1 質問し続けた男
ソクラテスを賢人たらしめたのは、問いを続け、つねに自分の考えについて議論を交わしたことである。
プラトンのイデア(概念)論
2 真の幸福
プラトンの弟子アリストテレス。
「ツバメは一羽では夏にならぬ」
一羽のツバメの飛来だけでは夏が来たことは証明できないように、
嬉しいことをいくつか積み重ねたも真の幸福は得られない。
4 エピクロスの園
エピクロス
「エピキュリアン(快楽主義者)」の語源となったエピクロス派の開祖。
快楽とは美食とかではなく、
飢えや渇きといった、生きていく中で生じる欠乏への欲望を満たしたうえで、それ以上の不必要な欲望に心が乱されることなく、静穏な心の状態(アタラクシア)に至ったときに得られる「魂の快楽」。
5 気にしないことを学ぶ
ストイックという言葉はストア哲学に由来する。
エピクテトス
どう考えるかは自分次第。
6 わたしたちを操るのは誰か
アウグスティヌス
なぜ神把握の存在を許しているのか
→自由意志弁護論→神義論→善なる神が苦難をよしとする理由を説明し、弁護する
7 哲学の慰め
ポエティウス
→真の幸福は、神あるいは善にある。
→神はわたしたちが何をするかを前もって知ってはいるものの、わたしたちがどう行動するか、
なにを選択するかによって、わたしたちを見極めていることを忘れてはならない
8 完璧な島
アンセルムスのア・プリオリ(先験的)論法
神という概念があることによって、神の存在を確信できる。
アクィナスの「五つの道」は神の存在を示す証明をまとめたもの。
9 キツネとライオン
マキャベリ
ライオンだけならば、罠から身を守ることはできず、キツネだけならば狼に勝てない。
キツネであることによって罠から逃げられ、ライオンであることによって、狼を追い散らすことができる
10
ホッブス
社会の外での人生は「孤独で、貧しく、下品で、野蛮かつ短い」
11 これは夢なのだろうか
デカルトの「偽の覚醒」
覚醒と睡眠を判断する指標は何もないことから偽とされる。
方法論的懐疑
もし真実でない可能性がわずかでもあるなら、受け入れない。
われ思う、ゆえにわれあり
→わたしは思考しているのだから、存在している。
二次論
この世界にはモノとココロという本質的に異なる独立した二つの実体がある。
12 賭けてみよ
パスカルの賭け
神が存在しないほうに賭けて、好きなように生きるか。
神の存在が本当である確率が低いとしても神が存在していると生きるのがより合理的か。
賭けに勝てばすべてが得られるし、賭けに負けても失うものはないから、神の存在を信じよう。
13 レンズ磨き職人
スピノザの神即自然
神は自然であり、自然は神である。
=神は万物であるという汎神論
14 王子と靴直し
ロック
人格同一性
人格の同一性は意識の同一性に基づく
15 部屋のなかのゾウ
バークリー
存在するとは知覚されることである。
観念
ロックが第一性質と第二性質を分け、第一性質は対象自身に属し、第二性質は感覚に属するとしたことに対し、バークリーはそれを否定した。バークリーにとって第一性質や実体という不可知なものを許すことは虚妄であった。つまり、心の外部の物質世界は存在しないと考えていた。視覚は、色を見るにすぎず、形や硬さは、手に触れさせるとか、距離は歩くとかといった経験からしか得られない。むしろ、距離、延長、形状、それ自身に存在するものでもなく、我々が感官を通じて、得られたものから二次的に作り出したものである。長い間の経験と習慣が働いて、広がりや大きさが出てくる。したがって、第一性質も実体も、それ自身の存在だけではなく、あるのは単に感覚だけである。
16 すべての可能世界のうちで最善のもの?
