akon2.00βのよっぱらいの戯言

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マネジャーの教科書

 

「権限はみずから獲得するもの」

 

新米マネジャーが陥りがちな5つの誤解

・管理職の権威は絶対的なものである
・管理職の権威を過大視する
・統制しなければならない
・部下一人ひとりと良好な人間関係を築かなければならない
・何よりも円滑な業務運営を心がける

 

既存チームに新たなリーダーとして着任した際にやるべきこと

1.チームの状況を理解し、戦略を立てる
・事業の状況(危機を脱するのか、好調を維持するのか)
・目標達成のための各メンバーの役割(ロール)の寄与度(重要なものからテコ入れ)
・各役割におけるチームプレーの必要性(個人プレーで良いなら意識改革は後回し)
などを考慮して、どこから手を付けていくかを考える

2.戦略に基づいて、個々人を評価
実務的には、上記1と同時に行うことになることが多いでしょう(実は、論文内でも切り分けられていません)が、上記方針に基づいて、「この人達にはビジョンを伝えていく必要がある」「この人は、一旦は現状維持で良いが、本質的にはフィットしていない」などということを考えていく必要があります。

3.優先度の高いところ(および、着手可能なところ)から改革
協働が必要なのに協働関係を築けていないところがあれば、協働するように働きかける必要があります。あるいは、人の入れ替えがどうしても必要な場合は、早急に入れ替えられるように手配を進めます。ただし、人材の入れ替えは難易度が高く、実施できないケースもあるため、後回しにせざるを得ないことが多いでしょう。

 

チームの再構築手順
1.チーム構成の見直し:
以下のような取り組みを行うが、ひとつめを除いては時間がかかる。

切迫した状況では人材の入れ替えを検討
「高い成果を求める」という期待を伝え、成果が出せない人は自ら離脱するように仕向ける
ポテンシャルを見極め、育成する
得意不得意に合わせて、チーム内で配置換え
2.足並みをそろえる:
以下の4つを設計するが、ビジョンとインセンティブが無いと、基盤が揺らぐ。インセンティブのコントロールはマネジャーの権限範囲を超えている場合があるので、経営層の求める業績目標よりもさらに高い目標を設定するなど、会社に対する説得材料を持つことも必要になる。

何を達成するのか=ミッション、目標、業績指標
なぜそうすべきなのか=ビジョンステートメントインセンティブ
どうやって達成するか=全体戦略とチーム戦略、実行プラン
誰が実行するか=各メンバーの役割と責任
3.業務のやり方の統一:
「みんなが結束して仕事をするとしたら?」という視点で、仕事のやり方を考える。具体的には・・・

チームの核となるメンバーの人数の増減
サブチームを設ける
会議の種類や頻度の調整
会議の運営方法の変更
フォローアップ手順の刷新
などが挙げられている。前任者の業務運営手法をそのまま引き継ぐのではなく、「仕事のやり方を縛っている実質的な制約」を理解し、その制約下で効率と生産性を高めるためになにができるか?を考えることから着手すべき。

4.行動の整合性確保:
望ましい行動が何であるかについて共通認識を持たせる、その望ましい行動を定着させる、ということが極めて重要です。もともとパフォーマンスが低い組織に、新任マネジャーとして着任したケースにおいては、既存の集団特性が”好ましくない”おそれがありますので、意識・考え方・価値観を変えていく必要があります。

-有言実行するタイプのリーダーであると認識される
-信頼を得てから、チーム内の機能不全の原因を深掘りする(例えば、調査など)
-原因に応じて、対策・方針を講じる
-対策・方針を徹底する(言いっぱなしで終わらない)
-定期的(例えば、四半期ごと)に行動原則の順守状況を振り返る

 

説得の基本的原則

原則1: 好意を示す

原則2: 心遣いを怠らない

原則3: 前例を示す

原則4: 言質を取る

原則5: 権威を示す

原則6: 希少性を巧みに利用する

 

