akon2.00βのよっぱらいの戯言

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ビジョナリーカンパニーZERO

 

 

 

日本語未訳だったゼロを読むついでに読み直してみた。ジム・コリンズがボールダーに住んでいたとは気が付かなかった。

 

ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる

 

日本語未訳であった「ビジョン・アントレプリナー」の改訂版。

 

 

リーダーシップスタイル

効果的なリーダーシップ=リーダーシップ機能 + リーダーシップスタイル

 

リーダーシップとは、サイエンス(理屈)ではなくアート(技能)だ。

 

リーダーシップ機能とは全社のビジョンを設定し、そこに向けて組織を動かしていくということ。

 

7つのリーダーシップスタイル
誠実さ:Authenticity
決断力:Decisiveness
集中力:Focus
人間味:Personal Touch
対人スキル:Hard/Soft People Skill
コミュニケーション能力:Communication
常に前進する姿勢:Ever Foward

 

ビジョン

明確なビジョンの提示こそがリーダーの一番の責任。

ビジョンのメリット
① 考えられないほどの努力を引き出す
② 戦略的、戦術的判断のコンテクストになる
③ 一体感、チームワーク、共同体を生み出す
④ 中心人物に依存した状態から脱却できる

 

ビジョンの構成要素(コリンズ・ポラス・ビジョン・フレームワーク:Collins-Porras Vision Framework)

 

コアバリューと理念
・会社を動かす原則や信条を体系化したもの

・リーダー自身の内に秘めた価値観と理念の延長

・永遠不変の原則

パーパス(存在意義)
・会社が存在する根本的理由

・常に追い求めるが、決して手に入らない

・100年は変化しない

ミッション
・明快で説得力のある全体目標

・明確なゴールと時間軸がある。実現可能

・達成されると、新たなミッションが設定される

 

ビジョンは

コアバリューと理念→パーパス→ミッション(BHAG:社運を賭けた大胆な目標)

の順に設定していく。

 

ビジョンが効果を発揮するには「明確さ」と「共有」がカギ。

 

「偉大な会社を動かすもの ザ・マップ」
(インプット)
第1段階 規律ある人材
・第5水準のリーダーシップの醸成
・最初に人を選び、その後に目標を選ぶ(正しい人をバスに乗せる)。
第2段階 規律ある思考
・ANDの才能を活かす
・厳しい現実を直視する(ストックディールの逆説)。
ハリネズミの概念を明確にする。
第3段階 規律ある行動
・弾み車を回転させて勢いをつける。
・20マイル行進(規律ある行動でブレークスルーに到達する)。
・銃弾に続いて大砲を発射し、更新と拡張を続ける。
第4段階 永続する組織
・建設的なパラノイア(衰退の5段階を回避する)。
・時を告げるのではなく、時計をつくる。
・基本理念を維持し、進歩を促す(新たなBHAGを実現する)。
10X型企業
・運の利益率を高める。

(アウトプット)
卓越した結果
唯一無二のインパク
永続性

 

戦略
戦略とは会社の現在のミッションを達成するための基本方針。

 

4つの基本原則

・あなたのビジョンに直結するもの

・あなたの会社の強みや固有の能力を活かすもの

・現実的なもの

・戦略策定には実現のカギを握る人々を参加させる

 

戦略策定のステップ
① ビジョンの見直し

② 内部評価(強みと弱み、リソース、イノベーションと新しいアイデア)として会社の能力をチェック

③ 外部評価(環境、市場、競合、トレンドのチェック)

④ 内部・外部評価を考慮しながらミッション達成のための重要な意思決定をする

 

イノベーション

永続する偉大な企業になるためにはイノベーションを続ける能力が必要。

イノベーティブな企業になるために必要な6つの要素

① どこで生まれたアイデアでも受け入れる力

② 自ら顧客になり、自分の問題を解決し、ニーズを満たす

③ 実験と失敗による試行錯誤

④ 社員のクリエイティブな能力を伸ばす

⑤ 自律性と分権化

⑥ 価値あるクリエイティブな成果に対し、報酬を出す

 