ライプニッツの充足理由律
どんなことがらもそれが生ずるのにはそれなりの十分な理由がある
17 想像上の時計職人
ヒューム
デザイン論は神の存在を証明していない。
奇跡とはまさにその本性によって自然法則ないし経験の斉一性に反しており、それ故信じることが合理的とはなりえない。
18 生まれながらにして自由
ルソー
人間は生まれながらにして自由だ。なのに、どこにいようとも鎖につながれている。
野生の状態なら、「気高き野蛮人」である個人は健康でたくましく、何よりも自由だが、文明のせいで人間は堕落した。
一般意志は、コミュニティ全体、国家全体にとって最善のものだ。
19 バラ色の現実
カント
自然状態を経験的な人間本性の観察から導かず、むしろア・プリオリな理念として考察した
20 「誰もがそうするなら?」
カント
道徳とは、何をするかではなく、なぜするかである。
良きサマリア人のたとえ
誰でもするべき当然のこととして、人を助けたならば、道徳的に正しい
定言命法
仮言命法では「Xがほしければ、Yをせよ」となるが、
定言命法では「Yをせよ」となる。
道徳とは定言命法であり、道徳的義務は結果や状況によって変わることはない。
21 功利的至福
ベンサム
功利主義
正しい行いは最大の幸福をもたらす
幸福計算
ある行為がもたらす快楽の量を計算することによって、その行為の善悪の程度を決定する
22 ミネルヴァのフクロウ
ヘーゲル
ミネルヴァのフクロウは夕暮れにのみ飛び立つ
→人間の歴史から得られる知恵と理解は、一日の出来事を日が暮れてから振り返るように、ずっとあとからになって得られるものだ。
23 現実の世界
ショーペンハウア
現実には意志と表象(経験している世界)のふたつの側面がある。
24 成長するための空間
ミル
危害管理
すべての大人は、他人を傷つけないかぎり、自由に、生きたいように生きるべきだ。
25 知性なきデザイン
ダーウィン
進化論が提唱された結果、神が存在しないと考えるのがこれまでにないほど容易になった。
26 命がけの信仰
キルケゴール
通常の倫理より神への信仰
27 団結する万国の労働者
マルクス
人間は平等に扱われるべきだ。
闘いなくして金持ちが自らの富を手放す見込みはない。
28 だから何?
ジェームズ
プラグマティズム哲学
「行動」や「実践」を意味する「プラグマ」に由来して生まれた言葉で、物事の真理を「理論や信念からはなく、行動の結果によって判断しよう」という思想
プラグマティズムとは、実際の結果、すなわち思考の「現金価値」を重視すること。
実質的に違いがなければ、真理などない。
神の存在を信じることが有益に働くために、「神が存在する」というのが真理である。
29 神は死んだ
ニーチェ
神は死んだ→神への信仰が道理に合わなくなった
→神が死に、道徳の基盤がなくなった。
→人間の新しい可能性を切り開く
30 仮面をかぶった願望
フロイト
無意識の発見
夢は無意識につながる王道
31 現在のフランス国王は禿げているか
ラッセル
ラッセルのパラドックス
素朴集合論において矛盾を導くパラドックス
自分を要素として含まない集合の集合」は自分自身を要素として含むかどうか決定できない。
記述理論
現在のフランス国王は禿げている
→現在、フランス王が存在しないにもかかわらず、文が意味を成す。
32 ブー! フレー!
エイヤー
検証原理
・それは定義によって正しいか
・それは経験的に検証できるか
道徳的な判断はまったくばかげている。
ブー! フレー!説→情動主義
不誠実な神論者、つまり神が存在するとかしないとかいった議論はすべて馬鹿らしい
33 自由の苦悩
サルトル→実存主義→人間は自由である。→人間の実存の不条理
人間の実存は本質に先立つ。だが、特定の目的で作られたものは本質が実存に先立つ。
34 言葉に惑わされる
ヴィトゲンシュタイン
哲学的混乱の一つの要因は、すべての言語が同じように機能するという想定、
すなわち、言葉は単に物事を指すだけという考え方にある。
35 疑問を抱かなかった人
アーレント→思考力の欠如した人物
悪の陳腐さ
36 間違いから学ぶ
ポパー
科学者は自分の理論の誤りを証明しょうとする
クーン
科学者はパラダイム内で仕事する
37 暴走列車と望まれないバイオリニスト
フット
思考実験
一人を犠牲にしてより多くの人を救うことが許されるのはどういう場合か
トムソン
二重結果の原則
ある危険にさらされたとき、軽く相手を殴るだけでは身を守れないときにかぎり、相手が死ぬほど強く殴っても許される場合がある。
38 無知による公平
ロールズ
自由と平等の原則
39 コンピューターは思考できるか
サール
中国語の部屋という思考実験
40 現代のアブ
シンガー
最善の結果をもたらすのが最善の行動
目次
1 質問し続けた男
2 真の幸福
3 わたしたちは何も知らない
4 エピクロスの園
5 気にしないことを学ぶ
6 わたしたちを操るのは誰か
7 哲学の慰め
8 完璧な島
9 キツネとライオン
10 下品で野蛮で短い
11 これは夢なのだろうか
12 賭けてみよ
13 レンズ磨き職人
14 王子と靴直し
15 部屋のなかのゾウ
16 すべての可能世界のうちで最善のもの?
17 想像上の時計職人
18 生まれながらにして自由
19 バラ色の現実
20 「誰もがそうするなら?」
21 功利的至福
22 ミネルヴァのフクロウ
23 現実の世界
24 成長するための空間
25 知性なきデザイン
26 命がけの信仰
27 団結する万国の労働者
28 だから何?
29 神は死んだ
30 仮面をかぶった願望
31 現在のフランス国王は禿げているか
32 ブー! フレー!
33 自由の苦悩
34 言葉に惑わされる
35 疑問を抱かなかった人
36 間違いから学ぶ
37 暴走列車と望まれないバイオリニスト
38 無知による公平
39 コンピューターは思考できるか
40 現代のアブ