世界は巨人の身体から創られた
最初にユミルという巨人が誕生し、彼の子孫と氷の中から誕生した神ブーリの子孫の間に生まれたのがオーディン。オーディンは三人兄弟の長男で、彼は弟たちと協力してユミルを打ち殺し、その身体で世界を作り上げた。
登場人物
オーディン ひそかな努力家
世界を創ったアース神族の主神。三人兄弟の長男だが、弟たちは特に活躍しない。基本的に自由奔放だが、ルーン文字習得のために9日間ユグドラシルに逆さづりをしたり、知恵の泉の水を飲むために方目を差し出したりと、ひっそり努力したりしている。浮気性だったり、怒りっぽい勝ったりするのはゼウスと同じ。ラグナロクでは巨人族の狼・フェンリルに飲み込まれて死ぬ。
トール 女装もする武神
カミナリの神様で、強い。ミョルニルという、敵に投げても自動的に手元に戻ってくる槌が武器。ミョルニルは結婚のときの儀式でも使ったりする。ミョルニルが巨人に盗まれたときは、女神フレイヤに女装してロキと一緒に取り戻しに行ったりした。ラグナロクでは大蛇ヨルムンガンドと戦って相討ちになる。
テュール フェンリルの飼い主?
勝利の神様で、フェンリルがまだアース神族に飼われていたとき、えさをやって可愛がっていた。その後、大きくなりすぎたフェンリルを神々が捕縛するとき、フェンリルを信用させるために口の中に右腕を入れ、食いちぎられてしまうちょっと可愛そうな人。ラグナロクでは冥界の番犬・ガルムと戦って相討ちになる。
バルドル ラグナロクが起きたのはこいつのせい
オーディンの息子で、光の神。地上のあらゆるものでも傷つかない身体だったが、ロキの悪ふざけによって唯一傷つくヤドリギの若木の矢で命を落とす。神々は冥界に行ってしまったバルドルを、冥界の女王ヘルと交渉して取り戻そうとするが、ここでもロキが邪魔をして交渉失敗。彼がいなくなったことで世界から光が失われていき、ラグナロクが始まる。しかしバルドル自身は、ラグナロク後に世界に復活するので、ある意味で最後まで生き残った人物。
フリッグ オーディンの奥さん
オーディンの正妻で、バルドルの母親。バルドルを守るため、世界中のあらゆるものと「バルドルを傷つけない」という約束を取り付けて息子を守ろうとしたが、ヤドリギの若木だけは若すぎて契約が取れなかった。フレイヤと同一人物ともされている。
ヘイムダル ロキと腐れ縁
神の国と人間の国を結ぶ虹の橋・ビフレストの見張り役。高い視力と聴力があり、睡眠時間が短いショートスリーパー。ラグナロクでは攻め込んで来る巨人族を見つけて、角笛ギャランホルンを吹き鳴らした。ロキと一緒に行動することが多く、腐れ縁かもしれないが、ラグナロクではそのロキと一騎打ちをして相打ちになる。
イズン リンゴのお姉さん
アース神族の不老不死の元「若返りのリンゴ」を管理している女神。ラグナロクでは戦闘に参加しておらず、ユグドラシルの梢から落下して姿を消したとされている。
ノルン ユグドラシルの世話係
「運命」の女神ウルズ、「存在」の女神ヴェルザンディ、「宿命」の女神スクルドの総称。世界樹ユグドラシルに水をやって管理しているのは彼女たち。ちなみに、ギリシャ神話ではモイラという③女神でいて、それぞれクロートー、ラケシス、アトロポスという。
フレイ でかい男根
ヴァン神族のイケメンで、現存するフレイ像は巨大な男根がトレードマーク。さまざまな宝物を持っていて、
・どんな方向の風もつかみ、折りたたんでポケットにしまえる魔法の船「スキーズブラズニル」
・馬より早く走る黄金の猪「グリンブリスティン」
・ひとりでに戦ってくれる宝剣
などがあった。ただし、巨人族の娘・ゲルズと結婚するために宝剣を手放したため、ラグナロクでは鹿の角で炎の巨人・スルトと戦うことになり、敗北してしまう。
フレイヤ エロスの権現