そのイノベーションを「規模拡大」する能力こそが持続的優位性を生み出し大切。

「市場に一番乗り」よりも「繰り返しのイノベーション」。

 

ベスト(最高)はファースト(一番乗り)に勝る。

 

戦術の卓越さ

一貫してハイレベルな戦術を遂行するには"SMaC:細部にこだわり、着実で一貫性がある"というマインドセットが必要

SMaCとは、常に気を引き締め、混乱した状況でも業務を遂行し、集中すべき事柄に集中し、こだわるべきとこをきちんとやる方法

 

SMaCの構成要素
① 揺るぎない一貫性を生み出す

 具体的で再現可能なプロセスとメカニズム

② 悲惨な失敗を防ぐ、確認と照会の仕組み

③ ありとあらゆる不測の事態を想定して備える線密な思考

④ SMaCプロセスの「理由」の理解に基づく継続的進化

 

戦術の遂行のために以下を定めておく。

・具体的マイルストーン

・具体的期日

・具体的担当者

 

 

6ステップで構成される終わりないプロセスが必要。

① 採用

② 文化を植え付ける

③ 研修

④ 目標設定

⑤ 測定

⑥ 評価

 

環境作り
・やるべきことが明確

・仕事に適したスキルを育める研修をする

・自由とサポートを与える

・努力を認めてあげる

・自分たちの仕事の重要性を伝える

 

偉大な会社とは

業績

影響

評価

持続性

===================

ビジョナリーカンパニー 時代を超える生存の原則:Built To Last

永続する会社を創ろう

・時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ。

・「ANDの才能」を重視しよう。

・基本理念を維持し、進歩を促す

・一貫性を追求しよう。

 

■カリスマもアイデアも必要ない。

カリスマはいつかこの世を去り、先見的なすばらしいアイデアもやがて時代遅れになる。

ビジョナリーカンパニーは、商品のライフサイクルを超え、優れた指導者が活躍できる期間を超えてずっと反映し続ける組織である。

 

■時を告げるのではなく、時計をつくる

行動ではなく、視点を変えること。

製品についてのビジョンを考えたり、カリスマ的指導者になろうと考える時間を減らし、組織についてのビジョンを考え、ビジョナリーカンパニーとしての性格を築こうと考える時間を増やすべき。

 

■ANDの才能

※両利き経営

いくつもの側面で両極になるものをどちらも追及する。「AかBか」を選ぶのではなく(OR抑圧をはねのけ)、「AとBの両方」を実現する方法を考える。

 

基本理念

基本的価値観(組織にとって不可欠で不変の主義)と基本的目的(単なる金儲けを超えた会社の根本的な存在理由)を徹底させ、長期にわたって意思決定を導く原則とし、組織全体が力を奮い立たせる原則にする。

 

■BHAG(Big Hairy Audacious Goal:社運を賭けた大胆な目標):基本理念を維持し、進歩を促す

基本理念をゆるぎない土台にするとともに、基本理念以外のすべての点では変化、改善、革新、若返りを促す。慣行や戦略は変えていくが、基本的価値観と目的は維持する。基本理念に一致するBHAGを設定し、達成する。

 

■大量のものを試して、うまくいったものを残す

1.試してみよう。なるべく早く
疑問があれば、方法を変え、考えを変え、問題を解決し、機会をとらえ、実験し、何か新しいことを試す
動くことで、予想もしなかった機会にぶつかったり、顧客の具体的な問題にぶつかる、変移を作り出せる

2.誤りは必ずあることを認める
うまくいったものを残し、うまくいかなかったものを捨てる
3.小さな一歩を踏み出す
小さな一歩が大きな戦略転換の基礎になり得ることを忘れてはならない
企業の戦略的な転換を図りたいのであれば、「一歩のずつの革命」を起こす
小さな目に見える成功による力を利用し、会社全体の戦略に影響を与える方法もある

