マックス・ウェーバーが指摘したように、産業革命をテコに近代国家及びそれを動かすメカニズムとして行政機構ができ、国家を一つの機会として設計し、その仕組みとしての行政府と歯車としての公務員がいる。
デジタルガバメントといえば、エストニアが有名であるが、エストニアの国土は、日本の約9分の1、九州とほぼ同じ面積。人口はさいたま市と同じ。福岡市より少ない。
DXすべきは行政
■〇〇ファースト
「給食を通じてクラスのみんなが仲良くなる」では主語が「クララのみんな」だったのに、「クラスのみんなが仲良くなる給食を提供する」と主語が変わってしまう。
■大きな政府だと不平等が起こる
→不平等を解決するために組織が肥大化しコストが上がり、サービスが低下する。
小さな政府だと財源が足りない
大きな政府でもなく小さな政府でもない
「サービスは極大」で運営する行政極小
郵便事業を発端とする配給モデルだった公共サービスをインクルージョン(包括、包含、一体性)によって、行政の仕組みからあぶれちゃったひとひとを救済できるようにアップデートしないとならない。
■マックス・ウェーバーによる「官僚制」(「権力と支配」より)
・規則
・官職階層制および審級制の原則
・近代的な職務執行
・職務活動
・職務が完全に発達を遂げる
・官僚の職務執行
デンマーク・デザイン・センターCEOのクリスチャン・ベイソン
・分業
・階層
・選抜
・キャリア
・ルール
・非個性
これらから、以下の価値を社会にもたらす
・効率性
・予測可能性と信頼性
・手続き上の厚生
・平等とデモクラシー
■ウェーバー的官僚制の問題点
クリスチャン・ベイソンは官僚制の問題点を以下のように挙げている。
・イノベーションを起こすには内部障壁や規制が多すぎる
・通常の市場競争にさらされないため、価格や価値に多様性がない
・そのせいで公共事業の成否をきちんと計測・評価することができない
・長期的戦略を実施することができない
・階層的な組織構造のため、IT技術の特性を十全に活かせない
・働いている人たちが画一的すぎる(ダイシティの欠如)
これまでの政府→次世代政府
効率性→適応性・柔軟性
予測可能性→臨機応変さ
静的→動的
大量供給→個別供給
新しい行政府の姿
・分業→横断性:各種のプレイヤー間の利害や欲求を調整する役割
・ヒエラルキー→対等性・水平性:プレイヤーを仲裁しモデレートする役割
・選抜→主体性と共感性:技術的資格ではなく、課題や市民に対するコミットが資格になる。
・キャリア→ある領域を垂直的に極めるのではなく、領域横断的・水平的にキャリアを構築
・ルール→柔軟かつ臨機応変なルールメイキングを実現する主体
・非個性→地域・自治体の特性に見合った組織づくりや人員構成。人の個性が行政府の個性に
インフラからプラットフォームとしてのガバナンスへ
■クリスチャン・ベイソンのパブリックガバナンスの3つのフェーズ
http://policy.bristoluniversitypress.co.uk/leading-public-design
ウェバー型の伝統的公的管理TPA(traditional public administration)「大きい政府」→新しい公的管理NPM(New Public management)「小さい政府」→新しいモデル「ネットワークガバナンス」NG「来るべきモデル」がある。
TPA→NPM→NG
状況:安定的→競争的→継続的変化
市民のありよう:画一的→核化→ダイバース
ニーズ・課題:直截的・プロ化された課題→ウォンツ・市場を通して実現→複雑・変わりやすい・リスク
戦略:国や供給者中心→市場・消費者中心→市民社会による形成
アクター:ヒエラルキー・ハブリックサーバント→マーケット・輸入者と供給者・クライアントとコントラクター→ネットワークとパートナーシップ、シビックリーダーシップ
キーコンセプト:パブリックグッズ→ハブリックチョイス→パブリックバリュー
NGの例には、Digital Era governance、Public Value management、Collaborative governanceがある。
■パブリックグッズ(公共財)からパブリックバリューへ
パブリックバリューとは、
・市民が享受すべき権利、利益、特権
・市民が社会や国家、そして市民同士に対して負う義務
・政府や政策がその基礎に置くべき原則をめぐる、規範的なコンセンサスに則って提供されるもの
Bozeman, B. (2007). Public Values and Public Interest: Counterbalancing Economic Individualism. Washington, D.C.: Georgetown University Press.
