Google、Facebook、microsoftの戦略を分析している。
いつか原書でゆっくり読みたい(意訳)。
本書はiOS14.5 Update革命前夜の話である。いまやアナーキストは再び自由を取り戻そうとしている。
意思を持って行動しているように見えてネットの情報に誘導されている。これをガブリエルは「『シリコンバレーの魔女たち』を王座から退位させろ」とポズナー&ワイルは「データ労働の不払い」と指摘している。
ニュースで採り上げられたことがすべてだと信じてしまう人はあきらめるという意識を持ってエコシステムの一部となってしまうという自由意志はいかがであろうか。
監視資本主義とは、「企業が個人情報を収集することで、消費者の行動を個別に分析し、予測し、変容させ、利益を上げる仕組み」のことで、それはわれわれを操り人形のように操ることを目標にしている。
監視資本主義の定義
1. 人間の経験を、密かな抽出・予測・販売からなる商業的慣行のための無料の原材料として要求する、新たな経済秩序。
A new economic order that claims human experience as free raw material for hidden commercial practices of extraction, prediction, and sales.
2. 商品とサービスの生産が、新たな地球規模の行動修正構造に従属する、寄生的な経済ロジック。
A parasitic economic logic in which the production of goods and services is subordinated to a new global architecture of behavioral modification.
3. 歴史上前例のない富、知識、力の集中を特徴とする、資本主義の邪悪な変異。
A rogue mutation of capitalism marked by concentrations of wealth, knowledge, and power unprecedented in human history.
4. 監視経済の基本的枠組み。
The foundational framework of a surveillance economy.
5. 産業資本主義が19世紀と20世紀の自然界にとって脅威であったように、21世紀の人間の本質にとって深刻な脅威となるもの。
As significant a threat to human nature in the twenty-first century as industrial capitalism was to the natural world in the nineteenth and twentieth.
6. 社会に対する支配を主張し、市場民主主義に基づく驚くべき挑戦を仕掛ける、新たな道具主義者の力の源。
The origin of a new instrumentarian power that asserts dominance of over society and presents startling challenges to market democracy.
7. 完全な確実性に基づく新たな集団秩序を課すことを目的とする運動。
A movement that aims to impose a new collective order based on total certainty.
8. 上からのクーデターとして最もよく理解される、人間の重要な権利の没収──人間の主権の打倒。
An expropriation of critical human rights that is best understood as a coup from above: an overthrow of the people’s sovereignty.
2001年に監視資本主義の出発点となった「行動余剰(behavioral surplus)」をGoogleが発見。
人びとの行動データは原油
スマフォは原油の採掘場
行動余剰の蓄積においては「規模の経済」が働く。
監視資本主義は、経済原理を越えて、一つの権力となった。→道具主義の権力→ビッグ・アザー
ジョージ・オーウェルの「1984年」の「ビッグ・ブラザー(全体主義国家の独裁者)」のもじり。
アザーは、マックス・マイヤーの著作である『他者(アザーワン)の心理学』から。
「監視(surveillance)」しているのは全体主義的独裁者(ビッグブラザー)ではなく、道具主義的管理者(ビッグアザー)。ここでのsurveillanceはmonitorとは違い、ネガティブな意味を持っている。
監視資本主義は市民に服従を要求するわけではなく、監視して商品化する
ビッグ・アザー
ユビキタスに存在しネットワークでつながった計算基盤と、それらが生み出す、
社会および社会的関係についてのきわめて反民主主義的な見方。
知覚力と計算力を備えた装置で、人間の行動を監視し、
計算し、修正し、変化させる。
Googleの強奪サイクル
侵入→習慣化→適応→方向転換
■監視資本主義の成功理由
1.前例がないこと
2.侵略としての宣言
3.歴史的状況
4.要塞化
5.強奪サイクル
6.依存性
7.自己利益
8.疎外感
9.憧れ
10.権威
11.社会的説得
12.代替手段の排除
13.不可避主義
14.人間の脆弱さというイデオロギー
15.無知
16.速度
心理学者が人間をアザー(他人)とみなすことを学んだ場合にのみ、
人間の行動は科学的研究の対象になる。
監視資本主義の特異点
・何ものにも束縛されない自由と特権的な知識の所有を主張する
・長年にわたる人々との有機的な互恵関係を放棄する。
・それが描く巣の中での生活という幻想には、集産主義的な社会観が隠されている。
分業(division of labor)に対して知の分割(division of learning)
ポランニーの土地、労働、貨幣に続く第四の疑似商品たる「人間の経験(human experience)」
クーデター(国家の転覆)ならぬクーデ・ジャン(人々の転覆)