4.社員に必要なだけの自由を与えよう
ビジョナリーカンパニーは社員に業務上の自主性を認め、権限分散が進んだ組織になっている
これが計画によらない変異を可能にする基本になっている
5.重要なのは仕組みである。着実に時を刻む時計を作るべき
上記4つの点を単なる考えに終わらせずに、いくつもの具体的な仕組みを作り、進化による進歩を促すようにする

 

■社内の人材を登用し、基本理念を維持する。

社外から経営者を招いているようでは、先見性が際立つ企業になることも、その座を守ることも難しいだろう
経営幹部育成のための制度を設け、長期的な後継計画を作って、次の世代への移行が円滑に進むようにすべき

 

■一貫性

基本理念と目標とする進歩のために、会社の動きのすべての部分が協力しあっていること
 

一貫性の教訓
1.全体像を描く
基本理念を維持し、進歩を促すために、ひとつの制度、ひとつの戦略、ひとつの仕組みなどに頼ったりしない。重要なのは、これらすべてを繰り返すことである

重要なことは、驚くほど広範囲に、驚くほどの一貫性を、長期にわたって保っていくこと。
圧倒的ともいえる数のシグナルと行動によって、基本理念を強化し、進歩を促していくことが必要
個々の事実は、ひとつひとつを切り離してみれば、ささいなことである
数百にも及ぶ、他の事実と組み合わせたとき一貫した全体像が出来上がる
 
2.小さなことにこだわる
従業員は日々の仕事で「大きな全体像」に取り組んでいるわけではない
会社とその事実のなかの、ごくごく小さな細部に取り組んでいる

従業員に強い印象を与え、力強いシグナルを送るのは、ごく小さなことである
しかし、従業員は小さなことを見逃さない
会社のビジョンを信じたいと思っている
しかし、些細な点に言動不一致があると、それを見逃さない
 
3.下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる
ビジョナリーカンパニーはいくつもの仕組みや過程をバラバラに作っているわけではない
それぞれがお互いを強化し合い、全体として強力な連続パンチになるように集中している
 
4.流行に逆らっても、自分自身の流れに従う
一貫性というのは、自分自身の方向感覚に従うことを意味する
外部の標準や流行、習慣、トレンド、流行言葉に押し流れない
現実を無視するわけでなく、現実をしっかりと捉え、自社の経営理念と理想が指針にならなければならない  

正しい問いの立て方は「これは良い方法なのか」ではない
「この方法は自社にとって合っているのか?経営理念と理想にあっているのか」である
 
5.矛盾をなくす
一貫性を達成するには、新しいものを加えていけばいいわけではない
基本理念から乖離をもたらしたり、進歩を妨げたりする矛盾を見つけ出し、改める

 
6.一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す
ビジョナリーカンパニーの一般的な原則

・ビジョナリーカンパニーになるためには、基本理念がなくてはならない
・進歩への意欲を常に維持しなければならない
・基本理念を維持し、進歩を促すように、すべての要素に一貫性がとれた組織でなければならない

 

 

ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則:Good to Great

良い会社をいかにして偉大な会社にするか。

良好は偉大の敵である。

 

良い会社が偉大な会社になり、そして、前作のコンセプトを実践することによって、さらに偉大な会社を永続する卓越した会社に変えていく。

 

第五水準のリーダーシップ→野心は会社のために
第五水準のリーダーは、自尊心の対象を自分自身にではなく、偉大な企業を作るという大きな目標に向けている。我や欲がないのではなく、信じがたい大きな野心を持っているが、その対象は組織に向けられていて、自分自身には向けられていない。

 

第五水準までの段階
・第一水準(有能な個人)
才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする。

・第二水準(組織に寄与する個人)
組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する。
・第三水準(有能な管理者)
人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に、効果的に追求する。
・第四水準(有能な経営者)
明確で説得力のあるビジョンへの支持とビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでよりも高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える。
・第五水準(第五水準の経営者)=謙虚さ+不屈の精神
第一から第四水準を満たし、個人としての謙虚さと職業人としての強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる。

 

