原題は"Wisdom Of Crowds"、つまり、集合知。
集合知が成立する条件は「認知」「調整」「協調」。
集合知が成立する集団の要件は以下。
1 意見の多様性
優秀な人ほど似通っているので、優秀な人が集まった組織が必ずしも優秀な組織にはならない。各人は独自の私的情報を多少なりとも持っている。
2 独立性(他者の考えに左右されない)
3 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
4 集約性(個々人の意見を集約して集団の一つの判断にするメカニズムの存在)
集合知が機能しない条件
均一化
群集の中では多様性が重要である
中央集中
コロンビア号空中分解事故において、NASAのマネジメントの官僚的階層構造を非難した
分裂
アメリカのインテリジェンス・コミュニティーでは情報が他者間では閉じられていたため、911が防げなかった。アメリカ合衆国国家情報長官とCIAはその後、情報共有のためのネットワークIntellipediaを作った
模倣
「情報なだれ」。初期のいくらかの人の決断が、あとで決断をする人の意見に影響を与えることがある。
情動
周囲からの圧力、群本能、極端な例では集団ヒステリー。
予言者-カモ理論
予言者などは存在しないという証拠がどれほどたくさんあっても、だまされやすいおめでたいひとたちは予言者という存在にお金を払うことで予言者は存在せしめる。
多様性には、集団に新しい視点を加えるだけでなく、集団のメンバーが自分化の本当の考えを言いやすくする。
ハーディング(群衆行動)
集団に同調し、大きな失敗を避けたほうが、革新的な手法を導入して大失敗するよりも、感情的にもキャリア的にも納得しやすい。
エルファロル問題
「誰もあの店にはいかないんだよね。いつ行っても混んでいるから」
もし60%より少ない住民がバーに行けば、彼らはみんな家にいるよりも良い時間を過ごすことになる。
もし60%より多い住民がバーに行けば、彼らはみんな家にいるよりも悪い時間を過ごすことになる。
向社会行動
他の人のためになるよう意 図された自発的な行動
協力関係の基礎にあるのは信頼ではなく、関係の永続性。
つながり
独立性を失わないまま、情報なだれなしの交流ができる条件
・つながりは柔軟にしておけ
・多様な情報源を自分自身で可能な限りあたれ
・集団を階層構造をまたいで作れ
目次
集団の知恵
違いから生まれる違い―8の字ダンス、ピッグズ湾事件、多様性
ひと真似は近道―模倣、情報の流れ、独立性
ばらばらのカケラを一つに集める―CIA、リナックス、分散性
シャル・ウィ・ダンス?―複雑な世の中でコーディネーションをする
社会は確かに存在している―税金、チップ、テレビ、信頼
渋滞―調整が失敗したとき
科学―協力、競争、名声
委員会、陪審、チーム―コロンビア号の惨事と小さなチームの動かし方
企業―新しいボスって、どうよ?
市場―美人投票、ボウリング場、株価
民主主義―公益という夢