「職場」におけるEQの因子

・自己認識
・自己統制
・モチベーション(動機付け)
・共感
ソーシャルスキル

 

「自分らしさ」≠「ありのまま」

・オーセンティシティは昨今のリーダーシップの鉄則
・しかし、リーダーが不用意に、自分の弱さや不安をさらけ出したり、謙虚な態度をとってしまうと、(いくらそれが自分らしさであっても)ネガティブな結果につながる
自分らしさのあるリーダーシップとは、自己のアイデンティティを守ることではない。

・試行錯誤しながら、アイデンティティを進化させることが肝要
・オーセンティシティという言葉は、本来「画一的なリーダシップからの脱却」だったが、現在は、むしろ非常に画一的な自己開示のやり方になってしまっている
・言葉に惑わされずに、自分の「枠」を広げ、少しずつ「自分らしく成長していく」ことを目指すべき

 

上司を理解する

・上司の組織上の目標、個人的な目標は何か

・上司へのプレッシャー、特に上司の上司や他部門の上位者からのプレッシャーはどのようなものか

・上司の長所、盲点はどこか

・どのようなワークスタイルを好むか

・たとえばリポート、正式な会議、電話などによって、情報を入手しているか

・対立を増長させるのか、それとも極力避けたいか

 

「サル」を世話し餌をやるための5つの鉄則 
ルール1.サルは処分でもしない限り、餌やりが必要だ。 
→そうしないと餓死してしまい、マネジャーが貴重な時間を使って検視や蘇生を試みるはめになる。 
ルール2.サルの数はマネジャーの餌やりできる時間をもとに割り出した最大数までに抑える。 
→世話が行き届いているサルであれば、餌やりは5~15分以内に終わるはずだ。 
ルール3.サルに餌を与えるのは、約束した時間だけに限る。 
ルール4.サルに餌やりは必ず対面か、電話で行う。文書では行わない。(文書の場合、マネジャーが次のアクションを引き受けることになる)
ルール5.それぞれのサルについて、次の餌やりの日時と適用する主導権の段階を決めておく(相互合意で変更できるがあいまいにしたり無期限にしたりはしないこと)


「ゴリラ」のために時間をつくる 
「サルを本来の飼い主に返せ」というウィリアム・オンキンの主張
・権限委譲は通常、人材育成と同義である。 
・権限委譲を支える正式な制度と非公式な組織文化がある。 
・効果的な権限委譲は、上司と部下の間の信頼関係の上に成り立つ(パートナーシップの確立) 
だが、 
部下が主導権を発揮すれば、上司の自分が無能で頼りないからだと思われているような不安を覚える。 
→マネジャーの心の平穏を得るためには、適切な時間管理をして本当に取り組まなければならない「ゴリラ」に対処する時間をうみ出すこと 

 

リーダーとマネジャーの相違

スペシャリストからゼネラリストへ

・分析者から統合者へ
・戦術家から戦略家へ
・レンガ職人から設計者へ
・問題解決者から課題設定者へ
・兵士から外交官へ
・脇役から主役へ

 

事業リーダーの育成法

・キャリアの早い段階で、潜在的リーダーに以下の機会を与える

-部門横断的なプロジェクトへの参加と運営責任

-国際的な任務

-幅広い事業段階の経験

・リーダーとして有望なことが明らかになったら、以下の機会を与える。

-シリアマネージャのポジション

-外部ステークホルダー対応

-経験豊かな事業リーダーのチーフスタッフとしての任務

-買収統合や大規模な再編を主導する役割

・場合によっては、事業リーダーへの昇格前に、以下を受けさせる

-組織設計、ビジネスプロセス改善、変革マネジメントなどの能力を扱い、外部人脈の構築を可能にするエグゼクティブプログラム

・事業リーダーへの昇格時に、以下のような字義用に配属する。

-小規模で独自性があり、好調な事業

-経験豊かで言いたいことを言うチームメンバーがいて、そこから学習できる事業

 