第五水準のリーダーシップの二面性
職業人としての意志の強さ
・素晴らしい実績を生み出し、偉大な企業への飛躍をもたらす。
・どれほど困難であっても、長期にわたって最高の実績を生み出すために必要なことはすべて行う固い意志を示す。
・偉大さが永続する企業を築くために基準を設定し、基準を満たせなければ決して満足しない。
・結果が悪かったとき、窓の外ではなく、鏡をみて責任は自分にあると考え、他人や外部要因や運の悪さのためだとは考えない。

 

個人としての謙虚さ
・おどろくほど謙虚で、世間の追従を避けようとし、決して自慢しない。
・野心は自分個人にではなく企業に向け、次の世代に一層の成功を収められるように後継者を選ぶ。
・鏡ではなく窓をみて、他の人たち、外部要因、幸運が会社の成功をもたらした要因だと考える。
・静かな決意を秘めて行動し、魅力的なカリスマ性によってではなく、高い基準によって組織を活気づかせる。

 

 

最初に人を選び、その後に目標を選ぶ→だれをバスに乗せるか
誰をバスに乗せるか。偉大な企業は、最初に適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、適切な人がそれぞれにふさわしい席に座ってからどこに向かうべきかを決める。

・企業が成長していくときの最大のボトルネックになるのが、市場でも技術でも競争でも製品でもなく、適切な人々を採用し維持する能力である。

・「一人の天才を千人が支える」方式では、天才が退けば崩れ。「第五水準の指導者と強力な経営陣」方式が良い。

・・誰に報酬を支払うかが問題で、どう支払うかは問題ではない。

・飛躍した企業では経営陣の離職時期は両極端で、長期にわたるか、ごく短期か。経営陣の回転率が高いわけではないが、回転のパターンが優れている。

・人事の決定で厳格になるための実際的な方法

-疑問があれば採用せず、人材を探し続ける

-人を入れ替える必要があることが分かれば、行動する。

-最高の人材は最高の機会の追求に当て、最大の問題の解決には当てない。

 

厳しい現実を直視する(だが、勝利への確信を失わない→最後には必ず勝つ

ストックデール逆説

・どんな困難にぶつかろうとも、最後には必ず勝てるし、勝つのだという確信が確固としてしていなければならない

・それがどんなものであれ、自分が置かれている現実の中で最も厳しい事実を直視しなければならない。

・上司が真実に耳を傾ける社風を作る基本的な方法

-答えではなく、質問によって指導する。

-対話と論争を行い、強制しない

-解剖を行い、非難しない

-入手した情報を無視できない情報に変える「赤旗」の仕組みを作る。

 

針鼠の概念(三つの円の単純さ)→単純明快な戦略
偉大な企業に飛躍するには「能力の罠」から脱却しなければならない
→中核事業で世界一になれないのであれば、中核事業が飛躍の基礎になることは絶対にありえない。
→三つの円(情熱持って取り組めるもの、経済的原動力になるもの、自社が世界一になれる部分)が重なる部分に関する深い理解に基づいて、中核事業に代わる単純な概念を確立するべき

→最高を目指すことでもなく、最高になるための戦略でもなく、最高になる意志でもなく、最高になるための計画でもない。最高になれる部分はどこかについての理解である。

 

針鼠→狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたったひとつ、肝心要の点を知っている→古代ギリシャの寓話

規律の文化→人ではなく、システムを管理する。
・規律ある人材に恵まれていれば、階層組織は不要になる。
・規律ある考えが浸透していれば、官僚組織は不要になる
・規律ある行動がとられていれば、過剰な管理は不要になる
・規律の文化と起業家の精神を組み合わせれば、偉大な業績を生み出す魔法の妙薬になる

規律の文化が高く、起業家の精神が高いと偉大な組織になる。

規律の文化が低く、起業家の精神が高いと起業家的組織になる。

規律の文化が高く、起業家の精神が低いと階層的組織になる。

規律の文化が低く、起業家の精神が低いと官僚的組織になる。

 

