akon2.00βのよっぱらいの戯言

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歴史は「べき乗則」で動く

 

 

第1章 なぜ世界は予期せぬ大激変に見舞われるのか
予測可能な状態、組織化された秩序のある状態が保たれると、その状態を構成するもの同士のネットワークが複雑多岐になり、 この状態(臨界状態)を維持するのが難しくなる。この臨界状態は、予測不可能な出来事で、簡単に崩壊して、秩序がない状態になる。

第一次世界大戦も、株式市場の大暴落も、山火事も大地震も、生命の進化や絶滅も、同じ理屈で説明できる。

 

第2章 地震には「前兆」も「周期」もない。
地殻の全体構造は複雑である。

たくさんのプレート、何百種類の岩石、地域を走る断層が互いに作用に問題を複雑にしている。

 

 第3章 地震の規模と頻度の驚くべき関係- べき乗則の発見
 地震は、開放するエネルギーが2倍となると発生頻度が4分の1(2分の1の2乗)になる。

べき乗則

→発生頻度が低いことを予測しようと思っても、べき乗則で、発生頻度は指数関数的に減少し、極端に低くなるから、予測も難しい

 

第4章 べき乗則は自然界にあまねく宿る

べき乗則は、大地震など珍しいイベントは、小地震などよくあるイベントより、確率が乗数を利用した指数関数的に少なくなっていき、予測が難しいが、

確率は少ないことも、ある程度の周期で発生するということが、今までの章で述べらていたという自分は理解しました。

べき乗則で自然界にあまねく宿る」という章のタイトルですが、自然界の例として、 

 -綿花、金、小麦、株式や債券など価格変動パターン

 -網状に分岐する大小の川の水路

 -山脈の不規則な形

 -まばらな雲の形

 -割れたガラスの破片

 -砕けたレンガの粗い表面

 -海岸線や木などの一定しない自然の形

 -月の上のクレーター

 -海に浮かぶプランクトン

 -人間の心臓の鼓動

が当てはまり、フラクタルの形状(フラクタルとは、一部が全体と自己相似な構造を持っている図形)をしている。

 

第5章 最初の地滑りが運命の分かれ道

地震に関する法則は、べき乗則が適用される。

砂山の雪崩(なだれ)の研究で、雪崩の砂山の粒が二倍になると、雪崩の回数は二分の一弱となる。大地震が起こった起こった後、次の大地震が起こるまでの待ち時間は分布はべじ乗則に従い、例えば、待ち時間が二週間の地震地震は一週間の地震の約2.8分の1で頻度で発生する。

 


臨界状態

エネルギーが発散し、変化が起こる直前で、秩序が保たれ場平静な状態の臨界状態が長く続けば、些細な変動から、無秩序な状態が発生する。

 

第6章 世界は見た目より単純で、細部は重要でない

相転移のイメージ(磁石の原子のイメージ)
つまり、↑の図のように、通常では磁石は原子は統制が取れた状態ですが、高熱では熱が秩序の力を上回り、磁石の磁力を無効化してしまう。この現象を物理学者は「相転移」と呼んでいる。

水が蒸発して水蒸気となるように、物質がある形態(相)から別の形態へ変化する事象など「相転移」といいます。

相転移となるポイントを臨界点、その前の状態を臨海状態といいますが、臨界状態は秩序とカオスの不安定なバランスで争っていますが、その争いの特徴や戦況が変わる様子は、全ての物事に共通していて、かつ、周辺の事象はあまり関係がなく、対象となる物物体の物理的次元とその基本的な形状(点や矢印など)は重要であるが、その他の事柄はすべて問題とならないそうです。

 


第7章 防火対策を講じるほど山火事が大きくなる。
山火事というのは、落雷や木の枝の摩擦などから、自然発生する。

こうした自然発生する火災も消化活動で、極力、人為的に減らそう、抑制する努力をしています。

しかし、こんな努力によって、老齢な木が増え、燃えやすい枯れた草木や小枝が増え、森林が、山火事を防ぐバランスとれた「臨界状態」から、バランスが崩れて山火事となる「超臨界状態」となってしまう事実があるようです。

つまり、防火対策をして、山火事を減らす努力をすると、山火事の被害が広がりやすい地域が増え、山火事が起こると、大火災が発生する可能性が高いということです。

 


防虫対策、疫病対策でも、人為的な対策が、バランスのとれた被害の少ない、臨界状態の自然の摂理を崩すだけ、より別の被害、大きな被害が発生することがあると思いました。

 


第8章 大量絶滅は特別な出来事ではない
絶滅の規模(絶滅した科の数)の分布がべき乗の法則に従う。

つまり、絶滅の規模が2倍になると、その頻度は4分の1になる。

 

