著者が診察し、観察した患者たちを
症状から見た欠点ではなく、長所として描いている。
第1部 喪失
妻を帽子とまちがえた男
→いつもどおり並行して読んでいた書籍に「単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)
」があり、それによるとまさに「左側の視界でみたもので、みたものを判断している。」と書いてあった。
ただよう船乗り
→掟上今日子は、まさに「アルコールが原因の乳頭体変性によるコルサコフ症候群」なんだろう。そして、日記をつけないのは守秘義務ではなく、前日という概念がないので「前に書いたことを見ても理解できない」ということらしい。
からだのないクリスチーナ
→六番目の感覚とは、「からだの可動部(筋肉、腱、関節)から伝えられる、連続的ではあるが意識されない感覚の流れである」。
→からだの感覚は、視覚、平衡器官(前庭系)、固有感覚がある。通常は、この三つすべてが協調して機能しているが、ひとつがだめになっても、他の二つが補うか、かわりをつとめることができる。この固有感覚が六番目の感覚である。
→ビタミンB6(ピリドキシン)の過剰摂取で発生することがある。
ベッドから落ちた男
マドレーヌの手
幻の足
→ファントム(幻影肢)とは、からだの一部分がなくなったのに、絶えず見えてる(記録されている)こと。
水平に
右向け、右!
大統領の演説
→失語症でも、視覚的手がかり(表情、シェスチャー、無意識のうちに出てしまうくせや態度)と言語に付随する手がかり(声の調子、イントネーション、示唆的な強調、抑揚)から、話しかけられたことを理解できる。
→失語症患者は言葉として理解できないから、言葉によって欺かれないので、うそをついてもみやぶられてしまう。
→失認症は、逆に言葉は理解できるが、声の表情や調子に対する感覚がなくなっている。このため、声の表情をよみとれないので、話し手の顔や態度や動きをみなければならない。
第2部 過剰
喪失(機能の欠落)の反対に、機能の過剰もある。
健忘症→記憶亢進症
失認症→認識亢進症
機知あふれるチック症のレイ
→トゥレット症候群は、神経エネルギーが過剰になる→奇妙な動作やきまぐれが度をこしてひんぱなにおこる。
キューピッド病
アイデンティティの問題
冗談病
とり憑かれた女
第3部 移行
病理的な症例ではなく、知覚の変形したもの、イマジネーション(夢)
→過去への移行
おさえがたき郷愁
→Lドーパで覚醒させられると追想がおきる。この追想は老年性やアルコールでも起きる。
インドへの道
皮をかぶった犬
殺人の悪夢
ヒルデガルドの幻視
第4部 純真
詩人だったり、音楽家であったり、数学者であったり、芸術家であったり、才能に恵まれた知恵遅れはその分野においては健常である。