原書タイトルはThe Astonishing Hypothesis(驚くべき仮説)
脳は、眼の網膜で受け取った刺激から、デジカメ画像に相当するような画像を脳のどこかに取得しているのではない。ものを見る過程で、脳のさまざまな部分が働き、ものの輪郭、色、運動などを分担しあって分析しているのだ。描像を得るだけではなく、視覚情報の分析を同時進行で行っている。
人間に魂はあるか
喜怒哀楽や記憶や希望、自己意識と自由意志などーが無数の神経細胞の集まりと、それに関連する分子の働き以上の何ものでもないという仮説
意識とは何か
・意識を厳密に定義することは避けたほうが良い。
・意識は何のためにあるかの議論は熟していない。
・すべての動物が意識を持っているわけではない。
・言語によって意識が豊かになる。
・下等動物に意識があるかどうかの議論は無用。
・視覚、思考、感情、苦痛などに伴うさまざまな形態の意識がある。
見えることの不思議
水晶体と呼ばれるレンズによって目の前の景色が網膜と呼ばれる目の奥のスクリーンに映し出される。網膜には何百万個という光受容器があって、目に入ってくる光子と呼ばれる光の粒子に反応して、情報が脳に送られて、「あなた」によって像が組み立てられる。
人間は視覚場面の顕在的記号的多層的解釈によって、はじめてものをみることができる。
多義的で限られた視覚情報に対して、これまでの経験からできるだけ最良の解釈を与える。
・人間は自分自身の視覚システムに騙されやすい
・目から与えられる視覚情報は多義的である。
・見ることは構築的なプロセスである。
視覚の心理
ゲシュタルトの基本7法則
近接(Ploximity)
類同(Similarity)
連続(Continuity)
閉合(Closure)
共通運命(Common Fate)
面積(Area)
対称性(Symmetry)
注意と記憶
意識は注意を向けられた事柄に対して低い閾値で、迅速かつ正確に反応する。
眼を動かさずにはほとんど何もできない。
視覚的知覚
ニューロンの結合は相関的発火によって達成される。
クリック博士の日曜礼拝
脳の振る舞いはすべて、ニューロンの活動によっている。
人間とは常に変化する何十億個ものニューロンの複雑な相互作用によって成り立つ。
つまり、肉体を離れた魂についての議論は不要。
目次
1 人間に魂はあるか
2 意識とは何か
3 見えることの不思議
4 視覚の心理
5 注意と記憶
6 見える瞬間:視覚の理論
7 人の脳のアウトライン
8 ニューロンの素顔
9 実験の方法
10 霊長類の視覚システム
11 霊長類の視皮質
12 傷ついた脳
13 コンピュータで脳を語れるか
14 視覚的知覚
15 いくつかの実験
16 主として推測
17 意識再構築
18 クリック博士の日曜礼拝