akon2.00βのよっぱらいの戯言

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定本 想像の共同体

 

国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体である――そしてそれは、本来的に限定され、かつ主権的なもの[最高の意思決定主体]として想像されると。
出版時代以前には、想像の宗教共同体の現実性は、なににもまして、無数の、やむことのない旅に深く依存していた。
想像の共同体というのは、そうした物理的な共有がないにも関わらず、同じ共同体だと認識できることです。

 

出版による時間・空間の超越

フランス語、英語、スペイン語といっても、口語はきわめて多様であり、これら多様なフランス口語、英口語、スペイン口語を話す者は、会話においては、おたがい理解するのが困難だったり、ときには不可能であったりするのだが、かれらは、印刷と紙によって相互了解できるようになった。
印刷本は永続的形態をもち、時間的にも空間的にも、事実上無限に複製可能である。印刷本は、「テキスト複製のさい、意識的、無意識的に時勢に合わせる写字生の作為から、以降まぬがれることになる。」
国民というものは、皮膚の色、性、生まれ、生まれた時代など――ひとがいかんともしがたいすべてのものと同一視される。そしてこうした「自然のきずな」のなかに、ひとは、「ゲマインシャフト*1の美」とも言いうるものを感知する。

 

「地図」がもたらす想像の共同体

国境が地図によって定義され、今まであいまいだった国民に明確な境界が設けらる。

 

歴史を利用した正統性

そうした地図は、特定の、国境によって截然と仕切られた領土的単位がむかしからあるということを示すためのものだった。こうした地図を時系列的に並べることにより、王国の政治伝記的物語とでもいったものがときに非常な歴史的深みをもって成立することになった。

 

こうした歴史に説得力を与えるため利用されたのが「遺跡」であり「博物館」。こうしたものが存在することこそ、国の歴史であり、国民の過去と現在をつなぐものになった。仲間意識は、もはや「自然のきずな」というゲマインシャフトに頼る必要がなくなった。

*1:地縁、血縁、精神的連帯などによって自然発生的に形成した集団のことだそうです。