代替医療(特に、鍼治療、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブ療法)はプラセボ効果を上回らない。むしろ、プラセボ効果は重要。
鍼治療→ある種の痛みや吐き気に対して、効果があるかもしれないが、微々たるもの。
カイロプラクティック→腰痛の治療に限定される。
ハーブ療法→何らかの症状に効き目があるものもあるが、ほとんどの場合それ以上に聞く通常医療の薬がある。むしろ、副作用が危険。
平均への回帰
具合が悪いと感じるのは症状が一番重い時期にあたっているので、それ以降は普段の平均的状態へと戻り始めている可能性が高い。
鍼は中国で生まれたと思っていたが世界最古の鍼治療患者はオーストリア共和国チロル州エッツ谷で発見され、5000年前から行われていた。
プラセボ効果の科学的基礎は解明されていないが効果はあり、
効果をできるだけ大きくするためには、錠剤より注射、錠剤は1錠より2錠、小さいより大きい錠剤、錠剤は緑色(抑鬱を改善する場合は黄色)、錠剤はTシャツを着た医師より白衣を着た医師が効果が大きい。
ただし、患者が信じなければ効果はない。
「科学的根拠に基づく医療(evidence based medicine)は、臨床試験(特定の治療法の効果を検証する試験)を最重要視。信頼に価する臨床試験で採用されるのは「二重盲検法(ダブル・ブラインドテスト)」
二重盲検法(ダブル・ブラインドテスト)
1. 対象群と治療群とが比較されること
2.どちらの群にも、十分に多くの患者が含まれること
3.群への治療法の割り振りは、ランダムであること
4.対象群には偽の治療法を与えること
5.対象群と治療群を同じ条件下に置くこと
6.対象群にいるのか、治療群にいるのかをわからなくさせる(ブラインド)
7.医者が与える治療法も、本物か偽物か不明とする(ダブル・ブラインド)
代替医療便覧
・アレクサンター法
・イヤーキャンドル(耳燭療法)
・オステオパシー(整骨療法)
・キレーションセラピー
・クリスタルセラピール
・結腸洗浄
・催眠療法別
・酸素療法
・指圧
・人智学医療
・吸い玉療法(カッピング)
・スピリチュアル・ヒーリング(霊的療法)
・セルラーセラピー
・伝統中国医学
・ナチュロパシー(自然療法)
・ニューラルセラピー
・バッチ・フラワーレメディ
・ヒル療法
・風水
・フェルデンクライス法
・分子矯正医学
・マグネットセラピー(磁気療法)
・マッサージ療法
・瞑想(メディテーション)
・リフレクソロジー(反射療法)
・リラクセーション
・レイキ(霊気)
訳者あとがきの「プラセボ効果」について補足が興味深い。
・プラセボ反応の生理学的基礎
脳内で働く神経伝達物質、たとえば天然の鎮痛剤と言われるエンドルフィンを働かないようにさせると、プラセボ反応が起こらなくなる。
・プラセボ反応が起こる条件
偽の治療を受けたグループでは、測定された呼吸機能には改善が認められなかった。一方、被験者への聞き取り調査では、どちらのグループもまったく同じように、症状が改善したと報告したのである。つまり、患者の主観的な経験が、客観的な身体的測定器と食い違ったことになる。
この結果は、プラセボの限界の一端を明らかにし、プラセボのみに頼った治療では患者が事実とは異なる安心感を持ってしまい、そのせいで必要な治療が手遅れになる恐れがある。
・プラセボ反応を起こしやすい人とそうでない人を、あらかじめ識別することは可能か
両者の違いには、遺伝子レベルでの生物学的基礎がある。ドーパミンの放出に関係する遺伝子に、特定のタイプの変異を持つ人は、そうでない人と比べて、偽鍼による治療に反応しやすい。