本書の売りは、245種類の塩の使い分けと食材との組み合わせが書かれていることです。
■塩の種類は原材料で決まる
・海水塩→海水
・藻塩→海藻
・岩塩→地殻変動によって陸上に閉じ込められた海水が、干上がって地中に埋もれたもの
→そのまま食用にすることは少なく、食用は溶解採鉱塩で炊き直したせんごう塩・湖塩
・湖塩→地殻変動によって陸上に閉じ込められた海水が、長い年月をかけて濃縮されてできた塩分濃度の高い湖、もしくは地中の岩塩が雨水や地下水で溶けて湖になったものから作られた塩
地下塩水塩→岩塩が地下水で作られるた塩
・シーズニング
-燻製
-混ぜる
-煮詰める
■塩の個性は原料×製法で決まる!
◇原料
・海流→暖流はプランクトンが少ないのであっさり味、寒流はプランクトンが多く濃い味の食材にあう。中間地点では、魚に合うようなバランスの良い味になる。
・取水ポイント→河口付近は背後にある山の影響を受ける。沖合は海流の味に。
・取水タイミング→満月にはミネラルが豊富になり、しっかりとした味に、新月は繊細な潮の香り。
◇製法
・粒度→大きいほどまろやかに、小さいほど溶けるのが早いのでしょっぱく
・結晶の形→立方体が基本で、パウダー状のものは浸透が早いのでしたごしらいに。
・水分量→塩に含まれる水分は「にがり」と呼ばれ、マグネシウムとカリウム、ナトリウムを主体とした液体で、塩を寝かせる時間によって含有量が変わる。
・成分のバランス→成分ごとに結晶するタイミングが異なる。
■製塩のおもな工程
・濃縮→塩分の濃度を高める
-天日塩→塩田で海水を蒸発させて作った塩
*揚浜式塩田
*入浜式塩田
*流下式塩田
-逆浸透膜
-イオン膜
-溶解
-浸漬
-平釜
-立釜
・結晶→より高めて結晶化させる
-天日
-平釜
-立釜
-採掘
-加熱ドラム
-噴霧乾燥
・仕上げ→結晶を整える
-粉砕
-造粒
-洗浄
-混合
アル・ケッチァーノ奥田政行シェフ
https://www.ma-suya.net/recipe/alchecciano/
■岩塩の色
・白→ナトリウム純度が高い
・ピンク→酸化鉄
・紫→硫黄
・青→カリウム
・透明→純度が高い
・おすすめの塩と使い方
味覚を鍛えるために合わない塩も選んでみる
-水キムチとわじまの水塩
-そうめんと大谷塩
-砂肝の塩焼きと屋我地島の塩
にがりを加えてご飯を炊くとふっくら炊き上がる。
にがりを煮物に入れると食材への味がしみ込みやすい。
水塩(海水のアクを取りながら、塩が結晶する直前まで煮詰めた濃縮海水)→にがりを分離する塩に比べて、ミネラルを多く含み、ミネラルには苦み、コク、酸味などが含まれており、粒の塩よりまろやかに感じる。
■「ひとつまみ」と「少々」はどう違う?
・ひとつまみ→親指と人差し指、中指の三本の指でつまんだ量。1g程度。
・少々→親指と人差し指の二本の指でつまんだ量。0.5g程度。
飲酒後寝る前の塩水で翌日スッキリ
ナトリウムをミネラルというならミネラルたっぷり。
塩に賞味期限はない
塩も熟成する
塩にも香りがある。
食塩は商品名である。
「盛り塩」の起源は中国の皇帝だった
料理も暮らしも楽しくなる!塩のおいしい使い方
■使いわけで塩をもっと楽しむ
・同化→同じ味を持つ食材と、塩を合わせるとうまみアップ→赤身の肉(鉄分)に岩塩(鉄分)
・対比→味わいの対照的な塩を合わせると、食材の味を引き立てる。→すいかに塩
・抑制→しょっぱさは苦みと酸味を抑える→コーヒーに塩
■しょっぱさ×粒の大きさマトリックスでとってもかんたん塩選び
縦軸を粒度として、上が大、横軸はしょっぱさで、右が強とすると、
マトリックスの左上(うまみがゆっくりひろがり、苦みが残る)が白身の肉や魚に合う、右上(口の中でしょっぱさやそのほかの味が長く残る)が赤身の肉や魚に合う。
左下(苦みとうまみを感じたのち、しょっぱさがすっと消える)が野菜やご飯に合う、右下(最初にしょっぱさが来て、酸味が口の中を走ってすっと消える)が揚げ物に合う。
■店頭で困らない塩選びのいろは
成分で見る塩の味わい
・ナトリウム→単純なしょっぱさ
・マグネシウム→苦み、うまみ、コク
・カリウム→酸味、鉱石的な冷たさ、キレのよさ
・カルシウム→単体では無味だが相対的に甘い
・その他ミネラル→雑味
■塩の作用
・腐敗を防ぐ
・発酵を調整する
・酵素の働きを止める。
・タンパク質を凝固させたり、溶解する
・生クリームが早くできる。
■下ごしらえ
・たて塩
・振り塩
・呼び塩
・水塩
■塩とお酒のペアリングを楽しもう
・つまみ→蔵盛さんちの塩 粗塩、ピラミッドソルト、マルドンシーソルト
・ビール→粟國の塩釜炊き、あっちゃんの紅塩、インディアン ルビーソルト
・日本酒→カムイ・ミンタルの塩淡雪、玉藻塩、月の塩 ダイヤモンド
・カクテル→マルガリータソルト、輪島塩、ピランソルトソルトフラワー
目次は以下を参照
https://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/027664420.html
「日本と世界の塩の図鑑」に書かれていない塩
*茜塩
*粟國の天日
*石垣の塩 こしょう
*石垣の塩 天日干し
*ヴァージンソルト
*ウコンの塩
*うちなー塩ちゃん
*沖縄の塩 シママース
*お塩で減塩
*オニオンソルト 粗挽き胡椒ブレンド
*オニオンソルト 唐辛子ブレンド
*海健
*海藻入りら塩
*カマルグ ベルル・ド・セル
*カンホアの塩 石窯焼き塩
*関門の塩
*ゲランドの塩 あら粒
*ゲランドの塩 顆粒
*減塩習慣
*厳選極上 白銀の塩
*コーシャーソルト
*笹塩
*サルトピッコロ
*さんごマース
*塩焚き爺の手作り塩
*じねん
*醤油からできた塩
*スプリングハーブソルト
*セルマリンアルグ
*セルマリンハーブ
*小さな海 天日
*茶塩
*ちゃたんの塩
*忠左衛門の塩
*のと 竹炭の塩
*パタゴニア・ソルト
*フリーマントルの風
*紅塩
*マリーンソルト
*やさしお
*ヨネマース
*蘭の塩
以下は日本の規格を独自に調べたもので、本とは関係ない。
基本的な塩の種類
・特級塩
-精選特級塩:塩化ナトリウム99.7%以上の高純度塩
-特級塩:塩化ナトリウム99.5%以上の高純度塩
・食塩
塩化ナトリウム99%以上の乾燥塩。平均粒径0.4mm
・並塩
塩化ナトリウム95%以上、水分約1.4%%の非乾燥塩、平均粒径0.4mm
・白塩
塩化ナトリウム95%以上、平均粒径がやや大きく、水分はやや少な目