第9章 臨界状態へと自己組織化する生物ネットワーク
進化するためには、環境に適応するために山を越えるよう変異、選択、複製が起こりますが、さらに高い山、より難易度の高い環境に適応するためには、谷を越えなければなりませんが、その谷の幅は、着目して、生態系の進化は、山と山との間隔が短い場合は進化(移動)に成功する可能性が高いこと、しかし、その谷の長さが短いか、長いかわからないということです。

 

第10章 なぜ金融市場は暴落するのか
 効率的市場仮説(Efficient Market Hypothesis、EMH)とは、すべての利用可能な情報が完全に市場価格に反映されているとする仮説です。あくまで仮説で、科学的に証明はされてはおらず、確からしいという仮説の域を出ていない。

 この効率的市場仮説では、市場価格に利用可能な情報が反映されているはずですから、その利用可能な情報が突然に大きく変わらない間に、暴落、暴騰など発生しないはずが、現実的には起きています。

 

市場価格、金融市場は、経済の基礎的条件(ファンダメンタル)でなく、人の気分(心理的要素)によって、バランスが保たれ、臨界状態となっており、伝染、影響を受けやすい人の気分によって、その臨界状態が崩れて、大暴落になる。

そして、その暴落や暴騰など、大きな変動も小さな変動も典型的なパターンはなく、予想は不可能。

 

株価の変動は、変動の大きさが2倍になると、その頻度は16分の1になる。

 

第11章 では、個人の自由意志はどうなるのか
個人の自由意志の要素が強い世界でも、べき乗則が働く。

人口が2倍の都市はその数は4分の1に、人口が2分の1の都市はその数は4倍になるような傾向があり、この傾向やアメリカ、スイスなど世界各国に当てはまる。移動、居住の自由が認められる、どこに住むかは自由意志で決まる現在においても、べき乗則が当てはまる。 

資産家、金持ちのの資産とその数もべき乗則が世界各国で該当し、資産が10億ドル分所有する人の数は、資産が5億円の人の数の4分の1という形で、資産が2倍になると、4分の1に人の数が減る。

 

第12章 科学は地続きに「進歩」するのではない。
科学の世界でも、べき乗則が働く。

 

 科学史家のトーマス・クーンは、学説のネットワークをより密で完全にすることを「通常科学」と呼んでいます。そして、既存の科学にパラダイムシフトと呼ばれるような大きな進歩、変化を与える科学を「通常でない科学」と呼んでいます。

そして、「通常科学」は、形が決まった融通の利かない箱の中に、現象を押し込もうとする試みで、箱に入らない現象は、無視されることが多く、「通常でない科学」が無視された現象に光をあてて、大きな進歩をぽたらす。とクーンは主張しているのです。

 我々が普段、科学、科学的と呼んでいるのは、あくまで「通常科学」であって、「通常科学」では無視されている科学的事象もあるということですね。

 

第13章 「学説ネットワークの雪崩」としての科学革命

有用な論文、影響を与えた論文はそれだけ引用数が多いということで、論文の価値はその引用数で測れます。

1988年ボストン大学の物理学者シドニー・レドナーは、1981年に発表された論文約78万の論文で、その引用数を調査しました。

その結果、

○ 約78万本の論文のうち、半数近くの約36万本もの論文が一度も引用されていない。

○ 100回以上、引用されたいる論文は、引用回数の分布がスケール不変的なべき乗則に従うこと。

○ 引用回数が増えるとともに、その論文の数は規則的、指数関数的に減っている。

○  引用回数が2倍になると、そのような論文の数は約8分の1になる。

ということがわかりました。

下の図が、調査結果の分布をグラフ化したものですが、

縦軸が論文の数で、横軸が引用された回数で、それぞれの10のべき乗で表していす。

10の4乗、1万回以上引用された論文の数は10の1乗、つまり10を超えない数だということがわかります。

 

 

戦争の数と戦死者数

死者数が2倍になるたびに、戦争の頻度が4分の1になる。

 

死者数の数と戦争の分布

 『所得や資産の分布と同じように、大多数の人は平均未満の値を持ち、ごく少数の人がとても高い値を持つ。』といったべき乗則の法則が、論文の影響度(引用数)や戦争の規模の調査にも当てはまるということです。

 

第14章 「クレオパトラの鼻」が歴史を変えるの
 

歴史は偶然でなく、必然で動く。砂山の平衡的臨界状態が突然崩れるように、人事の歴史も長い間、平衡的臨界状態の後に、戦争、革命など大変動がが突然起こるが、それは予測不可能なので偶然に思えるが、歴史の必然と考えた方がいいようです。

 


