血液の分野でも日本軍は負けていたんだな。
僕が知りたかったのは血液の進化の話であったが違った。
血液
・血球成分(細胞性成分、血液細胞)→赤血球96%、白血球3%、血小板1%
・血小板
・血漿成分(液性成分)
血漿分画製剤
・血液凝固因子製剤
手術や分娩などの際に大量出血したり、血友病患者で止血しない場合など緊急時の止血などに投与される
・アルブミン製剤
熱傷などに伴う低アルブミン血症時などに用いる
・免疫グロブリン製剤
代替血液(遺伝子組換え製剤)は開発されてはいるが供給に限度があり、輸血は人血を使用せざるを得ない。
また、失血による血圧低下や出血性ショックに対応するために循環血漿量を維持することを目的とした代用血漿(血漿増量剤)は実用化されているがあくまで失われた血液を量的に代替するもので、赤血球の酸素運搬能力や血小板の止血・凝固能力など、血液の持つ機能を代替できない。
瀉血という行為が医療行為として効果があると信じられており、とはいえ、間違いがあると領主に殺されるので、瀉血は床屋に委ねられ、当時、床屋が宣伝に使った赤(血)と白(包帯)の縞模様の柱(瀉血のあいだ患者が握った棒)が今に残った。
歴史上もっとも有名な血友病の保因者はイギリスのヴィクトリア女王でヨーロッパじゅうの王家に孫を持っていた。
内藤良一という国際的な権威者の功罪
731部隊の人体実験を認めつつ、資料は隠蔽した。
日本ブラッドバンク(後のミドリ十字)を設立し、全血の売買がなくなる。
薬害エイズ、薬害肝炎以降、ウイルス検査方法の確立、予防薬投与等の対策がとられた。
日本では、輸入血液製剤を排除するという目標を立て、第Ⅷ因子製剤については、目標を達成したが、アルブミンとガンマグロブリンはまだ輸入されている。
目次
はしがき
第一部 血液と人間
1章 十七世紀の輸血――おとなしい家畜の血を人間に
●ルイ一四世の時代
●子牛の血を人に輸血する
●犬から犬へ
●子羊から人へ
●ドニによる「輸血」のその後
2章 瀉血万能の時代
●ヒポクラテスもアラビア医学も
●パタンの主張―「瀉血ほど多くの奇跡を起こした治療法はない」
●ラッシュ式黄熱病治療法
●初代大統領ワシントン、瀉血後死亡
●瀉血の終焉――発疹チフスの流行と医学統計学、細菌学の登場
3章 近代的輸血医学の幕開け―輸血方法の改善、血液型の発見、抗凝固剤の開発
●二十世紀はじまる
●カレルによる血管縫合を用いた輸血第一例
● 一八〇〇年代の輸血の試みと挫折
●ラントシュタイナー、血液型を発見
●試行錯誤の直接輸血
●キャンペーンと実験といくつかの事故
●ルーイソン、抗凝固剤を輸血に応用
第二部血液と戦争
4章 血液供給システムの整備
●ロンドンで、ボランティアたちの供血組織がつくられる
●赤ん坊取りちがえ事件――血液型判定と法医学
●ロシアの「医師は前に」精神と血液①――ボグダノフの血液交換
●ロシアの「医師は前に」精神と血液②――ユーディンの死体血輸血
●血液は保存できる――血液銀行の誕生
5章大戦前夜
●ナチスの人種的純血思想が歪めた血の研究――ヒルシュフェルト夫妻の血液型調査
●ドイツ医学「浄化」の結果
●血を前線へ――ベチューンとスペイン・カナダ輸血協会
●バルセロナに確立された血液供給事業――デュラン = ホルダの業績
●大戦前夜のロンドン――ジャネット・ヴォーン、血液貯蔵施設設立に奔走
●「採血を開始せよ」
6章 戦争と血液―大量生産される戦時物資、血漿
●ロンドン、血液貯蔵センタ――準備完了
●ロンドン大空襲下の輸血体制
●アメリカから血液を送れるか?――外傷性ショックの解明から見えた解決策
●「イギリスへ血漿を」―エリオット、血漿輸血のメリットを説く
●細菌に汚染されやすい血漿―ドルー、品質管理システムを整備
●米軍は黒人の血を採取しない――人種差別問題とドルー神話
7章 血液製剤の開発―負傷兵にアルブミンを
●タンパク質の専門家が必要だ――コーンが呼ばれる
●白人の負傷兵は有色人種の血を拒絶する?!――黒人の血からはアルブミンを製造せず
●濃縮アルブミン製剤を増産せよ――アメリカ軍産学一体の大事業
●その他の国における大戦下の血液事情①――ドイツや日本の後進ぶり、占領下オランダの善戦
●その他の国における大戦下の血液事情②――ソ連の工夫と熱意
●まだ血は足りない――ヒト・アルブミンの代用品さがし
●アルブミン以外の成分も活用できる――血液製剤量産の時代へ
8章 前線は全血を要求する
●一時的だった血漿輸血の効果 ―軍医総監カークは全血輸送を検討せず
●血漿とアルブミンだけでは戦えない――チャーチル大佐、非公式に全血供給システムを組織
●アフリカで奮闘するフランス軍の「輸血復興組織」 ――輸血と反ファシスト精神が結びつく
●史上最大の医療作戦――ノルマンディーの米兵にも全血を
●血とDデー――血液と血液製剤があふれる日
●レイテ島の混乱――全血は届いたが......
