進化の法則
「変化して選択される」
過去5回の大量絶滅
オルドビス紀・デボン紀では生物の80%
ベルム紀では生物全体の95%
三畳紀では火山の大規模噴火などで75%
白亜紀では恐竜など70%
変化による多様性を生み出すのに有効な有性生殖の仕組みを持つ生物が、進化の過程で選択されて生き残ってきた。
有性生殖においては、子供のほうが親よりも多様性が高い。そのため、親でなく子供が生物学的に選択され、後に残る。私たち生き物が死ななければいけない大きな理由は「多様性」の維持のためである。
遺伝子の変化が多様性を生み出し、その多様性があるからこそ、死や絶滅によって生物は進化してきた。
死に方
アクシデント→食べられる
寿命→たとえば交尾を済ませるとバタバタと死ぬような昆虫的な死に方。
カブトムシを見てもわかりますが、硬い兜かぶとに包まれた成虫に比べると、軟らかいイモムシのような幼虫はかなり無防備です。
土や枯れ木の中に隠れてはいますが、モグラの大好物です。食べられて死ぬのもこの時期が多いです。成虫は木の上や、枯葉の下などの浅い地中にいるのでカラスやネコに狙われますが、食べられるリスクはずっと低いと思われます。
捕食されるリスクのみならず、幼虫は行動範囲が狭いという点がデメリットです。もし幼虫のまま成虫になれないとすると、近くにいる遺伝的に非常に近い個体との交尾しかできないため、多様性の確保という面ではいまいちです。
そこで、より運動性が高く捕食されにくい硬い体を持った「成虫」になるように進化したのでしょう。つまり交尾のために変態するのです。
それなら変態などというめんどうくさいことをしないで、最初から成虫の形で生まれてくればいいじゃないかと思う方もおられることでしょう。
バッタの仲間はそれに近く、幼虫と成虫が似ていますが、何度も脱皮する必要があり、そのときに動けない時間があるため捕食されるリスクはやはりあります。
一方、カブトムシのような硬い殻(兜)を持つ昆虫(甲虫)が脱皮するのは、現実的に不可能です。そのため、幼虫、蛹さなぎというリスクの高い形態を経る必要があります。それ以外にも幼虫の時期に大切な意味があります。
成虫になってからの食料やメスを奪い合う戦いに勝つためには、大きな体と長いツノが有利です。そのためには、モグラに食べられるリスクはあっても、長期間にわたる幼虫の時期にたくさん食べて体を大きくしておくほうが結果的には正解だったのでしょう。
ガン化のリスクを避ける機能
・免疫機構
・細胞老化機構
寿命に関わる遺伝子
・GPR1(栄養分である糖の代謝に関わる遺伝子)
GPR1が壊れると、酵母の寿命が約50%延長する。
この遺伝子にコードされているGpr1タンパク質は、糖センサーとして、糖が細胞の周りにあるのを細胞内部に伝えて、糖を利用する準備を促す作用がある。このセンサーがうまく働かないと外の栄養をうまく利用できなくなる。その結果、細胞の生育は遅くなり細胞小さくなるが寿命は長くなる。
・FOB1(DNAの複製を止めて組み換えを起こす)
・SIR2(非コードの転写を抑えて、「ずれた」組み換えを防ぐ
少なめの食事は健康にいい
・栄養がうまく利用できないと長生きになる理由
多くの生物では、栄養の摂取量が少し減ると寿命が延びる。酵母でも餌の糖分の割合減らすと、寿命が約30%延長する。普通は20回分裂して2日で死ぬが26回分裂できる。生存している時間がかなり延長する。
・食餌を減らすと寿命が延びる理由(代謝の低下)
生物は呼吸によって栄養を燃やして、エネルギーを得ている。エネルギーは、細胞の活動や体温を維持するのにも使われる。栄養が多ければそれだけ「代謝が活発になる」。活性酸素などの副産物も多く出でる。活性酸素などが、DNAやタンパク質を酸化し働きを低下させる。活性酸素の量が食餌制限によって減少し寿命延長に貢献している。
そして、グルコースセンサーであるGpr1タンパク質がうまく機能しないとグルコースが十分にあってもそれを感知・利用できないので、カロリー制限と同様に代謝が低下し寿命延長の効果が得られる。GPR1以外のグルコース代謝に関わる遺伝子の変異も寿命を延長する。