「経験経済・エクスペアリエンス・エコノミー」の改訳。
経験は第四の経済価値。
経験経済の先である「変革経済」。
経済システムの進化
コモディティ→代替可能な自然からの産物
製品→用途に応じて規格化されたもの
サービス→他人にはしてもらいたいけど、自分ではしたくない仕事
経験→顧客を魅了し、サービスを思い出に残る出来事に変える
ING化(進行系化)
製品がどう動くかではなく、どう使うかに注目する。
→その人が製品を使用しているときに注目
技術はものごとをING化(進行系化)し、製品の価値経済を高めるための一つの手段。
製品の価値経済を高める方法
・感性や感覚に働きかける製品を作る
・製品をレアものにする。
・会員制クラブ組織を作る。
・製品イベントをステージングする
価値経済の進展
変革を導けるような「人生を変えるような経験」を描き演出するポイント
・経験にテーマを
・経験を4E(Entertainment、Educational、Esthetic、Escapist)で演出する
横軸は顧客参加度、縦軸は顧客と経験を結ぶ関係性・状況性で分類でき、この特性に合った場をつくり出していく。
・顧客満足と顧客我慢
経験にテーマを与える
・テーマの設定
マーク・ゴットディナーの「構築された環境」
バートン・シュミットのエスセティクス(外観や雰囲気の観点からブランドを構築する)
経験にテーマを設定するルール
・人を惹きつけるテーマはゲストの現実感覚を変える
・記憶にあざやかに残るような場所は、空間、時間、物質の三つの側面から人々の経験に働きかけ、そこにいる人の現実感覚を完全に変えるテーマを持っている
・魅力的なテーマは空間、時間、物質を一つのリアルなまとまりとして融合させる。
・一つの場所の中に複数の場所をつくりだすことで、テーマは強化される
・テーマは経験をステージングする企業の特性に合っていなければならない
製品からサービスへ、サービスから経験へ
■計画的インタラクションの三つのやり方
・一度にすべての選択肢を示したうえで顧客に自由に選んでもらってもいい。
・一度に少しずつ選択肢を示す。
・デザインツールを意図的に隠す
■顧客の要望がつかめたら、今度はそれを直接取り入れて、より効率的に製品の生産やサービスの供給を行ない、旧来からのサプライチェーンをデマンドチェーンに転換する必要がある。
■知るべきものは「顧客我慢」
・顧客満足=顧客が得られると期待しているもの - 顧客が得られたと認知しているもの
・顧客我慢=顧客が本当に求めているもの - 顧客が受け入れたもの
■演劇の4つの型
・即興劇
即興の場合、想像力、創造性、それにこれまでにないまったく新しいパフォーマンスが求められる。
・舞台劇
舞台劇では、物語は定められた順番で進行するので、あらかじめ用意された台本から逸脱する余地はほとんどない。
・編集劇
別の時間に、別の場所で行われた出来事の断片を連ね、調和のとれた形で全体像を描き出す。
・路上劇
まず道行く人々の関心を引き、そのスキルや能力で集まった観客を驚かせ、最後に観客に見物料を要求する。
■完全に暗記された売り込みパターンを利用しているときは、セールスマンは路上劇を演じている。
■経済価値のピラミッド
変革:決めて導く
経験:描き出して演出する
サービス:考えだして提供する
製品:開発して製造する
コモディティ:探し出して抽出する
■すべての企業はビジネスをとおして自社の理念や価値観を実践している
・コモディティの抽出は、地球上に生息するすべてのものに影響を及ぼしている
・製品は、ユーザーをその製品の使用者に変える
・サービスは、ゲストをサービスの受け手に変える
・経験は、顧客をイベントの参加者に変える
・変革は、変革志願者を「新しい自分」へと変える
■企業が何に対して請求しているか
・コモディティビジネス:物質に対して請求
・製品ビジネス:有形物に対して請求
・サービスビジネス:実行した活動に対して請求
・経験ビジネス:顧客と一緒に過ごした時間に対して請求
・変革ビジネス:顧客が達成した実証済みの成果に対して請求
■ビジネスは劇場である
変革のガイドの役割はただ一つ。大きな望みを抱く役者が新たな役割を演じるのを監督することである。
■顧客から信頼を得るためのポイント
・カスタマイズすること
・顧客を本当に惹きつけてやまない経験をステージングすること
・役者が新しい演技をリハーサルできる場を設けること
・役者の演技を演出すること
■経験の演出に必要なプロセス
・新しい台本をつくる
・イベントを効率的に演出する
・記憶に残す
・観客と出会う
■顧客を変革するのに必要なプロセス
・新しい目標を決める
・顧客を導く
・決意を強くする
・顧客を支える
■「経験を利用したマーケティング」ではなく、「経験を作り出すこと自体がマーケティング」
■ロケーション・ヒエラルキー・モデル(リアルな場所)
・フラッグシップとなる場:ほかのどこにもない唯一の場をつくる
・経験のハブとなる場:顧客が自然に集まれる場所を数カ所選ぶ
・主力となる場:日常的にその地域で生活している人に働きかける場
・派生的な場:他の店舗やイベントに出店する”場所の中の場所”
・世界中の市場:顧客が企業の売り物と出会う可能性のあるすべての場所
■ロケーション・ヒエラルキー・モデル(バーチャルな場所)
・フラッグシップサイト:ほかのどこにもない唯一の場所
・経験のポータル:時間をかけて楽しめる経験価値の高いポータル
・主力のプラットフォーム:独自のウェブ経験を提供したい場合につくる独自のウェブサイト
・派生的なサイト:他社のサイトの中に”サイトの中のサイト”として自社のデジタルな経験の場
・ワールドワイド・ウェブ:企業の売り物に関する情報が掲載されている数多くのウェブサイト
変革を導く方法
望みの診断→経験の演出→事後のフォロースルー
望みの診断
・顧客は何を望んでいるのか。
・その望みと比較して現在はどのあたりにいるのか。
・どうすれば顧客の望む変革が達成できるだろうか。
などの理想と現状の正確な理解・把握からスタートします。
事後のフォロースルー
維持と退化防止が必要で、一番難しいとのことです。個人の実感としても難しさと泥臭さが必要
顧客の信頼を得る
・カスタマイズすること。一対一の関係を築いていく。
・本当に惹きつけてやまない経験をステージングすること。新たな発見や忘れがたい経験をしてもらう。
・役者(買い手)が新しい演技をリハーサルできる場を設けること。他者からも学びたい意欲のある買い手を集めてコミュニティをつくり出す。
・役者の演技を演出すること。命令するのではなく、サポートと干渉の間の絶妙なバランスをうまくとる。
経験ビジネスを成功させる七つの要素
・フラッグシップとなる場をつくれ
・伝統的マーケティングから予算を奪取せよ
・クリエイティブなアイデアこそが研究開発
・幅広い経験のポートフォリオを用意せよ
・リアルとバーチャルの経験の統合せよ
・経験に料金を請求せよ
・チーフ・エクスペアリエンス・オフィサーを雇え