フレイの妹で、豊満な肉体と美しい容姿を持つヤリマン女神。美しい首飾りを手に入れるために4人の小人族とベッドインし、オーディンの愛人で、お気に入りの人間を猪に変えてそばに置いていた。そのうえ、得意な「セイズ呪術」は性的なエクスタシーを伴うという筋金入り。
ロキ 憎めないけど諸悪の根源
もともとは巨人族の両親から生まれたが、オーディンと義兄弟の契りを結んでアース神族に仲間入り。両性具有者で変身が得意。序盤こそトールやヘイムダルとつるんで仲良くやっていた。子どもをたくさん作り、ヨルムンガンドやフェンリル、ヘル、スレイプニルなどはみんなロキの子ども。
バルドル殺しあたりからアース神族の信頼を失い、捕えられて洞窟に幽閉される。ラグナロクで開放され、子どもたちやほかの巨人族と共に神々に戦いを挑み、ヘイムダルと相討ちになる。
フェンリル いろいろ不憫な子
ロキの子どもで、ヨルムンガンド、ヘルのお兄さん。しかし、「アース神族を滅ぼす」という予言で弟や妹は追放され、自身も魔法の紐グレイブニルで捕縛される。ラグナロクで開放され、オーディンを丸呑みにして復讐を果たすも、オーディンの息子・ヴィーザルに殺される。
ヨルムンガンド 成長しすぎた蛇
フェンリルの弟で、巨大な蛇。小さいときに捨てられるが、海の中ですくすく成長し、世界を取り囲めるほどの巨体になる。動くだけで大津波がおき、口からは毒を吐く。ラグナロクではトールと戦い、ミョルニルで頭を勝ち割られて死ぬが、毒の息でトールも殺す。
ヘル 冥界の女王
フェンリルとヨルムンガンドの妹。幼いときに神々の国から追放されたが、オーディンから9つの世界を支配する力を与えられ、死の国ニブルヘルを治めて冥界の女王となった(オーディンは女に甘い)。ラグナロクでは自ら戦場に出ることはなかったが、父であるロキに死者の軍隊を貸している。
ゲルズ なんだかんだでフレイに惚れる
巨人族だが、フレイの奥さん。超絶美人で、フレイからの猛アタックを突っぱね続けたが、最終的には脅されて結婚。しかし、結婚後はなんだかんだフレイと仲むつまじい夫婦になった。
スルト 世界を滅ぼした張本人
火花が飛び散る大地ムスペルスヘイムを支配する炎の巨人。いつ生まれたかはわからないが、かなり古くからいて、ムスッペルという一族と一緒にいる。ラグナロクではムスッペルたちと一緒に神々の国に攻め込み、フレイと戦って彼を殺害、さらに炎の剣によって世界を燃やしつくし、大地を海に沈めた。
シグムンド オーディンに翻弄された王様
オーディンに選ばれた人間族の勇士。しかし、オーディンに選ばれたことで妹の夫に逆恨みされ、一族を殺害される。彼は復讐をして国王となるも、女性関係でゴタゴタした挙句、再び現われたオーディンに剣を折られて戦争で敗れ、死後、ヴァルキューレに連れられてヴァルハラにいく。
シグルズ 竜殺しの英雄
シグムントの子どもで、戦士の王。幼いときは鍛冶屋のレギンに育てられ、成長したあと父シグムントのかたき一族を滅ぼす。その後、レギンにそそのかされて黄金を守る竜ファヴニールを討伐。その心臓から流れた血をなめたところ、小鳥の声が聞こえてレギンの裏切りを知り、彼を殺害する。
その後、小鳥の声に導かれてヒンダルフィアルの山頂で、オーディンに逆らったがために眠りの呪いをかけられていたヴァルキューレ・ブリュンヒルドに出会い、結婚を約束。しかし、そのことを忘れた彼は別の女性と結婚し、嫉妬に狂ったブリュンヒルドの策略で命を落とすのだった。ちなみに、ドイツ語でジークフリート。
ファヴニール 黄金を守る強欲な竜
黄金を守る竜。じつはもともと人間で、黄金への執着による呪いで竜に変身してしまった。しかも、じつはシグルズの養父レギンの実の兄でもある。
そもそもの発端は、ファヴニールの兄をロキがうっかり殺してしまったため。ファヴニールとレギン、そして彼らの父親は賠償金を請求したが、ロキは小人族から奪った呪いのかかった黄金で支払ったのである。黄金に取り付かれたファヴニールは父を殺し、黄金を守る竜に姿を変えてしまったのだった。