akon2.00βのよっぱらいの戯言

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ダーウィンの覗き穴

 

 

 

 進化とは繁殖。

 

第1章 用語を定義せよ!

有性生殖についての概念整理

有性生殖よりクローン生殖の方が四倍も効率的

→クローン生殖は雄と遺伝子を分かち合う必要がない→二倍の効率

→クローン生殖は雌だけでなく誰もが子を産める。→二倍の効率

→ただし、クローン生殖は寄生生物の感染による絶滅のリスクがある。

→DNAに蓄積したエラーを排除できる

 

オスとメスの存在の謎

→接合子におけるオルガネラ抗争を防ぐため

 

メイナード=スミスによるサイズ依存的な適応度関数の形状により配偶子の大小が進化するという仮説。


第一次性徴と第二次性徴

自然淘汰と性淘汰とは別物。

第一次性徴は器官そのもの、第二次性徴は器官の属性


生殖器→みエバーハードの定義→雌の交尾器→雌の生殖菅のうち、性交の最中または直後に雄の生殖器または雄の生産物(精子、精包)とじかに接するパーツ

 

様々な生殖器

-イカの精包

-カイダコの交接腕

-カギムシのメスによる精包取り込みメカニズム

 

本体の8倍もの長さを誇るフジツボのペニス。
 バイブレーターが付いているガガンボのペニス。
 他のオスが残した精子をかき出すためのスプーンが付いたカワトンボのペニス。
 交接の最中に付け根から切断され、あとは自力でメスの体内に潜り込むカイダコのペニス。
 同じく切断されてメスの生殖器をふさぐことで他のオスとの交尾を邪魔するナガコガネグモのペニス
 メスの生殖器を切り裂き、傷口から操作型分子を侵入させるためのトゲに覆われたマメゾウムシのペニス。
 互いに矢を撃ち込むナメクジのペニス。

 

第2章 ダーウィンの覗き穴

生殖器の近縁種間での多様性にかかる過去の考え方
ルネ・ジャネルによるメクラチビシデムシの交尾鉤の多様性

→異種間交雑を避け、同種間でのみ交尾しやすくなるため

この説は1980年代以降急速に棄却

→オスのペニスが多様なのにメスの膣が同じような形状であるマルハナバチという例外

→カマキリのあるグループでのオスのペニスは左右非対称で種によって左右のキラリティが異なっているのにメスの膣は左右対称であるという例外

エバーハードは洞窟性のメクラチビシデムシをはじめとする種間隔離が成立していてそもそも異種間交雑を避ける必要のない生物グループにも生殖器の種間多様性が進化していることを指摘。

 

第3章 体内求愛装置

メスの選り好みによる性淘汰
生殖器の多様性の説明

 

イトマンの性淘汰

卵の数と精子の数の不均衡から、オスは常に交尾に積極的でメスは選択的になる。

ショウジョウバエにおいてオスは交尾回数を増やすと利益を得るがメスは(それほど)利益を受けない。

 

 

第4章 恋人をじらす五〇の方法

メスの隠れた選択
交尾後どの精子を卵に受精させるかについて、それはメスの体内で起こるのだから基本的な選択権はメス側にある。
オスの都合だけなら交尾時間は短いほどよい。メスはそれを長引かせオスを選択するために迷路のような生殖管や内なる扉を進化させている。そしてペニスはそれをこじ開ける鍵でもあるのだ。

ヒトの女性のクリトリスとオルガスムは実はこの隠れた選択のためではないかという仮説(オルガスムを感じたときの精子受精率を高めるのではないかというもの。具体的にはそのときの精子排出率を下げることなどの方法が考えられている)。クリトリスは広く哺乳類に見られ、観察からはオルガスムも同様に広く存在すると推測されている。

 

多くの場合そのメスは貯蔵庫を複数持ち、どのオスの精子を使うかを選択できるようになっている。さらに哺乳類の場合にはメスは受精後も流産という形で選択を行うことができる。

ブルース効果

→哺乳類のメスにおいて観察される、メスを別の新しいオスに曝露させると妊娠が中断される現象。

 

第5章 気まぐれな造形家

 性淘汰が与える生殖器形質への影響
ポミヤンコフスキーと巌佐のモデル

ダイナミズムは不安定になることが多く、性淘汰形質は安定的になりにくい。形質が極限に達するとメリットが失われ崩壊しやすくなり、(感覚便乗や免疫の利益のために)少数派を好むという選好が生じた場合にも不安定になりがちになる。そして生殖器にも性淘汰が関わっているなら、その形態は種間で気まぐれに多様になる。