 クレオパトらの鼻が低く、それほどの美貌でなければ、ローマの政治家、軍人マルクス・アントニウスは、クレオパトラに魅了されず、クレオパトラと同盟して、ローマで内乱など発生しなかったという人がいます。歴史が偶然で動く。という話です。

 


クレオパトの鼻

クレオパトの鼻

 ローマ帝国の歴史は、クレオパトらの鼻、クレオトラの美貌、存在に関係なく、内乱、統一、発展といった経過があり、大きな流れは、クレオパトラなど個人の存在は関係ない。という話が紹介されています。

 また、第一次世界大戦後、ナチスドイツの台頭はヒットラーの登場に関係なく、ナチスドイツ的な政治(軍備の拡張、周辺諸国への領土的要求の実現など)、戦争は、ドイツで発生するのが、歴史の必然だったという話も述べられています。

 ローマ帝国の話は、大昔すぎてわかりませんが、ナチスドイツの話は、第二次世界大戦前の日本の話に置き換えても分かる気がします。

 戦前の政府、内閣は、1年から2年で交代する短命な内閣が続きましたが、どの内閣も、米国との戦争は望んでないし、多くの人が、米国との戦争を回避するために努力し、いや、対米戦争の原因となった中国との紛争も終結させようと努力しましたが、誰も成功しませんでした。こんな話を考えると、当時の世界情勢で、日中、日米の対立は歴史の必然だったとも思えてしまいます。

 


 力の均衡、平衡的臨界状態を一定期間保った後は、大きな変動、例えば、戦争などが発生し、そういった並行的臨界状態、カオス的な変動といった人類の歴史の流れは避けられないという話のようです。

  2020年8月31日、安倍総理の辞任が予定され、次の総理大臣の候補が報道されていますが、誰がなっても変わらないかもしれません。  

 


15章

歴史物理学の可能性
 奇跡や偶然と呼ばれる事象は、多くは奇跡でなく、偶然ではなく、科学的に究明されています。例えば、古代において、日食は神が起こす奇跡と思われた時代、地域もあったようですが、天体の動きとして、太陽が月に隠れるだけとう単純な動きであると科学的に解明されています。

 戦争や革命など社会の変動は、多くの偶然が重なって発生するものですが、個々の出来事は偶発的で、無秩序で起こっていますが、それが相殺、お互い影響を弱めあるような働きをすると、大局的には、歴史、人間の社会も一定の規則性に従っているのかもしれません。

 人間社会も、砂山や磁石のように常に変動にさらされていて、平衡状態といわれる状態、平和、平穏と思われる制度、秩序が、いつか、不安定なバランスとなる臨界状態に達して、戦争、革命と思われる大きな社会的な変動が必ず起こるが、いつ起こるかわからないというだけです。

 2020年9月にこのブログを書いてますが、2020年は新型コロナウイルス感染症で世界、社会が大きく変わりましたが、これは新型コロナウイルスそのものでなく、比較的平和な状態が続いた社会が続き、臨界状態に達していて、それを崩すきっかけに過ぎず、大地震が定期的に発生するように、大きな変動が、歴史物理学的に宿命づけられていたのかもしれません。

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■1918年:スペインかぜが大流行 世界で4000万人以上が死亡(当時の世界人口18億人)したと推定される

■1957年:アジアかぜの大流行 世界で200万人以上の死亡と推定

■1968年:香港かぜの大流行 世界で100万人以上の死亡と推定2009年:新型インフルエンザ(A/H1N1)の大流行 世界の214カ国・地域で感染を確認、1万8449人の死亡者(WHO、2010年8月1日時点)

■2020年:新型コロナウイルス 87万人 2020年9月5日時点で確認した数字

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こういった感染症の大流行の歴史的事実を見ると、

新型コロナウイルスの大流行も、スペイン風邪の大流行から100年後、香港風邪の大流行から50年後に発生していますが、感染症の流行も周期というものがあり、人間がいくら対策をしても、避けられないものかもしれません。避ける努力というのは、流行を後回しにするだけの努力といえそうです。

目次
なぜ世界は予期せぬ大激変に見舞われるのか
地震には「前兆」も「周期」もない
地震の規模と頻度の驚くべき関係―べき乗則の発見
べき乗則は自然界にあまねく宿る
最初の地滑りが運命の分かれ道―地震と臨界状態
世界は見た目よりも単純で、細部は重要ではない
防火対策を講じるほど山火事は大きくなる
大量絶滅は特別な出来事ではない
臨界状態へと自己組織化する生物ネットワーク
なぜ金融市場は暴落するのか―人間社会もべき乗則に従う
では、個人の自由意志はどうなるのか
科学は地続きに「進歩」するのではない
「学説ネットワークの雪崩」としての科学革命
クレオパトラの鼻」が歴史を変えるのか
歴史物理学の可能性