牛乳が余っているらしいので、幻の美味、醍醐について調べてみた。
ふわっと、蘇から作るくらいしかわかっていないと思っていた。
ところが、「日本における古代乳製品の"酥"および"醍醐"の本草網目(李著)にもとづく再現試験」という論文によると、モンゴルのシャルトス(モンゴルバター)が醍醐にあたることがわかった。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikusan1924/59/3/59_3_253/_article/-char/ja/
そもそも、「涅槃経」では、五味として、乳、酪、生酥、熟酥、醍醐の順で精製され、醍醐は一番美味しいものとされることから、醍醐は最も美味しい味の代名詞。
さて、モンゴルのシャルトスを調べていくと、幻の美味というだけあって、すぐにはわからない。諸説あるが以下のような感じ(ウルム、タラグ、ビャスラク、エーズギー、アロールという説などもある)。
ウルム
生乳を弱火で煮詰めたものをひと晩おいて表面に固まる脂肪分を集めたもの
→バター、イギリスのクロテッド・クリーム、トルコのカイマック、
シャルトス、
ウルムを加熱してできた黄色い脂肪分
→ギー
チャガントス
シャルトスの残りの白い油
ツツギー、
水分を含むクリーム状の残渣
と、シャルトスは醍醐ではない。
振り出しに戻り、究極の乳製品「オーラグ」というのがあるらしい。初乳を20-30分ほど蒸すという作り方は簡単そうだけど、初乳なんて無理。
確かに涅槃だわ。ここで、「蒸す」でひらめいたのは、牛乳を温めたときに、ラムスデン現象でできる膜(ミルクカゼイン)、つまり、牛乳にできる湯葉。
この視点で、ウルムについて調べてみたら、牛乳を沸騰させて出来た膜を厚く重ねたものという説が出てきた。
これを脂肪分の高い牛乳でつくったらできそうだけど、先駆者がいて、そんなおいしくないらしい。現代人の口に合わないから廃れたんだろうな。