創られた伝統(Invention of Tradition)
「近代化」によって「創られた」にも関わらず、「伝統」だと思われているもの。
伝統とは「長い年月を経たものと思われるが、たいていは100年程度で成立したもの、または捏造されたもの」であるという指摘から幕をあける。
伝統が「創られる」背景
・集団の社会的結合、帰属意識の確立
・権威・地位の正当化(優越意識の促進)
・信仰や価値体系の根拠付け
英国王室の華やかな儀礼式典
部族ごとに異なるタータンチェック模様を持っていると思われているが、実際は、イングランドの毛織物を、部族ごとに売った結果、部族の伝統であるかのようになった。
タータン・チェックのキルトやバグパイプは、近代になって、イングランドとの伝統
の違いを強調するスコットランド・ナショナリズムによって捏造された伝統
インドのサティ(妻の殉死)
上級バラモンのごく一部の、非常に珍しい、めったになされない風習だったがナショナライゼーションの結果、インド社会に広がった。
目次
1 序論―伝統は創り出される
2 伝統の捏造―スコットランド高地の伝統
3 死から展望へ―ロマン主義時代におけるウェールズ的過去の探求
4 コンテクスト、パフォーマンス、儀礼の意味―英国君主制と「伝統の創出」、1820‐1977年
5 ヴィクトリア朝インドにおける権威の表象
6 植民地下のアフリカにおける創り出された伝統
7 伝統の大量生産―ヨーロッパ、1870‐1914