ティール組織の理論モデルの一つ。人、組織、社会の全体像を正確につかむフレームワーク。
第1章 私たちはどこへ向かっているのか ~現代の発達心理学の視点より~
人類の世界観の歴史と個人の内面的発達には、ある種の並行関係がみられる。
過去のすべての段階は「超えて含む」という形で私たちの内部に受け継がれている。
断片化する最先端の世界
統合的な見方、包括的な見方、包括的な「万物の理論」
ベビーブーム世代の病
自己愛の文化は、統合的文化とは正反対のもの
実存の諸段階
発展のモデルのひとつに(ティール組織で示される)スパイラル・ダイナミクスがある。
ヒトイシキプロジェクト
人間の発達は、八つの段階(ミーム)を通って進んでいく。
人間の意識とは、網目細工のように、あるいはダイナミツクな螺旋のように、展開していく
第二層の意識への跳躍
第2章 発達とは何か ~自己愛とケア――発達の本質と現代社会の病~
発達とは自己中心性の減少である。
発達とは包み込むことである。
前/後の混同
進歩の弁証法
差異化と統合
思いやりの螺旋
体制側と闘争せよ
成長型の階層構造と支配型の階層構造
ベビーブーム世代の病
グリーンの段階が与えてくれるもの
多元主義を超えて
多元的な意識(グリーン)のなかから、統合的な意識(ホリステイックな第二層の意識)は出現しえない
「統合的文化」
第3章 インテグラル理論とは何か ~統合的ヴィジョンの概要~
インテグラル理論は、AQALモデル、つまり、象限、レベル、ライン、ステート、タイプという五つの要素からなるモデル。
統合的変容
達成、不協和、洞察、快方
著書『進化の構造』について
意識の全スペクトラムを包括する
人間の発達心理を利用して、集団における倫理、物理世界との調和を目指していこうというもの。
「真善美」は個人の内面からくる衝動で、善が所属する集団にとっての良いこと、そして真は個人や集団の外にあるものを観察し、それを身体や生活様式に取り込むとことと言える。
インテグラル理論はこの真善美を一つ増やして、四つに分けて、「四象限(よんしょうげん)クオドラント」と呼んでいる。
▼四象限
個人の内面
個人の外面
集団の内面
集団の外面
そして、「レベル」「ライン」「ステート」「タイプ」というフレームワークをつかって、個人の成長を軸に、集団と物理世界との調和を目指していく方法論です。
▼レベル
1、衝動的段階(インフラレッド)
2、呪術的段階(マゼンダ)
3、利己的段階(レッド)
4、神話的段階(アンバー)
5、合理的段階(オレンジ)
6、相対的段階(グリーン)
7、統合的段階(ティール)
8、超越的段階(ヴァイオレット)
▼ライン
1、認知 それは何か。 意識とは何か。
2、自己 私とはだれか。
3、価値 価値とは何か。 何が重要なのか。
4、道徳 良いこととは何か。
5、対人関係 他者とは何か。 どのようなコミュニケーションが可能か
6、スピリチュアル すべてのバランスをどうとるのか。
7、欲求 何が欲しいのか。 欲望を見極める。
8、運動感覚 身体の知覚。 仏教的五識、五感。
9、感情 苦しみ、痛み。広がり。どう感じるのか。
10、美意識 美とは何か。何が美しいのか。
ラインは、所属する集団の文化などによって変化する。
▼ステート
覚醒意識と変性意識。
覚醒、夢見、熟睡、観想、非二元
・デルタ 熟睡(3-7)
・アルファ まどろみ(4-7)
・シータ リラックス(8-13)
・ベータ 覚醒(14-33)
・ガンマ 悟り(40)
▼タイプ
合理的なことが好き。
お世話が好き。
名誉が好き。
ユニークなことが好き。
熱中していたい。
忠実でいたい。
快楽を探求したい。
支配していたい。
マイペースに平和を愛したい。 などなど。
実行促進型
関係構築型
管理運営型
企画立案型
インテグラル理論とは、「自分のタイプ」を探しながら、「意識の状態(ステート)」をコントロールして、「自分の好きなライン」から「レベル(抽象度)」を上げていく。そうやって個人を成長させ、自分が所属する集団における道徳、そして物理世界との調和をとっていく。
阿頼耶識から言語になる機序、禅の公案をぐるぐる回すような動き、これらを詳細に記述していっても同じような説明になっていく。
全ての象限を包括する
統合的地図の概要
地図のつくり手を変容させること
最優先指令
地に足の着いた偉大さを
現代世界における統合的ヴィジョン
第4章 宗教をどう考えるか ~「瞑想の科学」としてのスピリチュアリティ~
科学を「狭い科学(物質的で感覚的な世界だけを対象とする化学)」と「広い科学(人間の内面も扱うとする化学)」に大別し、他方で、宗教を「狭い宗教(個としての自己に意味や慰めを与える宗教)」と「深い宗教/深い霊性(個としての自己を超えた深い意識に目覚めようとする宗教/霊性で、科学にの三つの要件を満たすもの)」に大別することで、両者の間に橋を架ける。
科学と宗教の関係
科学と宗教は「重なることのない二つの領域」なのか?
神秘主義者の脳
科学と宗教への「全象限、全レベル」のアプローチ
本物の科学の3要件
深い宗教の特徴
統合的な啓示
違いに万歳!
狭い宗教の位置づけ
リベラル派の精神性
第5章 インテグラル理論を活用する
~現実世界への応用――ビジネス、医療、政治、教育など~
理論の応用例の紹介。
内面の発達が外面の発達に追いつかなければならない。
ブルーやオレンジやグリーンを解体してイエローやターコイズを押し付けることでなく、らせん全体の健全さを維持し向上させること。
政治への応用
統治論への応用
医療への応用
ビジネスへの応用
教育への応用
意識研究への応用
スピリチュアリティへの応用
エコロジーへの応用
マイノリティへの支援
全象限、全レベル、全ライン:ユニセフの例
未来の脅威
第6章 多種多様な世界観を結び合わせる ~世界観のメタ分析~
「フラットランド型オレンジ」ではなく、「深さのあるオレンジ」を追求すること、「自己愛型グリーン」ではなく「相互的な愛に満ちたグリーン」を体現すること。「支配型の階層構造に基づくブルー」に抵抗しつつ「健全な秩序と美徳に基づくブルー」を回復すること。
万物の索引
さまざまな世界観
ベラーとガーゾンの例
深さという垂直的な視点
フクヤマ『歴史の終わり』
ハンティントン『文明の衝突』
垂直的視点と水平的視点
意地悪なグリーンのミーム
世界文明
霊的体験の諸段階
宗教が簡単には消えない理由
統合的実践
第7章 自分自身を変容させる ~統合的実践を始めるために~
「自己と文化と自然(あるいは真善美、あるいは心と体と人間関係とシステム)のすべての領域において、物理的(身体的)な次元、情動的な次元、心的な次元、そして精神的/霊的な次元のすべてに配慮する」
統合的変容のための実践
推薦図書
真実だが部分的
そして全ては元通りになる
ホロン(それ自体として全体であると同時に他の全体にとっての部分であるもの)
フラットランド(外面領域だけが現実のものであるという見方)