ワインメーカーさんは二酸化硫黄を添加していないといっていた。とはいえ、発酵中に亜硫酸ガスは生じるので、contains sulfitesと表記する。一方で、酸化と腐食を防ぐために亜硫酸ガスを添加するメーカーさんもいる。
sulfitesは二酸化硫黄(SO2)
containsは「含まれている」であって添加したかどうかはわからない。
ここまではいいとして、
このワインを輸入すると、contains sulfitesがなんと、酸化防止剤(亜硫酸塩)となる。
亜硫酸塩は安定した物質なので、酸化防止どころかなにもしない。溶解する間にワインは死んでいるはず。
亜硫酸(H2SO3:酸化した硫黄(SO2:二酸化硫黄)を水に溶かしたもの) か亜硫酸ガス(気体)のいずれかだと思うんだ。
このあたりの大人の事情に以下に書いてある。
https://www.asama-chemical.co.jp/TENKAB/YUKAWA41.HTM
で、調べていたて面白いことが分かった。
アセトアルデヒド(C₂H₄O)というアルコールの酸化によって生成される物質が熟成香を発生し、二酸化硫黄とこのアセトアルデヒドと結合すると、香りが抑制されるため、結果として熟成香が弱くなり、ワインが熟成していないように「感じられる」。二酸化硫黄が強く働くと還元香を生じさせる。
つまり、香りを制御しているだけで、実は酸化している???
ここで酸化と還元の復習
酸化
物質が酸素と化合して(イオンを失って)酸化物になること
還元
酸化物が酸素を失う(イオンを得る)こと
酸化の過程
1.ワインが酸素と接触
2.酸素がフェノール化合物と反応
3.酸化したフェノールが過酸化水素を生成
4.過酸化水素がワインの有機成分と反応
5.アセトアルデヒドと水が生成される
6.ワインの褐色化とフルーティーさの喪失
つまり、酸化防止剤を使うより、ワインへの酸素吸収量を抑制すればよい。
だから、低温で管理ということになる。
さらに酸素を遮断するため、CORAVIN(アルゴンガスが注入)の登場となるが、アルゴンガスは指定添加物。
続いて、防腐剤の話。
「腐る」とは細菌の作用で植物性、動物性のものが分解して変質すること。
ワインの発酵中に生成された二酸化硫黄はイオン化した状態で存在しているので、細菌や微生物の活動を抑制する(抑制するだけなので防腐剤にはならない)。また、イオン化した状態の二酸化硫黄は、ワインの成分が酸化するより先に酸化することで、ワインの成分が酸化することを防止したり、酸化してしまったものを還元させる。