目次
はじめに


第1章 新任マネジャーはなぜつまずいてしまうのか

    リンダ・A・ヒル ハーバード・ビジネス・スクール 教授

管理職になってみて気づくこと
マネジャーの心得が身につかない理由
新米マネジャーが抱きがちな5つの誤解
上司が新米マネジャーの不安を理解する必要性

第2章 メンバーを変えずにチームで変革を進める法

    マイケル・D・ワトキンス ジェネシス・アドバイザーズ 会長 兼 IMD 教授

前任者のチームを引き継いで変革する法
チームの評価を速やかに下す
チームの再構築を進める
チームの育成を加速する

第3章 新人マネジャーを育てるコーチング技法

    キャロル・A・ウォーカー プリペアド・トゥ・リード 社長

新人マネジャーは自然に成長したりしない
新人マネジャーだけの問題ではない

第4章 あなたは「24時間働く」仕事人間になれるか

    エリン・リード ボストン大学エストロムスクール・オブ・ビジネス 助教
    ラクシュミ・ラマラジャン ハーバード・ビジネス・スクール 助教

「理想的な働き手」になることを迫られる従業員たち
3つの戦略
もっとよい方法があるはず

第5章 「説得」の心理学

    ロバート・B・チャルディーニ アリゾナ州立大学 リージェント教授

説得を「芸術」から「科学」へ
【原則1】好意を示す
【原則2】心遣いを怠らない
【原則3】前例を示す
【原則4】言質を取る
【原則5】権威を示す
【原則6】稀少性を巧みに利用する
説得の効果をより高めるために

第6章 心の知能指数「EQ」のトレーニング法

    ダニエル・ゴールマン 心理学者

EQはビジネスマンの必須条件
コンピテンシーモデルでEQを測定する
[EQの第1の因子]自己認識
[EQの第2の因子]自己統制
[EQの第3の因子]モチベーション
[EQの第4の因子]共感
[EQの第5の因子]ソーシャルスキル

第7章 「自分らしさ」が仇になる時

    ハーミニア・イバーラ INSEAD 教授

リーダーとしての成長を阻む要因
リーダーが直面する3つの状況
遊び心を持って新しいスタイルを試してみる

第8章 上司をマネジメントする

    ジョン・J・ガバロ ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授
    ジョン・P・コッター ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授

「ボス・マネジメント」はなおざりにされている
上司と部下の関係にまつわる誤解
上司を理解する
自分自身を理解する
上司との関係を構築し管理する方法
誰の仕事なのか

第9章 人脈の戦略

    ハーミニア・イバーラ INSEAD 教授
    マーク・ハンター INSEAD 准教授

リーダーへの転換期に必要なこと
「仕事上のネットワーク」を構築する
「個人的なネットワーク」を構築する
「戦略上のネットワーク」を構築する
人脈を効果的に構築するために

第10章 マネジャーの時間管理法:「サル」を背負うべきは誰か

    ウィリアム・オンキン・ジュニア ウィリアム・オンキン・コーポレーション 創業者兼会長(当時)
    ドナルド・L・ワス ウィリアム・オンキン・カンパニー・オブ・テキサス 社長(当時)

マネジャーの3種類の時間
「サル」を背負っているのは誰か
誰が誰の部下なのか
「サル」を片付ける
主導権を部下に渡す
「サル」を世話し餌をやる
「ゴリラ」のために時間をつくる スティーブン・R・コヴィー

第11章 リーダーとマネジャーの大いなる相違

    マイケル・D・ワトキンス ジェネシス・アドバイザーズ 会長 兼 IMD 教授

期待のスター人材が昇進後につまずく理由
スペシャリストからゼネラリストへ
分析者から統合者へ
戦術家から戦略家へ
レンガ職人から設計者へ
問題解決者から課題設定者へ
兵士から外交官へ
脇役から主役へ