日経コンピュータの渡辺氏が以下の記事を書いている。ITproメールであってWebにあるかどうかはさだかではないので長めに引用させていただく。
氏は以下の命題をあげている。
ハードウエアもソフトウエアも、作るのは同じ人間である。なのに、半導体がムーアの法則のスピードで猛烈に集積度を上げていくのと比べると、業務アプリケーションを開発するためのプロジェクトマネジメントのレベルアップは、ムーアの法則に遠く及ばない。牛のような歩みだ。この違いは、一体どこから生じるのだろうか。
その理由の一つを
例えば、今年から半導体技術者として働くことになった新人の前には、クアッドコアのプロセッサを設計する技術ノウハウが蓄積されている。新人は、この高い土台からスタートして、8コアや16コアのプロセッサ開発に参画することになる。5年後の新人は、32コアくらいの設計技術を土台にスタートするかもしれない。
一方、今年からシステム開発プロジェクトに配属された新人は、開発環境やミドルウエアなどについては最新の技術を使うところからスタートできる。しかし、この新人が将来プロジェクト・マネジャになるとして、必要なスキルは一から経験して身に付けていくしかない。5年後の新人も、おそらくほとんど同じ位置からスタートすることになるだろう。このように、属人的な経験に頼っている現状では、なかなかプロジェクトマネジメント力は向上しない。
としている。
そして、
この比較を通して伝えたいのは、「技術ノウハウは資産として次の世代に残せるが、リスクを察知したり、それに適切に対処したりする属人的なスキルは、その人がいなくなれば失われ、次の世代に残しにくい」という点である。プロマネ力を向上させるには、(1)経験だけに頼らない仕組み作りと、(2)属人的ではなく、組織としてのレベルアップを図ることが必要になる。
という主張も合意できる。主張はPMを対象としているので、論点は変わってしまうが、再び、引用させていただくと、
クアッドコアのプロセッサを設計する技術ノウハウが蓄積されている。新人は、この高い土台からスタートして、8コアや16コアのプロセッサ開発に参画する。
のに対して、
今年からシステム開発プロジェクトに配属された新人は、開発環境やミドルウエアなどについては最新の技術を使うところからスタートできる
PM以前にソフトウエア技術者は、技術ノウハウを資産として次の世代に残しているのだろうか。ソフトウエア技術者は、使うところからスタートすると、設計するハードウエア技術者に、水をあけられていないか。コアという単位で議論はできないにしても、フレームワーク5号からフレームワーク開発に参加するというのことはまれではないか。つまり、ツールとその使い方のノウハウは蓄積していても、
#フレームワークにはノウハウが蓄積されているとはいえ、
ツールの作り方についてのノウハウを蓄積していることは、まれではないか。
かたやプロセッサ開発、かたや技術の使い方、この差は大きいと愕然とした。
ソフトウエア技術者といいつつ、ツールの使い手になってはいないだろうか。
これでは技術は継承できない。マシン語を知らない子ども達を読んでを書いてもやもやしていた部分がちょっと晴れた気がした。どのように、クアッドコアのプロセッサを設計する技術ノウハウを蓄積しているのだろうか。