交尾器の大きさの問題。

アロメトリーの規則

→交尾器は最も大きな負のアロメトリーを持つ。

→オスの交尾器はメスの生殖器の「押すべきボタンをすべて押す必要がある」ため適切なサイズについての淘汰圧があるため。例外として、フジツボは固着生活のために長いペニスが有利になり、グッピーのように性的ディスプレーとしても機能する場合にも大きい方向に淘汰がかかる。

ある種のクモのオスは蝕肢の1つを交尾器として使うが、これに大きさの淘汰がかかった結果1対の蝕肢が大きくなり、運動性能上の重いコストになった。そしてこのために片方を自ら切断して身軽になるという習性が進化している。

 

第6章 ベイトマン・リターンズ

性拮抗的共進化
「メスによる秘かな選択」に対してオスが取り得る対抗策

→強制交尾(強姦)、外傷的精子注入(メスに針を突き刺して強引に精子を送り込む)、他のオスの精子強制排

それに対抗するためのメスの策略

→スパーマリッジと呼ばれる偽膣

 

 

第7章 将来の求愛者

性的コンフクリト
ハグロトンボのオスのペニスは、先に交尾したオスの精子の掻き出し器でもある。

サメのオスに見られる膣洗浄器

コオロギのオスにある精子押し出しポンプ

メスは排出に協力するように進化する場合(メスに協力させる能力のあるオスは、その能力の故に隠れた選択の対象になり得る)もあるし、逆もある。後者の場合には拮抗的共進化となり大変複雑な生殖器官や内部メカニズムが進化する。

 

性的コンフクトは交尾後のメイトガードという形でも現れる。そのひとつは交尾栓だ。そして一部のクモのオスは交尾器である蝕肢自体を交尾栓として使用する。この蝕肢は再生しないので事実上自ら去勢する形になる。これは生涯一回交尾で交尾後メスに食べられてしまうクモのオスならではの戦略。動物界でしばしば見られる交尾栓は接着剤状の物質。

さらに交尾栓のような物理的な障壁だけでなく、行動操作的にメイトガードする場合もある。たとえば精液に含まれる成分によってメスに性欲を失わせるように操作する。そしてこれもメスが協力するように進化する場合も対抗するように進化する場合もある。

 

第8章 性のアンビバレンス

雌雄同体生物における性淘汰
ある種のナメクジではまずペニス複合体にある肉矢で延々と互いに身体を舐め合い、その後いきなり精子のかたまりを噴出させ、ペニス複合体にある複数の指状構造物で相手と精子を交換し、さらにその先端の腺から化学物質を相手に浴びせかける。彼等は自らのオス機能とメス機能にとって交尾の各側面に対してそれぞれの利害を持ち、交尾相手とその合計の極大化をめぐってゲームを行っている。

 

タツムリの恋矢

交尾の際に互いに矢を打ち込む理由について当初は求愛行動としてカルシウムを贈呈しあっていると考えられていたが、詳細な観察はそうではあり得ない。相手を操作しようとしている。恋矢を打ち込まれた個体では蠕動運動が高まり、これによりその際受け渡された精子による受精が生じやすくなる。

その他の雌雄同体生物の複雑な交尾

精子の吸収消化、使い捨てペニス、互いに体長の何倍もの長さにペニスを伸ばしてからその先端で行われる精子交換。
巻き貝類は同じ巻き方向同士でないとうまく交尾できないために正の頻度依存効果が働き、通常種内で巻き方向は同じになる。しかしボルネオには右巻きと左巻きが種内で半々になっているカタツムリが存在する。

巻き方向は遺伝的に決まり、生態的な分離はなかった。メス機能生殖器だけでなくペニスの先端にも巻きがあり、逆巻き同士の個体の方が交尾しやすくなっている。つまり負の頻度依存が効く。

 

目次

第1章 用語を定義せよ!

第2章 ダーウィンの覗き穴

第3章 体内求愛装置

第4章 恋人をじらす五〇の方法

第5章 気まぐれな造形家

第6章 ベイトマン・リターンズ

第7章 将来の求愛者

第8章 性のアンビバレンス