原書タイトルはNUDGEである。「行動経済学」という単語は出てこない。ならば、「選択アーキテクト」のほうがよかったのではないか。
デザインというものは、どう機能するかということだ。
ジョブス
選択アーキテクチャは従来からあるアーキテクチャと同様に、中立的な設計はない。
ナッジ(nudge)
人がより良い意思決定をおこなえるように、ちょっとした介入を行う行動科学のアプローチ
ナッジとは、「短期的な欲求」を逆に利用して、無意識に私たちを望ましい方向へと誘導するもの。
ナッジが効果を上げる方法
・対象となる行動を特定する
・人がより良い解決策を選びやすくするために選択肢の見せ方を変えたりする「選択アーキテクチャ」を設計する
選択アーキテクト(選択の設計者)
人びとが意思決定する文脈を整理して示す責任を負う。
選択アーキテクトが「行動を変えさせたい、ナッジを使ってそうしたい」と思っているなら、「ほかの人がどう考えているか、どうしているか」を人びとに伝えるだけでよいかもしれない。ほかの人たちの考えや慣習が驚くようなものであったりすると、それに強く影響される。
スラッジ(sludge)
良い方向に向かうのを妨げ、不利益をもたらすダークサイドバージョンのナッジ。
セルフナッジ(Self-nudge)
自分自身にナッジをかけることで、自分に望ましい結果をもたらすため、自らの行動パターンを変えるように自分を後押しすること
セルフナッジを効果的にする選択アーキテクチャ
・アクセシビリティの操作
・デフォルトの設定
-選択促進→ルーチン的摘出、推定同意(オプトアウト)、明示的同意(オプトイン)、命令的選択は推奨しない
・メンタルアカウンティング
人がお金に関して意思決定する際、無意識に行う行動のひとつで、「心の会計」とも呼ばれている。
人間の意識は、一度に多くのことは処理できないことから、複雑な世界を簡単で扱いやすいものに変えようとする。
ナッジする人
ほかの人に注意喚起をしたり、気づかせたり、控えめに警告したりする人
ナッジの中核を成すのは、「リバタリアン・パターナリズム」という概念だ。
とにかく個人の自由に任せ、他者は介入・干渉しないようにしよう。
弱者の利益につながるとして強者が介入・干渉する。
この相反するようにも映る二つの概念を組み合わせたもの。
他者に害を与えない限り、人は自由に行動すべきであり、自分が望まない場合にはオプトアウト(拒否の選択)をする自由が与えられるべきだ(リバタリアン的な側面)。
一方、人びとが健康でよりよい人生を送るため、「選択アーキテクト」が人の行動に影響を与えようとすることを当然視する(パターナリズム的な側面)。
多元的無知
集団の全員、あるいは大半の人が、ほかの人がなにを考えているか知らない状況をいう。私たちがある慣習や伝統にしたがうのは、好きでやっているからでもなければ、それを正当化できると考えているからでもなく、ただ単に、ほかのほとんどの人はそれが好きでやっていると思い込んでいるからだろう。
「温室効果ガス」は絶対減らすべきなのに、取り組みが一向に進まない理由
→共有地の被害
・現在バイアス
・顕著性
・敵の不在
・確率的被害
・損失回避