促進剤としての技術→新技術に振り回されない
偉大な企業への飛躍にしろ、没落にしろ、技術そのものが主要な原因になることはない。
 

弾み車と悪循環→劇的な転換はゆっくり進む
革命や劇的な改革や痛みを伴う大リストラに取り組む指導者は、ほぼ例外なく偉大な企業への飛躍を達成できない。
→偉大な企業への飛躍は、結果をみればどれほど劇的なものであっても、一挙に達成されることはない
→巨大で重い弾み車を、ひとつの方向に回し続けるのに似ている
→ひたすら回し続けていると、少しずつ勢いがついていき、やがて考えられないほど回転が速くなる
 

 

 

 

ビジョナリーカンパニーへの道
本書は「良い組織を、偉大な実績を持続できる組織に飛躍させる方法」を扱っている。

偉大な企業への飛躍の概念→偉大な実績の持続→ビジョナリー・カンパニーの概念→永続する偉大な企業

ビジョナリカンパニーの基本概念

・時を告げるのではなく、時計をつくる
規律を守る人たちを集め、正しい決定を積み重ねていく評議会の仕組みを作る。
・ANDの才能
自由と責任。個人としての謙虚さと、職業人としての意志の強さ。深い理解と、信じがたいほどの単純さ。段階的過程と革命的結果。維持と変化。
・基本理念
三つの円の一つ「情熱をもって取り組めるもの」は、「基本的価値観(組織にとって不可欠で不変の主義)」と「基本的目的(単なる金儲けを超えた企業の存在理由)」に重なります。
・基本理念を維持し、進歩を促す
社運をかけた大胆な目標は、虚勢からは悪いものが、理解からは良いものが設定される。偉大な目標は三つの円の重なる部分に収まり、この部分に直接関連する技術の先駆的な応用が進歩を促す。

 

 

ビジョナリーカンパニーへの道
1.第五水準のリーダーシップを理解する
何より最初に第五水準のリーダーシップを理解し、そうなろうとすることが大切だと思います。ただし、本書にも書いてありますが、第五水準のリーダーになるための体系だった方法がありません。そのため、この後のステップを実際に実行していくことで、徐々に身に付けていくことが必要でしょう。少なくともこの段階では、ビジョナリーカンパニーを創ったリーダーとはどんなリーダーであるのか?を知っておくことが大切でしょう。

 

2.「時計をつくる」「ANDの才能」の概念を理解する
「時計をつくる」「ANDの才能」は、1&2を通じて登場するビジョナリーカンパニーの土台となる概念です。そのため、この2つについても十分に理解をしておく必要があるでしょう。

 

3.基本理念を考える
基本理念は、組織の基本的価値観と目的から成り立ちます。ビジョナリーカンパニーの聖戦はこの基本理念の範囲内となります。そのため、最初に基本理念について考える必要があります。

 

4.適切な人をバスに乗せる
次に、基本理念に合う人たちをバスに乗せ、合わない人たちをバスから降ろします。バスから降ろす、というのは米国であれば解雇するということになりますが、日本の場合はそれが難しいです。ただ、私たちの経験から言うと、自社の価値観を明確に定め、それを体現していくと、自然と合わない人たちはやめていく傾向にあります。人が辞めていくのは社長にとっては試練になるかもしれませんが、それを乗り越えれば、今度は、自社の価値観に合う人が集まってくるようになります。

 

5. 針鼠の概念を基に、BHAGを定める
適切な人達が集まったら、BHAGを設定します。本書で書いてある通り、BHAGは、針鼠の概念に登場する3つの円の真ん中の範囲内である必要があります。そのため、最初に針鼠の概念を理解し、3つの円の真ん中が何なのかを発見することが大切でしょう。そして、その真ん中を追求していくためのBHAGを設定します。

 

6.弾み車を回し始める
ここまでのステップで、自社の基本理念が決まり、BHAGも決まりました。次は弾み車を回し始めることです。

本書に登場するビジョナリーカンパニーは、いずれも成功の目が出始めるまでに10年~20年かかっています。ですから、一貫性と規律を持って、取り組んでいくことが大切でしょう。

 

