akon2.00βのよっぱらいの戯言

色しょく是食、食しょく是色

レガシーコンバージョン

やたらにワイヤーに流れているのでいやでも目にして、世の中そうなんだという気にさせられている。これはインターネット上の「ショーウィンドウ効果」である。自社のセミナーへの呼び込みのための大キャンペーンといえなくないであろうか。ショーウィンドウ効果について経済学の書物をひもといてもらうことにして、本題に入ろう。

  • COBOL550万行をJavaで再構築へ

http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/NC/ITARTICLE/20040518/1/
まず、「再構築」ではなく「再構築へ」であることに注意。まさに東スポである。
次に550万行という数値である。このシステムは1992年に開発したということであるから、copy句ではなくSQLが埋め込まれているものと推測できる。仮にperform文が効率よく呼び出されているとすると、Javaで400万行という見積もりはCOBOLJavaのコードをほぼ一対一に変換する気なのかと勘ぐりたくなる。少なくともコンポーネント化の数値ではない。もちろん、JavaCOBOLの両方を知っている技術者が少ないのでリスクを多く見積もっているなど根拠は想像できる。しかし、私は400万行に脅威を感じ、現行より保守性が低下しないかと危惧する。

そして、開発費用は39億7950万円という見積もり。一行いったいくらなのだろうか。2006年1月に稼働開始ということだが何人月になるのか。国のお仕事の場合、JavaプログラマCOBOLプログラマも「平等に」業界年数で査定されるので60万/月としよう。移行期間を考えると開発期間は一年だと思うがまぁ20ヶ月として月二億、ミドルウェア代(政府はオープンソースといっている以上、高級なミドルウェアは使わないと思いたいが)や上流のコストを差し引いてもわり算をするまでもなく、市場にあふれかえっている???Javaプログラマの雇用促進プロジェクトではないだろうか。

記事によるプロパガンダに興味があるので、これ以上このことについて踏み込むまい。それにこんな日記を書くと記事に今後数字がでなくなると楽しみが減る。さて、「継ぎ足しの開発でコードは倍以上になり、保守コストが大きくなってきた」ので再構築して、この行数で保守コストは削減されると提案したと読みとらなければならない。そして、COBOLからJavaへのコンバージョンプロジェクトの見積もり根拠として今後は5:4の比率が適用されるであろう。そして、Javaで開発すれば、保守性があがるという迷信がまた一つ増える。


この見積もりならば、現行システムがちゃんと動いているという前提でオープン系のCOBOLに移行するか、ラッピングするだけで十分ではなかったのだろうか。残念ながらこのあたりについて記事では触れていないので、どのようなフィジビリティスタディが行われたかは不明であるが、大キャンペーンの正当性を示すために、レガシーシステムのリプレイスがこんな大規模で本当に行われていることの証拠として持ってきたのであろう。これからコンバージョンがビジネスになりますよ。セミナーに来ないと時代においていかれますよ、といったところであろうか。土木工事の公共投資からIT分野への公共投資に世の中は移り変わってきているから、利権を守るためにがんばってねなんてことを伝えたいわけではないであろう。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/J2EE/20031219/1/でのIBMの長島氏の発言をもとにインタビューすれば面白かったのてはないだろうか。

蛇足だが、「IT戦略本部から“レガシー刷新”の指示がきた」ということらしいが、EAはどこに。「各省庁がかってにやらないように」という指示はどうなってしまうのだろうか。さらに蛇足ついでに「ハードウエアが他社製になった場合に性能や障害に対してどのように保証するのか問題は残る」というがSIerが担保しなくてどこが担保するのだ。ハードウェアもそうだがJavaにした場合の性能は保証できるのだろうか。さらにオープン系のベンダーは、サポート打ち切りが速い外資が多いという現実に対してどう保証していくのであろうか。ちなみに、回答者がどのようなコンテキストで発言をしたのかはわからない。このあたりに、記事のおもしろさがある。

なお、公共事業に関する記事を読む場合は、随契(昨今の仕組みだと理論的にはなくなるはずだが)、国際調達、第三国への発注要請など政治的な背景があることを忘れてはならない。