「しかし、企業というものがなければ経済は成り立たないではないですか」と私は問いかけた。企業というものが社会に必須とは限らないと彼は答える。「お金が回らなければ社会の効率が悪い。無償のソフトウェアばかりになってしまったら、経済活動はどうなるのか」と問うと、ストールマンはサポートや関連書籍でお金を稼げばいいという。浮世離れした彼の言動や、新興宗教の教祖のような風貌と相まって、私には彼の発言が荒唐無稽に感じられた。
サポート業務でソフトウェア産業が成り立つわけがないし、そもそも誰がEmacsやPerlの使い方について電話で問い合わせたりするのか。あるいは、オフィスソフトのサポートで誰がお金を払うだろうか。そう思った。私はIT関連の出版社に身を置いていたので、関連書籍市場の小ささも知っていた。
御意。
記事は、「OSSのサポートサービス」ビジネスについてであるが、
「サポート業務でソフトウェア産業が成り立つわけがない」
という筆者の意見が、否定されたわけではないと思う。サポートサービスがビジネスとしてなりたっていくためには、サポート対象であるソフトウェア開発があるという前提である。
筆者の仮説である「無償のソフトウェアばかりになってしまったら」が現実におきたら、
つまり、オラクルやSAPが無償になってしまったら、BAPI周りなどのソフトウェア開発とコンサルのビジネスは残るであろう。これらは外部で吸収されるので、現状と同様の収益あげるためには、ベンダは法外なサポートフィーを要求するであろう。これでは意味がないので、オラクルやSAPと同等のソフトウェアが無償で提供された場合のサポートサービスのマーケットサイズで、ソフトウェア産業が成り立つどうかを考察すべきである。
もっとも、同等のソフトウェアが提供された場合に、市場がどのくらい受け入れるかの考察が先である。OSSベースであることを売りにしているベンダさんに、APSだけでなくESBもOSSで
コミットしてほしいとおねがいしているのですが・・・とはいえ、ストールマンがいっていることは、web 2.0ってやつですよね。どっぷり私自身がweb 1.0に浸かってますね。今年のお題目は、いまさらながらweb2.0化かしら。