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木を見る西洋人森を見る東洋人

 

原書タイトル"The Geography of Thought: How Asians and Westerners Think Differently…and Why (思考の地理:アジア人と西洋人の考え方の違いと理由)"

 

古代ギリシャの思想・世界観に影響を受ける文化→西洋=世界に約1億人:個人主義

古代中国の思想・世界観に影響を受ける文化→東洋=世界に約2億人:調和を重要視。

 

古代ギリシャでは個体の特徴・特性を見極め、それを抽象化して分類し、世界の原理を解き明かす事によって、個人が世界に対して主体性を持とうとするので、天文学や、手術などの研究が進む。

古代中国では、実社会や人間関係に注目するので、天文の不思議(彗星の出現や日食など)に定期性や原理を発見すると興味を失う。逆に灌水や墨や深層掘削など生活のニーズに密着した技術はギリシャよりずっと早く発明。

 

ギリシャは狩猟や牧畜や漁業、そして貿易を主な産業としており、中国は主に農業、その中でもさらにコミュニティーが協力して共同体としての不可欠な米作が重要です。

 

他にも古代ギリシャと古代中国の言語条件の違い、異文化との接触の頻度や度合い、など色々な視点からNisbettはまずこの西洋と東洋の相違を検証します。

 

西洋人は分析的、東洋人は包括的

・東洋人は環境に注意を払い、西洋人は対象物に注意を払う。東洋人は西洋人より、出来事の間の関係を見出そうとする傾向が強い。

・東洋人は実態、西洋人は対象物で世界が成り立っている。

・西洋人は東洋人よりも強く、自分の思い通りに環境を変えられると信じている。

・西洋人は安定を好み、東洋人は変化を好む。
・西洋人はカテゴリーを好み、東洋人は関係を強調する。
西洋人は東洋人よりも、論理規則を用いて出来事を理解しょうとする。

・矛盾に出合うと西洋人はどちらが正しいかを明らかにしようとし、東洋人は中庸を求める。

 

相互独立的な社会と相互協調的な社会とを区別する視点

・個人活動の自由にこだわるか、集団活動を好むか

・一人ひとりの個性を求めるか、集団の中に調和的に溶け込むことを好むか

・平等主義と獲得される地位を好むか、階層的関係と属性による地位を好むか。

・適切な行動を決める規則は普遍的でなければならないと信じるか、文脈や人間関係の性質を考慮した個別的なアプローチを好む。

 

 

目次

日本語版への序文 東洋と西洋の考え方に優劣はない

序 章 世界に対する見方はひとつではない
  「普遍性」への疑い
  認知科学者は間違っていた?
  思考に関わる謎
  本書の概略
  西洋人・東洋(東アジア)人の定義

第1章 古代ギリシア人と中国人は世界をどう捉えたか
  自分の人生を自分で選択したままに生きる——主体性の観念
  世の中から切り離された私は存在しない——調和の観念
  抽象的な「本質」の重視
  不変不動の世界
  人間万事塞翁が馬
  真実は双方にある
  連続体としての世界
  自然の発見から科学の発明へ
  万物は関連している
  「矛盾」への関心
  中庸を導く弁証法

第2章 思考の違いが生まれた社会的背景
  アリストテレス孔子を産んだ社会
  生態環境から認知にいたる流れ
  知の進歩はいかにして起こったか
  場依存性
  導かれる予測

第3章 西洋的な自己と東洋的な自己
  一般論の限界
  東洋の自己と人間関係
  相手が変われば自分も変わる
  対照的な自分への評価
  相互独立、相互協調
  IBMの調査からわかったこと
  二者択一では語れない
  変化する視点
  不思議な選択
  討論の伝統をもたない人々
  「選び」か、「合わせ」か——交渉のスタイル
  異なる価値観

第4章 目に映る世界のかたち
  包括的に見るか、分析的に見るか
  原子論的なエピソード
  大陸の知の歴史と「ビッグ・ピクチャー」
  世界を知覚する
  「トンネルのような視野」
  環境への注意
  世界を制御する
  コントロール幻想
  安定か、変化か
  未来の姿をどう見るか

第5章 原因推測の研究から得られた証拠
  個人の属性か、周囲の状況か
  行動の原因をどこに求めるか
  勝利や敗北の理由
  アイデンティティと原因推測
  性格は変えられるか
  性格特性の共通性
  属性だけに着目する誤り
  因果モデルをつくる
  後知恵を避ける
  西洋人は単純さを好み、東洋人は複雑さを仮定する

第6章 世界は名詞の集まりか、動詞の集まりか
  古代中国人の関心
  現代人の思考における「カテゴリー」対「関係」
  規則にもとづく分類
  カテゴリーと議論の説得力
  対象物の世界で育つか、関係の世界で育つか
  属性、安定、カテゴリー
  西洋の知の歴史と二分法
  それは言語のなせるわざか
  言語構造の違いと思考プロセス

第7章 東洋人が論理を重視してこなかった理由
  論理がたどってきた運命
  論理か、経験か
  論理と望ましさのどちらをとるか
  「どちらか」対「どちらも」
  弁証法的な解、非弁証法的な解
  対立的な命題への対
  信念を正当化する原理
  インチキ話
  相反する感情
  「非論理的」な東洋人が数学を得意とする理由

第8章 思考の本質が世界共通でないとしたら
  西洋人データの限界
  この違いは重要な問題なのか
  文化相対主義を超える
  西洋の思考の習慣
  東洋の思考の習慣
  教育と検査の方法
  どの文化に対しても公正な検査は可能か

エピローグ われわれはどこへ向かうのか
  認知の違いはなくなるか
  東洋人の価値観は西洋化する?
  価値観は多極化を続ける?
  世界が収束へ向かうもうひとつの可能性

  謝辞
  訳者あとがき
  注記
  引用文献
  索引