●硫黄島――血の勝利
第三部 血液と経済
9章 内藤良一――戦後日本血液事業の雄
●内藤良一と七三一部隊
●手際よく過去を葬る
●戦後の血液供給システム①――ドイツ、ポーランド、スイス、オランダ、カナダ、イタリアの場合
●戦後の血液供給システム②――アジア、アフリカの場合
●戦後の血液供給システム③――イギリス、フランスの場合
●日本ブラッドバンク――内藤、新生日本の血液事業にのりだす
10章エドウィン・コーン―― 人類に血液成分療法をもたらした人物
●驚異的ブラッドマシン
●戦後アメリカの血液事業事情――Rhタンパクのダイアモンドと赤十字社
●順調に採血センターを増やす赤十字社―― 人種と血の問題をかわしつつ
●地域血液銀行とのあつれき――赤十字社に対抗するアメリカ血液銀行協会の結成
●血は万人のための資源か、受血者が補充責任を負うべきか
●血漿産業の新展開と品質管理問題――ポリオに抵抗性をもつガンマグロブリン発見
●血液資源を効率的に利用する―― 血液研究の方向づけ
●プラスティックバッグ――ウォルター、完全密封の無菌システムを開発
●移動式血液処理装置―― 採血から処理までの時間を究極的に短縮する
●アメリカの科学の栄光――コーンと血漿分画がもたらしたもの
11章 血は商品か?――五〇年代―六〇年代の血液事情
●「血を買い取ります」――血液市場に新たに参入してくる血液業者たち
●一九五〇年代アメリカの血液マーケット
●連邦取引委員会の介入――「カンザスシティ地域血液銀行は一商業血液銀行の自由取引を妨害した」
●カンザスシティ裁定――「化学物質を添加した血液は薬品、すなわち製品である」
●ミドリ十字社誕生――買血による全血製剤製造から血漿分画製造へ
●血液銀行は独占禁止法から除外するべきか?――一九六四年の独禁法小委員会公聴会
●一九六九年連邦控訴裁判所判決――「非営利組織は連邦取引委員会の権限外に置かれる」
12章 血液業界と肝炎――一九七〇年代アメリカの血液事情的
●活気づく血漿ビジネス――新興「生物製剤産業」の需要に応える血漿センター
●血液マーケットの資源提供者たち――失業者、アル中、ヤク中、困窮者、受刑者、希少抗体保持者
●肝炎の源は刑務所内の血漿センター
●医療行為と肝炎の歴史――天然痘予防接種、注射針、黄熱病ワクチン
●輸血後肝炎――軍医総監カークの判断ミスと巨大化した血漿プールの弊害
●戦うアレン①――ゆるやかに加熱すれば肝炎ウイルスを殺せる。
●戦うアレン②――売血者の血液は肝炎のリスクが高い
●血友病と血液製剤――患者の苦しみを救い、肝炎とエイズをもたらした濃縮第四因子製剤
●イギリスからの批判――アメリカの血液供給システムはアメリカ式資本主義の誤りを象徴する
●ニクソン共和党政権のディレンマ
13章 国際化する血液産業
●ニカラグアの世界最大の血漿成分採血センター
●血液資源はどこにでもある――南アフリカにも、産科病棟にも
●血漿ブローカー――血の流れと金の流れ
●中央アメリカ・プラズマフェレーシス社の採血風景
●アメリカの製剤会社の役割――第三世界から原料を輸入し加工品を欧・日に輸出する ●ボン血友病センター――製剤会社と医療機関の癒着ぶり
●吸血鬼の家を焼き払え第三世界からの撤退
14章 血液産業複合体――アメリカと世界を結ぶ血漿ネットワーク
●一本化できないアメリカの献血制度――赤十字社とAABBの確執
●血液バッグの「買血」ラベル―― B型肝炎激減、C型肝炎急増
●世界規模の血漿ネットワークー 供給源はアメリカの血漿センター
●アメリカ国内の全血の取引
●ユーロブラッド――棄てられていた赤血球をアメリカへ
●カナダの血液事情――なぜ血漿製剤の自給に失敗したか
●アメリカは血漿のOPEC
15章 エイズ発生
●「ゲイ関連免疫不全症」と第Ⅷ因子製剤――一九八二年一月、エヴァット警鐘を聞く ●「ゲイは最高の供血者」―エヴァットの警告に対する反応
●一九八三年一月、CDCアトランタ会議を招集――疾病対策センターは迅速な行動を要請する
●ゲイ代表、製剤会社代表、血友病専門医代表、血液銀行代表の反応
●何人死ねば納得するのか?
