porpoise(イルカ)とpurpose(目的)をかけているなんてわかんない。
英語で読まないといけない本なんだろうけど、注釈がないと読み進められない物語であることを実感する。
子供の頃に読んでよくわからない、面白くないと思ったのは注がなかったからに違いない。
そして、本編を現代語訳してしまっては正しくはあってもつまらないものになるであろう。毎回、一から訳しなおしているらしいけど、その気持ちがよくわかる。
とはいえ、おそらく、アメリカ英語どころか、イギリス英語でも理解できないらしい。
序文に書かれているように、別の世紀の英国人読者のための非常に変わった複雑なノンセンスであって、切り味、趣向を十分に楽しもうとすれば、文章全体に出てこないことを実にいろいろと知っていなければならない。しかも、オックスフォードの住人しかわからないらしい。
「写真のフィルムを現像する」といった文に注釈がいるような時代がくるということですね。
そのうえで、寓話的解釈や精神分析的解釈の注釈は避けている。精神分析的解釈が望みならば、フィリス・グリーンエイカーのスウィフトとキャロルが良いらしい。
詳注アリス→新注アリス→詳注アリス 決定版→ナイト・レター誌詳注
そして、今回の『詳注アリス 完全決定版』。
原書タイトルは150th Anniversary Deluxe Edition
そして、遺作なので、まさに完全決定版なのであろう。
「鏡の国のアリス」から割愛された「かつらをかぶった雀蜂」というエピソードが
1974年に発見され、それについて解説と注釈付きで掲載されている。
余剰次元のリサも取り上げ、もはや子供たちのための物語でなく数学者のための物語となっている。「トゥイードルディの言い分」をクヌース先生が「数理論理基礎」で説明していらしい。
https://bassavenije.nl/wp-content/uploads/2019/06/Savenije-2019-Tweedledees-Logic.pdf
だから、数学者マーティン・ガードナーが魅せられて、この注釈を書いているのだろう。
"as sure as ferrets are ferrets"を「イタチかたない」と訳すなんてもう変態
使いっ走り
原文はgoing messagesをrunning erands
リンゴ掘り
リンゴをフランス語ではpommeと言い
ポテトはPomme de terre(大地のリンゴ)というので、リンゴを掘るという
ただし、リンゴ掘りのパットがどういう動物化はキャロルは説明していない。
アリスの服のもともとの色は黄色だった。
"Knight Letter"という雑誌の2010年冬号に"Am I Blue?"という論文があって、
そこに青色にいたる細かな経緯が記載されているらしい。
ずっと意味不明だった「ニセウミガメスープ」の謎が解けた。
アオウミガメスープを仔牛の肉を使って真似たもの。
イングランドの浜は大きな丸い石や砂利でおおわれていたらしい。
ハンプティ・ダンプティなどマザー・グースが有名になったのは、キャロルが引用したかららしい。
ヒラメ底とウナギ(soles and (h)eels)
タラ(whiting)をニシンと訳している意図は分からなかった。
しっぽを口にくわえているし
merlan en colereというフランス料理から来ているらしい。
https://media-cdn.tripadvisor.com/media/photo-s/0d/aa/3e/32/merlan-en-colere.jpg
ブレドンバター(Bread and Butter)
蜂に刺されない呪文
障害物を前に別々の道を進むこと
今日のジャムは絶対ない
「私」はラテン語で「今」を意味するiamで、後世でラテン語の子音のiはjに代わり、jamとなった。
アリスが店の商品を直視できない現象を
原子核周辺を廻る電子の位置を正確に知ろうとしても絶対に不可能だからとしている。
カニをつかむ(catching a crab)
オールを水中にっっこみ過ぎると漕ぎ手の胸に当たってしまう事
ハンプティ・ダンプティとは、コルチェスターで使われた大砲の名前
アリクィス・フェキット(S.E.Maberly)という画家の絵を見て卵人間ハンプティ・ダンプティのイメージが生まれた。
まさただしくは
アリスのexactlyに対して、exactually。exactlyとactuallyがごっちゃになったもの
はるか真横
はるかま(wabe)は、「はるかまえ(way before)」「はるかまうしろ(way behind)」の頭「はるかま」。
これにアリスは「はるかまよこ(well beyond)」と答えた。
パン割るナイフはブレドンバター
パンがナイフで割り切れたら、今度はバターを塗るから
小川を飛び越えるというのがチェスの指し手をさしているらしいが、どこかは注を読まないと追えない。
特に「黄金の冠でありました」から、Q8つまり、行き止まりのマスに到達して、
成り上がることができるようになり、それはクィーンであると示していると読み取らないといけない。
ややこしのは
「赤のクィーンと白のクィーンがアリスの両側にぴたりとくっいて座っている」
つまり、白のキングはチェックのしせょ右京になっているがお互いに気が付いていない。
これは赤がチェックを告げていないからで、チェックがないかのように指し続けて構わない。
面白いのは、クィーンは「話しかけられてから話しや」と言っているので、
誰も話しかけることができないという状況。
ハンプティ・ダンプティのイニシャルがH.Dだら、それを逆転すると、Dinahとなるから、猫のダイナはハンプティという強引な論法。