ビジョナリーカンパニー3 衰退の5段階:How the mighty Fall

衰退の5段階

衰退の五段階 
第一段階 成功から生まれる傲慢
 ・成功は当然だとする傲慢
 ・主要な弾み車の無視
 ・何からなぜへの移行
 ・学習意欲の低下
 ・運の役割の軽視

第ニ段階 規律なき拡大路線
 ・持続不可能な成長の追求と、大きさと偉大さの混同
 ・関連しない分野への規律なき飛躍
 ・主要なポストのうち、適切な人材が配置されているものの比率の低下
 ・容易に利益を得られることによるコスト面の規律の緩み
 ・官僚制による規律の破壊
 ・問題のある権力継承
 ・組織の利害より権力者個人の利害を優先

第三段階 リスクと問題の否認
 ・良いデータを強調し、悪いデータを小さく見せる傾向
 ・事実の裏付けがない大きな賭けと大胆な目標
 ・曖昧なデータに基づいて、とてつもないリスクをおかす動き
 ・経営陣の健全な行動様式の衰退
 ・外部要因への責任の押しつけ
 ・組織再編への固執
 ・傲慢で超然とした姿勢

第四段階 一発逆転策の追及
 ・特効薬の追求
 ・救世主のような指導者への期待
 ・パニックと拙速
 ・抜本的変化と「革命」の喧伝
 ・業績より売り込みの優先
 ・当初の業績回復とその後の失望
 ・混乱と皮肉な見方
 ・リストラの繰り返しと財務力の低下

第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
 ・戦いをあきらめる
 ・選択肢が尽きる

 

パッカードの法則:
偉大な企業は機会が少なすぎて飢える可能性よりも、機会が多すぎて消化不良に苦しむ可能性の方が高いというパッカードの指摘。 

 

ビジョナリーカンパニー4 自分の意思で偉大になる:Great by Choice

 

「あらゆる状況を想定して準備をしておけば勝利が訪れる。これを人々は幸運と呼ぶ。事前に必要な予防策を講じるのを怠れば失敗は確実だ。これを人は不運と呼ぶ」
ロアルド・アムンゼン

 

10X型リーダー

より創造的というわけではない

より先見の明があるわけではない

よりカリスマ性があるわけではない

より野心的というわけではない

より運に恵まれているわけではない

よりリスクテーキングというわけではない

より英雄的というわけではない

より大胆な手段に打って出ているわけではない

 

 

10X型(10EX-er)企業が見せる主要コードーパターン3点セット

①狂信的規律→行動の一貫性
②実証的創造力→科学的実証に基づくデータに直接当たる
③建設的パラノイア→良い時でも悪い時でもガードを崩さない

→「常に恐怖を感じて経営すべきだ。ただし、恐怖を表に出してはならない。個人的にはいつも失敗した場合のことを考えている」
ゲイツ



この3点セットに命を吹き込むのがやる気の原動力「レベルファイブ(第五水準)野心」→自己を超越した大義を達成したり、偉大な企業を巣立てたりするのに不可欠な情熱

 

自由意志で規律を導入したとき、真に自由になれる

ロン・セリーノ

 

二十マイル行進が不利な状況を好転させる理由
①逆境でも成果を出せるとうい自信を身に付けられる
②大混乱を前にしても大参事に陥る確率を低くできる
③不可抗力に直面しても自制心を保って対応できる

 

二十マイル行進の苦痛
・厳しい環境でも高い成果を出さなければならないという苦痛。
・快適な状況でも自制しなければならないという苦痛。

 
二十マイル行進の特徴
① 明確な工程表
② 自制心
③ 企業ごとの独自仕様
④ 他力本願ではなく自力達成型
⑤ ゴールディロックス時間(無理がかからないほどゆっくり進むが、厳しさを伴うほど早く進む)
⑥ 企業が自らに課す規律
⑦ 並外れた一貫性

 

銃撃に続いて大砲発射 
銃弾は低コスト、低リスク、低ディストラクション(気の散ること)を満たす実証的テスト。実証的テストで有効性を確認したうえで大砲を発射し、そこに経営資源を集中させる。

 

