akon2.00βのよっぱらいの戯言

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LOONSHOTS

 

 

LoonshotとはMoonshotを実現するイノベーションのことを指す。

Moonshot:1)月に向けて宇宙船を発射すること。2)志のある大きな目標のこと。達成することに大きな意義があると多くに期待されるもの。

Loonshot:無視されたプロジェクト。多くに途中で中止されるもの。うまくいけばすべてが帳消しになるほどの成果を出すもの。

 

フランチャイズにたけていることとルーンショットにたけていることが組織の別々の相である。

同じ組織は同時に二つの相をとることはできない。

 

三つ目のルールは、PタイプSタイプ2種類のルーンショットを区別する。

ルーンショットは、脆いものなので、保護・育成しなければならない。

ブッシュ・ヴェイル・ルールでは、三つ目のルールは、「システムマインドを育む」となっている。

 

facebookSNSを発見したわけではなく、googleは検索を発明したわけではない。

 

・製品(Product)の驚くべきブレークスルーを「Pタイプ」のルーンショット。これは最初こそ受け入れられないが、最終的に勝利するテクノロジーを指す。

人々は「ものになりそうにない」とか「ヒットしようがない」と言う。だが、ふたを開けるとヒットする。

戦略(Strategy)の驚くべきブレークスルーを「Sタイプ」のルーンショット。これはビジネスの新しいやり方や既存製品の新しい応用法を指す。新しいテクノロジーは関係ない。

人々は『儲かるはずがない』と言う。だが、ふたを開けるとちゃんと儲かる。

Pタイプのルーンショットによる『死』は突然、劇的に訪れる。

Sタイプのルーンショットによる『死』はもっと緩やかでわかりにくい。

 

ゴールが明らかに重要で、その達成がほぼ不可能と思われる計画以外は、着手してはならない。

 

モーゼの罠

→戦略の強さではなくルーンショットに恋焦がれる聖なるリーダーがもっぱらアイデアを決めるときにおこる。

その1:危険な好循環

Pタイプのルーンショットフランチャイズの成長を促し、それがさらなるPタイプのルーンショットを生む。

その2:フランチャイズが周りをどんどん見えなくする。

好循環を回し続けるPタイプのルーンショットだけが重用される。

ポラロイド社は経営破綻したのは、

デジタル写真というルーンショットに不意打ちを食らわされたからではない。

見事なルーンショット養成所をつくり、相分離を達成したが、新しいアイデアの裁判官・陪審員であることをやめなかった。つまり、動的平衡に失敗した。

ランドや経営陣がデジタルに取り合わなかったのは、30年間、

フィルムを売って稼いできたからで、デジタルでは設けるすべがないと考え、

デジタルがもたらす新しい収益源を考えなかった。

つまり、強み(Pタイプのルーンショット)に頼り、弱み(Sタイプのルーンショット)に目を向けなかった。

 

モーゼの罠から逃れるための二つの方法

システムマインド

結果の質だけでなく、意思決定の質を注意深く検討する

・結果重視マインドセットセット

プロジェクトや戦略が失敗した理由を分析する。


創発特性

集団的な振る舞い、つまり部分の細部に依存しない全体、ミクロを超えたマクロのダイナミクス

創発特性(例えば液体の流れ)基本法(例えば量子力学や重力)の違いの一つは、創発特性は突如として変化し得ることだ。温度が少し変わっただけで、液体はいきなり固体になる。

ある創発的振る舞いから別の創発的振る舞いへのそうした突然の変化が、相転移

創発特性と相転移は、予測がつきやすいということだ。

個人の小さな振る舞いを制御するパラメータをコントロールすれば、全体の行動特性を予測できる。

 

相転移を通じてルーンショットのもっと効果的な育成方法

-あらゆる相転移の本質は、2つの競合する力の綱引きである。

-システム特性の小さな変化(密度や温度など)によって2つの力のバランスが変わると、相転移が生じる。

 

マジックナンバー150

・集団が大きくなると、メンバーに対するインセンティブが、共通の目標の達成から、個々のキャリア形成や昇進にシフトする。つまり、集団の規模が臨界閾値を超えると、キャリアへの関心が勝り始める。チームはルーンショットをないがしろにし、フランチャイズプロジェクトだけが生き残る。

・従業員にとっての2大インセンティブは給料とエクイティ。

・給料とエクイティを組み合わせたインセンティブには、組織の臨界規模、マジックナンバーがある。

規模がマジックナンバー以上になると、プロジェクト重視から政治重視へバランスが変化する。この閾値以下だと、全社員がルーンショットを生み出そうと奮闘するが、閾値を超えると自身の昇進の重要性が高まり、政治がいきなり顔を出す。ルーンショットは軽んじられ、フランチャイズがもてはやされる。

・M≈ES2F/G

M:マジックナンバー、E:エクイティ比率(全報酬に対するエクイティ報酬の比率)、S:マネジメントスパン(直属の部下の数)、F:組織適合レベル(担当プロジェクト成功のために自分のスキルが生かせる度合い、プロジェクトの仕事によるプロジェクトの価値向上/政治活動による昇進可能性アップの比)、G:昇進による給与アップ率]

 

・実世界の典型的な制御パラメータ、150というマジックナンバーを境にインセンティブが突然変化する。この規模のとき、綱引きをする力のバランスが変わり、システムは突然、ルーンショット重視から昇進重視へと変わり果てる。

・政治重視の相

150人を超える集団は、その構造を修正することによって、ルーンショット重視の相を取り戻すことができる。

 

四つ目のルール

伝統的なニンジン(出世)の代わりに、仲間から認められるというニンジンが用意されている。

 

