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民族という名の宗教
民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書)

少数民族とはよぶが、少数国民とは決していわない。
民族という概念はことばを通じて作られた人を集めるための装置だ。

個体の強力な武器は仲間を排除し、群れを分解するために使われてしまう。
人間はお互いに肉体的武器を使って争うより、共同して狩りをすることを選んだ。
ハーレムを形成する動物はオス同士がメスをめぐり争いが起きる。
近親結婚をタブーにすることで、争いが減り、家族という概念が生まれ、強弱関係ではなく上下関係が生まれ、逆に血族意識から大きな集団を形成することができた。
家族は系図のよう長い名前によって識別した。

そして、人間の敵は人間となり、集団の大きさ比べが始まった。
数は力である。
狩猟採取から脱皮して大集団化できた。

「人をまとめる原理」として世界宗教、民族、社会主義がある。
世界宗教、民族とそれに付随する国民意識ナショナリズム)は、フィクション。
国家にふさわしいのは国民という呼び名、その国家と人間とをどろどろとした感情で結びつけようとして用いられるのが民族というフィクション。
国家を支えるために国民を一つにまとめるイデオロギーが欲しい。そこで生まれてきたのがナショナリズム

部族はそれぞれ宗教をもっていて、それが部族間を超えて集団がまとることを阻害していた。
そのために、まとめるイデオロギー世界宗教が必要だった。
そのために古代日本では神道の代わりに仏教や儒教を受け入れた。
これは国内の部族間の対立を超えるには、輸入の宗教のほうが受け入れやすかった。
このことは血のつながりを捨てることを意味して、かわりに言葉によるつながり、つまり、同じ言語を話している者同士とした。
このことは実際の血縁である必要性がなくなり、養子相続という概念が生まれた。

フィクションとしての民族が生まれる前に存在していたものがはエスニック・グループ、日本なら藩、ヨーロッパだったら小王国、公候国、アフリカだったら部族という単位。
効率を重視する産業革命では、エスニックなものの壁を超えて一つにまとめる必要があり、「民族」というフィクションを持ち出された。

民族という神話を国民に信じ込ませて、国家を宗教としたのが日本。
近代化とは、民族の神話を創造するための民俗的なものの切り捨て、新しい統一した儀式を国民に押し付ける。
複数の部族で構成されたいたものを近代化のために国民を単一化する必要があった。
そのために、近代の日本では単一民族化しようとしてきた。
標準語を教え、共通の価値観を植え付けてきた。
小学唱歌を全国で歌わさせれば、それが共通の記憶となる。