死線を避けるリーダーシップ
建設的パラノイア の手法
・前もって突発的出来事と不運に備えるために、現金など手元資金を積み上げ、「バッファー」を用意。
・リスクを抑える。「死線リスク」「非対称リスク」「制御不能リスク」がある。リスクを抑えることで「時間軸リスク」を上手に管理する。
・「ズームアウト」に続いて「ズームイン」。状況変化を察知し、効果的に対応するために徹頭徹尾用心深くなる。

 

SMaCレシピ
反復可能で一貫性のある成功法であり、永続性のある業務改善案をひとまとめにしたもの。
①具体的である(Specific)
②整然としている(Methodical)
③そして(and)
④一貫している(Consistent)

 

ANDの才能
さまざまな側面の両極にあるものを同時に追求する能力である。AかBかのどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手に入れる方法を見つける


ORの抑圧
ものごとをAかBのどちらかの、二者択一的に捉えること。

 

 

ビジョナリーカンパニー 特別編

ビジョナリーカンパニー2」の付属論文。

・「偉大さ」の定義--経営指標が使えないなかで、偉大さを判断する

偉大な組織とは、優れた実績を上げるとともに、長期にわたって際立った影響を社会に与える組織である。…社会セクターの場合には、「投資した資本に対してどれだけの利益が得られたか」ではなく、「使った資源に対してどれほど効率的に使命を達成し、社会に際立った影響を与えたか」が決定的に重要である。

重要なのは成果を確認するために、量的な事実や質的な事実をしっかりと集めていくことである。集まる事実が主に質的なものであれば、法廷弁護士が証拠を検討するときのように考える。集まる事実が主に量的なものであれば、研究所の科学者がデータを集め、分析するときのように考える。

重要なのは完璧な指標を探すことではない。アウトプットの動向を評価するために一貫した賢明な方法を確立し、実績がどのような軌道を描いているのかを確実に確認していくことである。

 

・五水準のリーダーシップ--分散型組織構造で成功を収める

第五水準のリーダー

個人としての謙虚さと職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、永続する偉大な組織を作り上げる。

第四水準 有能なリーダー

明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう、組織に刺激を与える。

第三水準 有能な管理者

人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追求する。

第二水準 組織に寄与する個人

組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織のなかで他の人たちとうまく協力する。

第一水準 有能な個人

才能、知識、スキル、勤勉さによって、生産的な活動をする。

 

・最初に人を選ぶ--社会セクターの制約のなかで適切な人をバスに乗せる

偉大な企業への飛躍を導いた指導者は、まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこに向かうかを決めている。(略)

「だれを選ぶか」を決めて、その後に「何をすべきか」を決める。ビジョンも、戦略も、戦術も、組織構造も、技術も、「だれを選ぶか」を決めた後に考える。

社会セクターでは、不適切な人をバスから降ろすのが企業セクターよりむずかしい場合があるので、採用の仕組よりも初期評価の仕組みの方が重要である。(略)資源が不足しているからこそ、人を選ぶことが決定的に重要になるのである。

 

・針鼠の概念--利益動機のないなかで、経済的原動力を見直す

針鼠の概念
→複雑なことをひとつのシンプルな考え方でとらえなおし、それですべての物事を決めるやり方

1.情熱をもって取り組めるものは何か。
みずからの組織が意味するもの(基本的価値観)と存在理由(使命、基本的目的)に関する理解。

2.自分たちが世界一になれる部分は何か。
みずからの組織が世界のどの組織よりも活動地域の人びとに寄与できる点に関する理解。

3.資源の原動力になるものは何か。
時間、資金、ブランドという3つの面で、資源の原動力になる最強の要因に関する理解。


資源の原動力

時間
報酬のない活動に、あるいは企業で働けば得られる水準より報酬の低い職に、有能な人材をどこまでうまく引きつけられるか。

資金
継続的な資金をどこまでうまく確保できるか。

ブランド
支援者になりうる層の好意と関心をどこまでうまく獲得できるか。

 

・弾み車を回す--ブランドを構築して勢いをつける