせ、相手を尊大にさせる⇒習近平安倍総理への発言か^^;
⑩謙虚な態度で相手国の君主の心をつかみ、頼りになる味方だと思わせる。信頼を得た後にひそかに策をめぐらして切り崩しをはかる
⑪相手国の有能な臣下に、内密に高い地位を約束し、重宝を贈って手なずける。スパイを相手側に送り今以上に高い地位や暮らしを約束し、我がほうへ肩入れさせる。
⑫相手国の乱臣を手なずけ君主の心を迷わし、こちらから美女や歌舞団を送り関心をそちらに向かわす。好機が到来すれば、他国と手を結んで始末を考える。

以上の12の策をすべて試みてから武力を行使する。これなら勝てると見きわめてからはじめて軍事行動を起こす。

・八徴の法→人物の本性を見抜く八つの方法
質問してみて理解の程度を観察
追及してみてとっさの反応を観察
間者をさしむけて内通を誘い誠実かどうかを観察
秘密を打ち明けてその人徳を観察
財政を扱わせて正直かどうかを観察
女を近づけてみて、人物の堅さを観察
困難な任務を与えてみて勇気があるかどうかを観察
酒に酔わせてみてその態度を観察