■余談BBCのパブリックバリュー
https://downloads.bbc.co.uk/aboutthebbc/policies/pdf/bpv.pdf
• Democratic value
• Cultural and creative value
• Educational value
• Social and community value
• Global value:
官僚によるサボタージュ10の様態
・知識の欠如
・無関心
・実行力
・自動化による権限のシフト
・新規プレイヤーの参入
・調整
・プライバシーとセキュリティ
・戦略よりも戦術
・変化への恐れ
・否定的な結合
行政府が得意なこと→スタートアップが得意なこと
スケール→スピード
安定性→アジリティ
総合職→専門職
過程がすべて→結果がすべて
■インディア・スタックの構造
APIとしてのデジタル公共財
1.プレゼンスレイヤー
Adahaar→マイナンバー
Jan Dhan→銀行口座
2.ペーパーレスレイヤー
eSign→電子署名
DigiLocker→電子保管庫
e-KYC→電子本人確認
e-Receipt(電子領収書)
3.キャッシュレスレイヤー
UPI→統合決済インタフェース
4.コンセプトレイヤー
Data Fiduciary→データ変換
アカウント・アグリゲータ
■エストニアで実現しているこれだけのこと
■配給モデルをプラットフォームに変えるにはロジックモデルを利用するとよい
https://note.com/time344/n/n0201c7a5a8cc
http://iir.ibaraki.ac.jp/jcache/documents/2016/acc2016/conference/h28-0825_logicmodel_lec_ppt.pdf
■EU DECODEプロジェクトの取り組み
■人は腐敗する
業務の自動化を進める公務員の90%の業務をなくすことができ、「市民の課題を解決する」という本業に取り組めるようになる。
■「コモンズ」は二元論を超えていく
コモンズ(共有地)は、特定の所有者を持たず、あるコミュニティによって、管理・運営・利用される土地で、この概念は国家による中央管理か、詩的所有権への分割かという二元論を超えて、資源の共同管理の新たな可能性を示している。
■ガバメントイノベーションのための道具
◇先のことを考える
自分のアイデアを実現するために何をすべきかを理解する。
アウトカムを定義
・エビデンス計画
◇明確な計画を立てる
私のやり方と私の選択肢は何かを評価する。
アイデアをより大きなものに成長させる方法
・ビジネスモデルキャンバス
私と同じビジョンを持つ他のグループと協力する
・パートナーシップマップの構築
私が以前にやったことを改善する
・学習ループ
◇私の優先事項を明確にする
直接の経験から学ぶ
・体験ツアー
重要な重要な問題に焦点を当てる
・問題の定義
複雑な問題を分解する
・原因図
私の目標とそれらに到達するためのパスを定義する
・変化の理論
◇他者からのインプットを収集する
観察し、日常生活から学ぶ
彼らの視点を明らかにする会話
・インタビューガイド
人々をやる気にさせるものの中心に到達することによって。
・質問ラダー
私の仕事が私が働いている人々に関連していることを確認するため。
・ストーリーワールド
◇一緒に働いている人を知っている
利害関係者間の関係を明確にする
・人とつながりの地図
私が到達しようとしている人をより明確にする
・ターゲットグループ
それらの主要な特性を視覚化する
・ペルソナ
私の提供物がどのように彼らにとって新しいかを定義する
・約束と潜在的な地図
◇新しいアイデアを生み出す
問題を経験し解決する人々と協力する
・クリエイティブワークショップ
別の考え方で。
・高速アイデアジェネレーター
私のチームとの建設的な議論を組み立てる
・考える帽子
共有された価値観に基づいて作業を調整する
・バリューマッピング
◇テストして改善する
私の仕事で何が最も効果的かを理解する
・改善トリガー
さまざまなフェーズでの私の仕事に関する有用なフィードバックを収集する
・プロトタイプテスト計画
ステークホルダーとの関わり方の概要を作成する
・体験マップ
当社の事業とリソースの詳細な概要を作成する
・ブループリント
◇維持し、実施する
私の仕事から利益を得ることができる人々をより魅力的にする
圧倒されることなく私の計画を実行する
・重要なタスクリスト
私がやっていることを立ち上げたり成長させたりすることによって。
・事業計画
私の仕事の規模を拡大するさまざまな方法を模索する
・スケーリング計画
https://diytoolkit.org/media/DIY-Toolkit-Full-Download-A4-Size.pdf
■起業家精神をもった「賢い行政府」のアクティビズム
https://note.com/blkswn_tokyo/n/n43e83e828f1d
官僚制によって、血縁や地縁に基づく不平等が解消され、原則として民主的かつ公正に人材が登用されるようになり、そのことによって事実に基づいた、より客観的な判断が期待できる。組織がヒエラルキー構造を持つことで、ある判断をトレースすることが可能になった、そしてそこにプロとしての職業意識も生まれるようにもった
行政府に必要なのは、ネットワークとして機能すること。別の言い方をするならばプラットフォームとして機能すること。これまでの行政府は、あらゆる行政サービスを自分たちで計画して自分たちで実行してきた。しかし、それではきめの細かいサービスは提供できず、予算がいくらあっても足りない。プラットフォームとして機能するということは、社会のなかにあるリソースをアクティベートして公共サービスを執り行うということ。
■デンマークでは2030年に化石燃料を一切禁止するといった政策をとった。
自動車産業がなくなっては困るから現状を維持すべきだと短絡的な考えではなく、つまり、自転車がクルマにとって代わると考えるのではなく、自転車によって新しい経済が生まれると考える。
■India Stack(インディアスタック)とは
https://note.com/hiroki_yoshida/n/n1fcfb36d229f
■「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(「次世代医療基盤法」)
次世代医療基盤法では、患者本人が反対しなければ同意したとみなして(オプトアウト)、医療情報を第三者である認定事業者に提供できる。また、本人同意があれば、個人の健康・医療・介護の経年的なデータを統合し、医療・介護職等に提供できる。