ニーダム問題

古代と中世の中国の科学技術が西欧よりもはるかに進んでおり、数多くの発見や技術は中国のほうがはるかに早かった。しかし、「近代」の科学や技術を生み出すことができずに、近現代には西欧の科学技術を受け入れるようになったのはなぜか。

 

万里の長城のようなフランチャイズに注力し、ルーンショットに興味を失ってしまった。

 

ルーンショット養成所が花開くには、つの条件

1 相分離→ルーンショット集団とフランチャイズ集団を分ける

2 動的平衡→両集団間のシームレスな交流

3 クリティカルマス→ルーンショット集団がプラスの連鎖反応を起こすのに十分な規模にある。

 

イギリスには近隣諸国と違う点、近隣諸国より秀でた行動が一つあり、それが運を呼び寄せた。どこよりも早く、国の中にルーンショット養成所をつくって成功させた。

この強力なルーンショットが思わぬ成功をおさめ、そのアイデアをもとに工業化や兵器開発を推し進めてメジャーになり、自国の言語や慣習を世界中に広めた。

 

経営理念上、2種類のルーンショットは、ルイス・ガランボスの適応的イノベーションと発展的イノベーション、クレイトン・クリステンセンの持続的イノベーションと破壊的イノベーションと無関係である。

ふたりは、既存製品の改良(持続的)と市場を最終的に大きく変えるテクノロジー(破壊的)を区別する。

PタイプSタイプルーンショットは持続的にも破壊的にもなりえる。

逆も同様で、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは、それぞれPタイプSタイプルーンショットになりえる。

 

ルーンショットは現在、ディスラプティブはあとづけ。

 

ブッシュ・ヴェイル・ルール

・相分離を実行する

ルーンショットに取り組む集団とフランチャイズに取り組む集団を分ける

 

-アーティストとソルジャーを分離する

-「相」に合わせたツール(手段)を用意する

-死角に注意する-PS両タイプのルーンショットを育てる

 

動的平衡を築く

両集団間のやりとりのしやすさを確保する

-アーティストとソルジャーを平等に愛する

-テクノロジーではなくトランスファー(適用)を管理する

モーゼではなく庭師になる

-橋渡し役となるプロジェクト推進者を任命・育成する

 

システムマインドを育む

-組織がその選択をした理由を問い続ける

-意思決定プロセスの改善方法を考え続ける

-結果重視のチームにシステムマインドを植えつける

 

・マジック・ナンバーを増やす

-政治利益を減らす

-ソフトエクイティを利用する

(仲間からの評価。内因性の動機付け要因など効果的な非金銭的報酬を活用する)

-中間層を機能させる(ドルマネジャー向けのゆがんだインセンティブを減らす)

-ナイフを使った戦いに銃を持ち込む

-マネジメントスパンを微調整する(ルーンショット集団には広く、フランチャイズ集団には狭く)

管理を緩くし、実験を増やし、仲間同士の問題解決を促進する

 

===

動的平衡

 (継続的交流)

   強     カオス    ブッシュ・ヴェイル

                  のバランス

   弱     停滞     モーゼの罠

   ↑

      →    弱       強        相分離

                           (二つの集団)

===

ルーンショットを目指す上で、必ず心がけること

・「偽の失敗」に気をつける

・最悪の発言に好奇心をもって耳を傾ける

・結果重視マインドではなくシステムマインドを用いる

精神、人間関係、時間を常に意識する。

(・プロジェクトの擁護者を作る)

 

イノベーション方程式

・社内政治活動から得られるメリット=昇進による給料増加G×政治活動による昇進可能性Rp・・・(1)

・プロジェクト推進活動から得られるメリット=成功による報酬E×(担当プロジェクトが生む期待価値/全社のプロジェクトが生む期待価値)×努力が価値を向上させる度合いRs・・・(2)式

・マネジャーが管理するプロジェクト数はS(=マネジメントスパン数)個のチームで、1チームは1つの課題をS人で担当するとする。

・組織全体のプロジェクト数≒組織メンバー全員N/1チームの人数S(Sが大きく、どのチームも同じとする)

・1プロジェクトから得られる期待価値/全プロジェクトから得られる期待価値=1/組織全体のプロジェクト数=S/N (どのプロジェクトの期待価値も同じとする)

・管理プロジェクト数をSとすると、(担当プロジェクトが生む期待価値/全社のプロジェクトが生む期待価値)=S×S/N

・これらを(2)式に代入すると、プロジェクト推進から得られるメリット=E×(S×S/N)×Rs

・政治活動のメリット(1)<プロジェクト活動のメリット(2)の場合にルーンショットが支持されるとすると、この式はG×Rp<E×(S×S/N)×Rs となり、変形して

N<E×(S×S)×(Rs/Rp)/G

(Rs/Rp)=Fとすれば、マジックナンバーM=E×(S×S)×F/G よりも小さいNなら、ルーンショットが支持される

 

 

両利きの経営については、言及がないが、知の探索(自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げる)と知の深化(自身・自社の持つ一定分野の知を継続して深掘りし、磨き込んでいく)

をともに重視するので似ている気がする。

 

目次

PART I 幸運を呼ぶ技術者たち

第1章 ルーンショットが導いた大戦の勝利

第2章 ルーンショットの驚くべき脆さ

第3章 2種類のルーンショット トリップとクランドール

第4章 エドウィン・ランドと「モーゼの罠」

第5章 「モーゼの罠」の回避

PART II 突然の変化を科学する

挿話 「創発」の重要性

第6章 相転移I、結婚、森林火災、テロリスト

第7章 相転移II マジックナンバー150

第8章 四つ目のルール

PART III すべてのルーンショットの母

第9章 なぜ世界は英語を話すのか