日本語訳タイトルは第一感(原題はblink=ひらめき、まばたき)、直感はintuition。「五感」に優越するという意図で「第六感」ではなくて、「第一感」としたそうだ。「五感」の前にある無意識の反応を指す。
サブタイトルはThe power of thinking without thinking(無意識の力)
適応性無意識→直感的なひらめき
人が生きていくうえで必要な大量のデータを瞬時に処理してくれる力です。
Adaptive Unconsciousを心理学では「適応的無意識」と訳されるが、訳者は「~的」という便利な表現が嫌いという理由で、「性」と訳している。
最初の2秒で判断する能力は、ごく一部の幸運な人たちだけが持つ魔法の力ではない。誰にでもあり、誰にでもきたえられる。
しかし無意識の判断のすべてが正しいという保証はない。ときとして、直感的な「第1感」を曇らせる何かが存在する。
「輪切り」の力→ちょっとの情報で本質をつかむ
無意識の連想
無意識な態度が意識的な価値観を裏切る
人種や性別といった事柄に対する人の態度
・意識的な態度、すなわち自分で選んだ信念。はっきりと表明した価値観であり、人はこの価値観に基づいて、よく考えて行動する
・無意識な態度であり、考える間もなく自動的に生じる瞬時の連想を測定する。人は無意識な態度を頭で考えて選ぶわけではない。
第一印象を操作する
第一印象は経験と環境から生まれる。つまり、第一印象を構成する経験を変えれば、第一印象を生む輪切りの方法を変えられる。
瞬時の判断力→論理的思考が洞察力を損なう
即興芝居にみる高度な判断
→相手の言うことは否定しない。
※インプロと日本で略されて呼ばれている即興演劇や即興コメディの基本精神は、「相手のアイデアを否定せず一旦まるっと受け入れて、アイデアで返す手法」。つまり、"Yes, and"なんだけど、うまく訳されていないな。
言語による情報を書き換え
ジョナサン・スクーラー
見えたものを言葉で説明すると、視覚的な記憶が言葉に置き換わり、思考が右脳から左脳に追いやられる。二度目に見ると、どんな風に「見えた」かではなく、どうなふうにみえると「言った」かの記憶を引き出す。
観たものを言葉で説明すると、記憶は直感から切り離されてしまう。
情報過多が判断の邪魔をする
目次
プロローグ
どこかおかしいギリシャ彫刻
なんとなく気づいた必勝の法則
適応性無意識の力
きっと世界が変わる
第1章「輪切り」の力 -ちょっとの情報で本質をつかむ
夫婦げんかの15分ビデオ
夫婦の15年後を予測する
結婚とモールス信号
離婚する夫婦のサイン
学生寮の秘密
訴えられる医者と訴えられない医者
ひと目で見抜く力
第2章 無意識の扉の奥 -理由はわからない、でも「感じる」-
ダブルフォールトを見抜くテニスコーチ
行動を促すプライミング実験
自発的行動は幻
未来のパートナーを「輪切り」にするスピードデート
理想と現実のズレ
説明をできないと話をでっちあげる
第3章 見た目の罠 -第一印象は経験と環境から生まれる
アメリカ至上最悪の大統領
「輪切り」の暗い側面
無意識の連想
無意識な態度が意識的な価値観を裏切る
トップセールスマン成功の秘密
「カモ」と思われやすい客
第一印象を操作する
第4章 瞬時の判断力 -論理的思考が洞察力を損なう
至上最大規模、最もお金のかかった軍事演習
ならず者司令官がコンピューターを破る
即興芝居にみる高度な判断
言語が情報を置き換える
ERの危機 -心臓発作を見分ける確率
情報過多が判断の邪魔をする
ならず者司令官の後日譚
第5章 プロの勘と大衆の反応 -無意識の選択は説明できない
プロが認めたのに成功しないミュージシャン
クリントン大統領と世論調査
コカ・コーラへのペプシの挑戦
「感覚転移」と市場調査の罠
なじみのないものは説明できない
革新的製品は市場調査になじまない
味覚のプロの特殊技能
自分の考えを知る能力の喪失
第一印象を再現できるプロ
「レコード会社のやり方はひどすぎる」
第6章 心を読む力 -無意識を訓練する
ニューヨーク、ホイーラー通りの悲劇
致命的な三つの間違い
顔の表情を解読する
感情は顔の表情から始まる
顔はペニスに似ている
男と女と明かりのスイッチ
最適な覚醒状態とは
興奮すると相手の心が読めなくなる
レーガン暗殺未遂事件の教訓
人は時間がないと先入観に引きずられる
瞬時の判断力を高める訓練
数秒の中にある一生分の判断
エピローグ
仕切り越しのオーディション
目で聴いた審査員
最初の2秒が奇跡を生む