●輸血でも、第Ⅷ因子製剤でも――血がエイズを運んだ
●イギリスの血友病とエイズ――イングランドには新式の分画製剤プラントがない
●ドイツの血友病とエイズ――凝固因子製剤の輸入制限はできない
●一九八三年六月、世界血友病連盟ストックホルム大会決議――第Ⅷ因子製剤に白紙委任状を出す
●日本の血友病とエイズ――血友病の権威、エイズ研究班班長安部はエイズ発生を否認する
●フランスの血友病とエイズ――フランスの血は安全、血漿製剤もきれいだ
●フランス人と献血①――反発を呼ぶ、フランスの血に対する不安表明
●フランス人と献血②――一九八五年、受刑者の献血量が最高値を記録する
●アメリカの血友病とエイズのその後――だれも血友病患者に真実を告げない
●代用検査の精度と普及度――T4/T8検査とHBc抗体検査
●対策はみつかったが――一九八三年三月、米バクスター社加熱製剤を開発
●一九八四年四月、国立衛生研究所のギャロ、エイズのウイルス発見と公表
16章 検証――なぜ有効な薬害エイズ対策がとられなかったのか
●エライザ検査キットの開発――エイズのウイルスはチェックできる
●イギリス、カナダ、ドイツ、スイスとエイズ対策――自国産血液安全神話や自国製剤会社保護や在庫処理の問題
●日本とエイズ対策①――巨大多国籍企業と化したミドリ十字社の無能と怠慢
●日本とエイズ対策②――安部のエイズ研究班はミドリ十字社保護を優先する
●フランスとエイズ対策①――「無償、篤志、匿名」を誇るフランスの血を加熱処理する技術がない
●フランスとエイズ対策②――エイズ検査キットでまでアメリカにしてやられたくない ●フランスとエイズ対策③――在庫がある限り汚染された非加熱製剤も配布する
●フランスとエイズ対策④――刑務所の血も無償の献血であり「汚い血」ではあるまい ●医療技術の勝利にもかかわらず――アメリカの血液銀行、赤十字社、製剤会社の対応 ●血友病患者を待ち受ける、エイズによるホロコースト
17章 裁きの日
●アメリカの法の壁――①血液製剤は製造物責任の対象外、②専門医は血液産業界や政府にいる
●一万人の血友病患者でCOTTを結成する――全米血友病財団や専門医への不信
●日本の薬害エイズ関連訴訟――匿名告訴の許可と自民党政権交代が患者側を助ける
●フランスの法廷――中央輸血センター首脳、保健総局長、国立公衆衛生研究所長、フランス血友病協会が責任をなすりつけあう
●フランスの法廷で裁かれなかった過失――①刑務所で採血しつづけた、②供血者のスクリーニングを実施しなかった
●キンタナ、勝訴――アメリカでは、あくまで「一件」落着にすぎない
●再検証――連邦政府、血液銀行、分画製剤会社、全米血友病財団、研究者たちの功罪 ●一九九三年全米血友病財団年次総会――「彼らが私たちの息子を殺した!」
エピロ――グーアフター・エイズ
●血液の現在
●血液の経済学
●人工ヘモグロビン開発の試み
●血液資源使用上の注意――新たな危険はかならず出現する
謝辞
参考文献
訳者あとがき