青空文庫にあったので、目次順に編集してみた。魯山人の食卓と重複あり。
数の子は音を食うもの
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数の子を食うのに他の味を滲み込ませることは禁物だ。だから味噌漬けや粕漬けは、ほんとうに数の子の美味さを知る者は決してよろこばない。醤油に漬け込んでおくことも禁物だ。水にもどしてやわらかくなったものをよく洗い、適当の大きさに指先でほぐし、花がつおかまたは粉がつおのよいものを、少し余計目にかけて、その上に醤油をかけ、醤油があまり卵の中に滲み込まない中に食うのが、数の子を美味く食う一番の方法である。
生または塩漬けの数の子は、庖丁で斜めに薄く切ったものを、甘酢にしばらく漬けておいてもよいが、いや、そのほうがよいようでもあるが、干し数の子は、庖丁で切ると、どうも面白くないし、美味くもない。これはやはり指先でほぐしたものにかぎるようだ。
くちこ
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ナマコの生殖巣。はらわたはこのわた。
くちこの生なま、加州金沢から取り寄せる。
乾燥したくちこ、すなわち、このこは網の上に載せ、火に焙あぶって、そのまま食ったり、椀種わんだねにしたりする。
明石鯛に優る朝鮮の鯛
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田螺
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美味い豆腐の話
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筍の美味さは第一席
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海にふぐ山にわらび
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いなせな縞の初鰹
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若狭春鯖のなれずし
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洛北深泥池の蓴菜
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生き烏賊白味噌漬け
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東京で自慢の鮑
・鮑の水貝
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・鮑を食う話
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洗いづくりの美味さ
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洗いづくりの世界
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夏日小味
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・雪虎→揚げ豆腐を焼き、大根おろしで食べる
若鮎の気品を食う
・鮎を食う
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・鮎ははらわた
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・鮎の食い方
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知らずや肝の美味
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・鱧の腹子
小魚干物の味
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一癖あるどじょう
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鰻の話
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昆布とろ
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昆布とかつおぶしの煮だしだけでつくるとろろ汁である。
まず最初上等のだし昆布の砂を落とし、塵を払い、水を使わずに洗ったようにきれいにする。次に縦長に幅五分ぐらいに真田紐さなだひものように、鋏はさみで切る。それをまた小口から細く長く五分の糸のように切る(昆布茶の出来合い品のように)。次にかつおぶしの煮だしをやや濃い目につくる。かつおぶし一合に醤油三勺ぐらい入れた味をつけ、微温程度に冷ます(ただし刻み昆布一合煮だし二合ぐらい)。以上で材料は調ったわけである。次は擂鉢すりばちに前に刻んだ昆布を五勺とか一合入れる。一合なら五人前ぐらいになる。刻み昆布の入った擂鉢の中へ前述の醤油加減しただしを、最初少しばかり入れて、それを杉箸五本くらいを片手に持って、かきまわすのである。擂粉木すりこぎでするのもよい。それを十分間くらい根気よくかきまぜ、昆布よりねばりが出るようになるまでつづける。
こうして、以前のだしを少しずつ入れながら同じことを繰り返し、なるべくとろろのようにどろどろした液をつくるのが、昆布とろの眼目である。人手の多い家なら、替り合って精々かきまぜ、ねばねばしたものに仕立て上げるのである。
かくして、でき上がった汁を昆布は除き、炊きたての御飯に少量かけて、その上に浅草のりのもみ粉を少し振り掛けて食べる。ただこれだけであるが、万人向きに美味いものであって、食通をよろこばすに足る調子の高い料理である。
これを要約して言えば、昆布とかつおぶしの味の長所を合理的に利用した簡単な美食である。精進ならかつおぶしを用いないでやるのもよいだろう。
昆布とろの吸い物
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河豚は毒魚か
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山椒魚
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蟇蛙を食べた話
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猪の味
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琥珀揚げ
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まず指の通らぬほどのかたさに水溶きした葛を衣にして、充分煮立った油でカラリと揚げるのだ。だしはてんぷらのそれと同じように、比較的かためにつくった葛の汁に、橙かレモンを入れて酸味をつける。この葛だしの中に揚げたさかなをちょっとつけ、それを食器に形よく盛る。揚げものに、すりしょうがを少し添えると、匂いもよく、風情もととのう。
九州の窮介きゅうすけ、吉野の葛くず、山中やまなかの片栗というような本場ものでやると、料理も完全なものになる。
油は胡麻油の枯れたのがよい。オリーブ油は物足りない。大豆の油は無味に等しく、まるっきり美味くない。
茶碗蒸し
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三州仕立て小蕪汁
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まずだしをとり、次に中身がよく煮えてから、最後に味噌を落とし、沸騰したら直ちに椀に盛るという加減のところがよろしい。
鍋料理の話
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お茶漬けの話
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海苔の茶漬け
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いいのりをうまく焼いたものか、焼きのりのうんと上等のを、熱い御飯の上に揉みかけ、その上に醤油をたらし、適当にわさびを入れて、茶を注げばよろしい。
塩昆布の茶漬け
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塩鮭・塩鱒の茶漬け
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鮪の茶漬け
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天ぷらの茶漬け
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鱧・穴子・鰻の茶漬け
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車海老の茶漬け
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京都のごり茶漬け
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西園寺公の食道楽
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家庭料理の話
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鋤焼きと鴨料理 −洋食雑感−
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道は次第に狭し
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料理も創作である
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食器は料理の着物
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料理の秘訣
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料理する心
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料理は道理を料るもの
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料理の妙味
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美食と人生
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美食多産期の腹構え
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持ち味を生かす
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味を知るもの鮮し
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味覚の美と芸術の美
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料理一夕話
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味覚馬鹿
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日本料理の基礎観念
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日本料理の要点 −新雇いの料理人を前にして−
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