akon2.00βのよっぱらいの戯言

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モラル・エコノミー インセンティブか善き市民か

 

インセンティブ」と「法」だけでは、繁栄は築けない。善き「徳」に導かれた人々が不可欠である。


経済学はアダム・スミス以来、人間の行動動機の中核に、利己心を据えてきた。制度や政策を設計する際には、利己心をうまく活用するインセンティブ(罰金、報酬など)を組み込むことで、人間や企業を最適状態に導けると考えてきた。
しかし、金銭的な損得勘定への還元は、人間が元来もっている責任、義務、利他性といった「市民的な徳」を、かえって弱める。インセンティブのもつ「他律性」が、人間の自律性を抑えたりするかもしれない。

経済理論は、リベラルな社会が満たすべき最低限の要件、つまり「参加の自発性」(政府による強制があってはならない)と、「選好の中立性」(政府は特定の価値観を押し付けてはならない)を満たしながら、インセンティブ体系だけで社会的最適(「パレート効率性」)を達成しようとしても、失敗することを明らかにしていた。

こうしたジレンマを抜け出すには、互恵的で他者考慮的な選好をもつ個人の存在が重要。一定のルール下であれば、彼らに触発されて利己的な個人が協力し、よりよい結果を導き出すよう行動する。立法者は、こうした互恵的で他者考慮的な価値を育み、人々が協力に向かうようルール形成する必要がある。

 

リベラル・トリレンマ
カニズム・デザインが発見したものは、リベラルな立憲的設計と公共政策の3つの条件、すなわち、選好に関する中立性、自発的参加、パレート効率性は、一般的に両立可能ではない。このトリレンマからの解決の一つの途は、リベラルな中立性を棄却することである。